資産運用

開業医のための資産形成|資産を“守る→投資”の2ステップで効率的な資産運用

  • 資産形成を始めたいが、何から手を付けてよいか分からない
  • 開業医に適した資産形成の方法を知りたい
  • 資産形成を成功させるためにはどうすればよいか

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

本記事では、開業医の皆さまが安定的かつ効率的に資産を増やしていくための考え方や、その具体的な方法について、資産運用のプロが分かりやすく解説します。この記事を読むことで、リスクに備えつつ、着実に資産を育てるヒントが得られるでしょう。

1. なぜ開業医に資産形成が必要か

開業医にとって資産形成は、単純な資産が増える目的だけではなく、将来の安心を築くための重要なプロセスです。ここでは、主に2つの理由について解説します。

  • 高年収ゆえに投資原資を確保しやすい
  • 医療事故や病気で働けなくなるリスクに備える

以下で解説します。

1-1. 高年収ゆえに投資原資を確保しやすい

勤務医は病院や製薬会社、企業、学校などに雇用されて働きます。勤務医は給与所得者のため、治療した患者数や病院の経営状況に左右されることなく、安定した収入を得られることがメリットです。

ただし、平均収入において、開業医の方が勤務医よりも多い傾向があります。病院勤務医の平均年収は1,461万円、開業医の平均年収は2,631万円というデータもあります。

すなわち、開業医の年収は勤務医の約1.8倍です。(出典:2023年に厚生労働省が実施した「医療経済実態調査報告」) 実際の開業医の年収は経営状態に加えて、診療科や患者数によって変動します。年収が上がるに伴って社会保険料や税金として引かれる金額も増加しますが、手取り金額は年収に比例して増えていきます。

ただし、高収入である分、税負担も大きくなるため、資産形成を行う上では、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用しながら資産を増やす工夫が求められます。年収の高さを強みに、早い段階から資産形成に取り組むことができるでしょう。

1-2. 医療事故や病気で働けなくなるリスクに備える

医療事故や突然の病気などにより診療が困難になるリスクは、どの開業医にも潜在的に存在します。万が一、働けなくなる期間が発生すると、一時的に収入が途絶える恐れがあります。

こうした不測の事態に備えるためにも、所得補償保険や生活費の備えとなる準備金の確保が重要です。
リスクに備えることで、不測の事態にも柔軟に対応できる体制を整えることが可能になります。

2. 資産形成は “守る → 投資” の順序で進める

資産形成はいきなり投資に踏み出すのではなく、まずは「守る」ことから始めるのが成功の鍵です。

  • STEP 1 │ 守る→可処分所得を最大化し、投資原資を確保
  • STEP 2 │ 投資→投資原資を活用し、資産を増やす

それぞれのステップについて解説します。

2-1. STEP 1 │ 守る→可処分所得を最大化する

可処分所得を確保するためには、節税対策や経費管理が欠かせません。例えば、医療法人化による損金算入枠の拡大は法人税の軽減につながります。

また、小規模企業共済やiDeCoを活用すると、掛金全額を所得控除にでき税負担の軽減効果が高いです。

これらの方法を組み合わせることで、投資原資となる余裕資金を体系的に増やせます。まずは可処分所得を最大化し、次の投資ステップに備えましょう。

2-2. STEP 2 │ 投資→投資原資を活用し、資産を増やす

投資ステップでは、分散投資を基本とし、リスクを抑えながら資産を増やしていくことが重要です。
インデックス型投資信託は、低コストかつ市場平均に連動し初心者でも始めやすいため、選択肢の一つです。

例えば、NISAのつみたて投資枠を活用し、非課税枠内で積立投資を行うことは有効な手段です。また、ポートフォリオに債券を組み入れることで、リスクを抑えつつ安定利回りを狙うことも可能です。

このようにして投資原資を効率的に運用し、資産形成を着実に進めていきましょう。

3. 守りを固めるための手段

資産を守りながら効率的に運用をするためには、法的・税制面での優遇を活かしたスキームを活用することが重要です。

  • 医療法人化を検討
  • 逓増定期・長期平準定期保険の活用
  • iDeCo・小規模企業共済の活用

それぞれについて解説します。

3-1. 医療法人化を検討

医療法人化は、個人事業主である開業医が法人化することで節税メリットを享受できます。
法人税率は所得税率より低く、収益を効率的に手元に残せる点が魅力です。

例えば、利益の一部を留保して設備投資資金に充てられます。また、退職金制度を導入することで、役員報酬の損金算入が可能です。

このように、法人化することで長期的な資産形成の土台を築くことができるでしょう。

3-2. 逓増定期・長期平準定期保険の活用

逓増定期保険や長期平準定期保険は、将来大きな返戻金が期待できる商品です。

例えば、一定期間後に受け取る返戻金を退職金原資として活用することも可能です。この仕組みを導入すれば、将来の資金ニーズに応じた設計がしやすくなり、効率的に資産を守ることができます。

3-3. iDeCo・小規模企業共済の活用

iDeCoは掛金が全額所得控除となる私的年金制度です。小規模企業共済は個人事業主向けの退職金準備制度として活用できます。

例えば、受取時に退職所得扱いで税制優遇が受けられます。両制度を併用することで税負担の軽減と老後資金準備を同時に進められます。投資する前に安定した資金基盤を整えることで、資産形成の準備を万全にすることができるでしょう。

4. 開業医におすすめの投資手法

投資は、中長期的な視点でリスク分散しながらリターンを追求することが大切です。

開業医におすすめの投資手法として、主に以下の3つがあります。

  • 投資信託
  • 債券
  • 不動産

それぞれの特徴について解説します。

4-1. 投資信託

投資信託投資の中でも、特にインデックス型投資信託は市場全体に連動し、分散効果を得やすく、運用コストが低いのが特徴です。

また、中長期的に積立投資すると、ドルコスト平均法(時間と金額を分散する投資手法)により、投資信託は市場変動リスクを抑えることができます。投資信託は手軽に分散投資ができる魅力的な選択肢の一つでしょう。

4-2. 債券

債券投資は株式より価格変動が一般的には小さいと言われ、安定した利息収入が得られるため、リスクをおさえながら資産運用をしたい人向けの選択肢となるでしょう。

国内外の国債や社債を組み合わせ、信用リスクや金利リスクの分散が可能です。

例えば米国債をポートフォリオに組み込むことで、安定的に利回りを受け取りながら、安全資産としての役割を果たすでしょう。リスクとリターンのバランスを取ることで、資産運用の安定性を向上させることができます。

4-3. 不動産

不動産投資は賃料収入と資産価値上昇を狙える手法です。

特に区分マンションやアパート経営は比較的少額からの投資が可能であり、賃貸収入を得ながら資産を増やすという投資手段の一つとなるでしょう。

また、不動産投資ローンを活用し、レバレッジを効かせた運用ができます。ただし、空室リスクや管理コストを考慮し、物件選びは慎重に行いましょう。

5. 資産形成を成功させる3つのポイント

最後に、資産形成を成功させるために、3つのポイントを押さえておきましょう。

  • ライフプランを設計し投資目標を明確にする
  • 投資目標に対するリスクを理解する
  • 長期運用と定期的なリバランス

それぞれのポイントについて解説します。

5-1. ライフプランを設計し投資目標を明確にする

ライフプランを設計し、投資目標を明確にすると、資産運用の軸がぶれにくくなります。
具体的な目標金額や期間を設定することで、必要な投資額やリスク許容度を把握できます。

例えば、子どもの教育費や老後資金など具体的な資金用途を洗い出し、数値化することで、モチベーション維持や計画修正の指標になります。ライフプランから逆算して戦略を立てることで、成功に繋がるでしょう。

5-2. 投資目標に対するリスクを理解する

投資目標に対するリスクを理解せず運用すると、想定外の損失を招く恐れがあります。
株式の価格変動や金利リスク、流動性リスクなど各商品固有のリスクを把握しましょう。

リスク許容度は、年齢や家族構成、資産総額で異なるため、定期的に見直す必要があります。高リスク高リターン商品、低リスク低リターン商品など、様々な商品を目標やリスク許容度に合わせて組み合わせ、守りと攻めのバランスを取ることが、投資目標の達成につながるでしょう。

5-3. 長期運用と定期的なリバランス

長期運用による複利効果を最大化するためには、短期的な市場変動に左右されない投資姿勢を持つことが重要です。

また、年に1回程度のリバランスを行うことで、当初の資産配分を維持しながら、利益確定やリスク管理を両立しましょう。

例えば、保有資産のうち、株式比率が上がりすぎた場合はその他の資産に資金を移す調整が効果的です。定期的な見直しによって、市場環境やライフステージの変化に応じた戦略を組むことができ、このプロセスを継続していくことで、長期的な成功確率が高まるでしょう。

6. まとめ

開業医は高収入を活かし、資産形成を加速できる立場にあります。その一方で、医業リスクや税負担などの課題にも直面しているため、「守る→投資」という段階的なアプローチが有効です。

まずは資産を守る戦略を立て、安定した運用基盤を整えた上で、リスクを分散しながら投資を進めることで、長期的に資産を増やすことが可能になります。

ファーストパートナーズでは、開業医のお客様一人ひとりの状況やニーズに寄り添った資産形成のサポートをしております。ご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
ご相談はこちらから。

荻野 真志

新卒で野村證券に入社し、新宿野村ビル支店にて個人富裕層を対象としたリテール営業を担当。着実に実績を重ね、複数の社内表彰を獲得する。その後、ウェルスマネジメント部門へ異動し、上場企業オーナーやそれに準ずる超富裕層を中心に、新規顧客の開拓と資産運用支援に従事。
お客様一人ひとりの長期的なビジョンに寄り添い、資産にとどまらず人生全体に貢献できる存在でありたいとの想いから、より中立かつ柔軟な立場での支援を目指し、IFAとして独立を決意。
現在はファーストパートナーズに所属し、東京・名古屋・大阪を拠点に活動。有価証券の運用提案のみならず、資産全体のポートフォリオ構築、タックスプランニング、事業承継、資産保全など、総合的なコンサルティングを提供している。
金融の専門知識と、実務に裏打ちされた提案力で、お客様に長期的な信頼をいただけるパートナーであり続けたいと考えている。

資産・不動産・M&Aまで対応

無料個別相談

最新トレンド情報を会員限定で発信

無料メルマガ登録