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長谷川唯インタビュー 後編「サッカーが楽しいから、ここまで続けてこられた」長谷川唯が語る成長の軌跡

長谷川唯インタビュー 前編「サッカーが楽しいから、ここまで続けてこられた」長谷川唯が語る成長の軌跡の後編です。

©日刊スポーツ

[自分らしく、世界と向き合う]

━━各カテゴリーで日本女子代表に選ばれてきましたが意識の変化はありましたか

若い頃から代表に選んでもらえて、「自分が中心になってチームを引っ張りたい」という気持ちはずっと持っていました。

良い意味で、昔と今で代表に対する気持ちは変わらないです。海外に行ってからも、「自分がプレーで引っ張りたい、中心で活躍したい」という思いは変わらず持ち続けていますね。

━━モチベーションはどのように維持していますか

「どうやってモチベーションを保っているのか」と聞かれたら、これといって特別なものは見当たらないですね。ただ、楽しいからやっているというのがすべてで、誰かにやらされているわけではなく、自分がやりたくてやっています。

楽しさがそのままモチベーションになっているのだと思います。

━━日常生活で気をつけていることはありますか

普段は海外で生活していて、毎日自炊をしています。細かい栄養管理までは難しいですが、野菜も摂れていて、バランスの取れた食事になっています。

あとは、海外の食事はあまり口に合わないところがあって、自分たちで作った方がおいしく感じることも多いですね。おいしいと食べすぎちゃうかもしれないのですが(笑)。自炊は楽ではないですが、やはり日本食はおいしいですし、身体にとっても良い方向に働いているかもしれませんね。

同じチームに清水梨紗選手がいるので、一緒に作って食べています。昨シーズンは一緒でしたが、その前は一人だったので、メインの料理を2日に分けて食べたり、2日に1回の自炊で2日に分けて食べるとか、ちょっと足りないと思ったら少しだけ作るとか、やりくりしていました。外食はほとんどしていませんね。

━━試合のVTRは見返しますか

日本にいた頃のほうがよく見ていましたね。今も見ますが、良かったシーンを中心に見ています。「こうすれば良かったな」という場面は一度見て考えたら、それ以上はあまり見ません。ポジティブなシーンを多く見るようにしています。

━━プレースタイルに迷いが生じることはありますか

日本にいた頃は、より自由にプレーさせてもらっていました。海外ではサッカーのスタイルや周囲の選手の特徴が違うので、自分が周囲を支えるプレーが増えたと思います。

日本の選手は気が利くことが多いので、海外では自分が気を配る場面が増えています。

そうしたプレーも嫌いではありませんが、攻撃面でもっと得点に絡むプレーをしなければいけないなと感じています。監督が求めること、チームでの役割、自分がやりたいこと。そのバランスを常に意識して取り組んでいます。

©松岡健三郎

━━海外でプレーすることを意識し始めたのはいつ頃ですか

小学生の頃から「一番レベルの高いところでプレーしたい」という気持ちはありました。当時はアメリカが強かったので、「アメリカのリーグでプレーしたい」と書いていた記憶もあります。

日本のリーグでプレーする中で、決して早い段階で海外に移籍したわけではなく、成長を実感できるようになって、「ここまでやれるようになった」という自信がついてから海外に行きました。

だからこそ、移籍後すぐに自分のプレーができて、評価してもらえたのだと思います。

━━ヨーロッパへ移籍後、ギャップを感じたことはありましたか

先ほども触れましたが、最初の頃はスピード感やタックルの深さ、戦術の違いに戸惑うことがありました。でも、「自分の良さをどう出すか」を常に考えながらプレーしていました。

そうした部分を評価してくれる監督に恵まれて、良い環境でプレーできていると感じています。

━━英語はいつから勉強していましたか

特別に英語を勉強したわけではなくて、普通に学校の授業で学んだ程度です。

幼稚園の頃に少し習っていて、中学生くらいまでは続けていましたが、それ以降は特化して勉強していないです。今は、言われていることはほとんど理解できるので大丈夫です。伝えるほうが難しいですね。

でも周囲の選手が優しくて、「こう思っているの?」と聞いてくれたり。理解しようとしてくれるので、コミュニケ-ションに大きな問題はありません。

━━海外でプレーをする上で大切にしていることは

やっぱり「サッカーを楽しむこと」ですね。

これはサッカーに限らず、どんなことにも言えるかもしれません。楽しくないと「帰りたい」と思ってしまうこともあるけれど、サッカーが楽しいから頑張れる。自分の目的を忘れずに、楽しみながら取り組むことが大切だと思います。

©日刊スポーツ


[重圧と向き合い、未来を描く]

━━日本代表としてのプレッシャーにはどう向き合っていますか

性格的に、あまりプレッシャーを感じないタイプなんです。SNSではいろいろなメッセージが届きますが、多少の批判も私はポジティブに捉えられるんです。

ネガティブなことは流せるタイプなので、良い意見をたくさん聞いて「応援してくれている」とか「このプレーを褒めてもらえている」と、ポジティブに考えられています。試合前も悪いことを想像しないので、それもプレッシャーを感じにくい理由かもしれません。

━━キャリアの中で相談する存在はいますか

サッカーのプレーに関しては、ベレーザ時代の最後の3年間でお世話になった永田雅人監督(現町田ゼルビア・アカデミー全カテゴリーヘッドコーチ)です。

気軽に連絡できる存在で、「あのプレーどうでした?」といった相談もできますし、面白いプレーについて語り合うこともありますね。

━━これまでのキャリアでのベストゲームは

マンチェスター・シティでの昨シーズンはコンスタントに出場できて自分としても良いシーズンだったと思います。「この試合」と特定するのは難しいのですが、シーズン全体として手応えがあって良かったと思います。

━━大きなケガがないのも印象的です

そうですね。体の使い方を意識しています。ぶつかりそうなタイミングで避けたり、相手の力をうまく逃がすのが得意です。

無理に踏ん張らないというところでしょうか。小さい頃から体が小さかったので、ボールを触った後にファールを受けそうな場面を予測できていたのかもしれません。

もちろん予防していてもケガはしてしまうのですが、できる限りケアしながらプレーを続けたいです。

©松岡健三郎


[お金との向き合い方]

━━お金に対する考え方は変わってきましたか

プロになってから、もらえる金額は増えました。どうやって使っていくかは考えるようになり、家族に相談することもあります。

━━管理はご自身でされていますか

はい、すべて自分で管理しています。

━━資産運用について、チームメイトと話すことはありますか

「運用したいよね」という話は出ます。男子選手ではよく聞きますが、女子ではまだそこまで一般的ではないかもしれません。

興味はありますが、「どうしたらいいのか」「こういったことをやってみたいよね」という段階なので、これから勉強していきたいですね。


[これからの目標]

━━今後の目標を教えてください

これまで大きなケガがなく、多くの試合に出場できているので、それを継続することがまず一番の目標です。

クラブチームではヨーロッパ・チャンピオンズリーグでの優勝を目指しています。

なでしこジャパンではキャプテンを務めていますが、大きく何かを変えるというより、子供たちを含め多くの人が観てくれる中で、「応援したくなるチーム」をつくっていきたいと思っています。

━━もしサッカー選手になっていなかったら

えー、なんだろう。運動神経は良かったので、何かしらのスポーツはやっていたんじゃないかな。

卓球とかテニスは努力して取り組んでいたと思うので、そちらの道に進んでいたかもしれませんね。でも、ダンスは苦手なんです・・・。リズム感がなくて(笑)。


〈プロフィール〉

©UDNSPORTS

長谷川 唯(はせがわ ゆい)

1997年1月29日生まれ。日本のサッカー選手で、ポジションはミッドフィールダー(MF)。

埼玉県出身で、日テレ・東京ヴェルディメニーナを経て、日テレ・東京ヴェルディベレーザに昇格。2021年にはACミラン(イタリア)に移籍し、翌年からはイングランドのマンチェスター・シティへ加入。なでしこジャパン(日本女子代表)では2017年にデビューし、FIFA女子ワールドカップや東京オリンピックなど世界の舞台でも活躍。巧みなボールコントロールと予測力を武器に、日本代表の中盤を支える存在として知られる。 

FPメディア編集部

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