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【SaaS経営者必見】M&Aで加速する成長戦略:買収・売却のメリットと注意点

  • SaaS業界のM&A動向が分からない
  • SaaS企業を買収や売却するメリット、デメリットが分からない
  • SaaS業界の企業価値相場について知りたい

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

M&Aのプロが、SaaS業界のM&Aについて解説します。

この記事を読むと、SaaS業界でのM&A動向等に関する疑問を解消でき、SaaS企業の買収や売却の成功に役立つでしょう。

1. SaaS業界におけるM&Aの最新動向と活発化の背景

以下のサブセクションを順に見ていきましょう:

  • SaaS市場の急成長とM&Aのトレンド
  • なぜ今、SaaS業界でM&Aが加速しているのか

1-1. SaaS市場の急成長とM&Aのトレンド

ここ数年、市場の成長と競争激化を背景に国内外で、SaaS企業のM&A件数が増加しています。

特にAI関連技術を持つスタートアップが注目を浴びているのが特徴で、SaaS市場の急成長がM&Aのトレンドのひとつとなっていることが見受けられます。

1-2. なぜ今、SaaS業界でM&Aが加速しているのか

現在、SaaS業界でM&Aが加速している背景には、市場の高い成長率と資金調達環境の変化があると考えられます。国内市場の年間成長率が12%近くに達し、資本市場でもSaaSへの投資が活発になったためです。

例えば、2024年後半から2025年にかけて大型の資金調達やM&A事例が相次いだケースが考えられます。この動きは、一部のスタートアップが成熟期を迎えたタイミングとも重なり、スケールアップや事業承継の手段としてM&Aを選択するケースが増えていることを示しています。

このような環境が、M&Aの活発化を後押ししていると言えるでしょう。

2. SaaS企業を「売却する側」のメリット・デメリット

以下のサブセクションを順に見ていきましょう:

  • 売却側の主なメリット(イグジット、事業の継続性、従業員の雇用確保など)
  • 売却側の主なデメリットと注意点(情報開示、売却後の関与、社員への影響など)

2-1. 売却側の主なメリット(イグジット、事業の継続性、従業員の雇用確保など)

SaaS企業を売却する側には、イグジット機会の確保や事業継続の可能性が広がるメリットがあります。自社の資金回収や新規投資を検討する際に、売却によって得られる資金や経営資源を活用しやすくなるためです。

例えば、シリーズC以降のラウンドで資金調達が難航した企業が、M&Aを通じて別企業の傘下に入り、サービスを維持するケースが想定されます。この場合、従業員の雇用を守りつつ、顧客へのサービス提供が継続できる点が評価されるでしょう。

つまり、売却側は安定したイグジットを図りながら、関係者への配慮もしやすくなります。

2-2. 売却側の主なデメリットと注意点(情報開示、売却後の関与、社員への影響など)

一方で、売却側には情報開示負担や売却後の関与範囲に関する注意点があります。M&Aプロセスでは財務・法務の詳細なデューデリジェンスが必要で、開示コストが増大し得るためです。

例えば、簿外債務や契約関係の整理に時間がかかり、売却完了後も旧経営陣が一定期間支援を求められるケースが考えられます。さらに、社員間で役割変更や組織文化の違いから離職リスクが高まる可能性もあります。

こうしたリスクを見越し、事前の体制整備や関係者とのコミュニケーションを徹底すると良いでしょう。

3. SaaS企業を「買収する側」のメリット・デメリット

以下のサブセクションを順に見ていきましょう:

  • 買収側の主なメリット(成長戦略、顧客基盤獲得、技術・人材の獲得など)
  • 買収側の主なデメリットと注意点(PMIの難しさ、簿外債務、文化の融合など)

3-1. 買収側の主なメリット(成長戦略、顧客基盤獲得、技術・人材の獲得など)

SaaS企業を買収する側は、自社の成長戦略を加速させる大きなメリットを得られます。顧客基盤や高度な技術、優秀な人材を短期間で獲得できるからです。

例えば、急成長中のSaaSスタートアップを買収することで、既存製品にAI機能を迅速に統合するケースが想定されます。このような買収は、新規市場への参入や製品価値の向上に直結しやすい点が利点でしょう。

買収側はこうしたシナジー効果を狙うことで、競争優位を確立しやすくなります。

3-2. 買収側の主なデメリットと注意点(PMIの難しさ、簿外債務、文化の融合など)

ただし、PMI(買収後統合)の難易度や簿外債務への対応が大きなデメリットにもなり得ます。組織文化の違いやシステム統合の複雑さ、隠れた負債リスクがプロジェクトを停滞させる可能性があるためです。

例えば、異なる開発プロセスを持つチーム同士がお互いのワークフローを理解・適合できず、開発や運用プロジェクトが遅延するケースが考えられます。また、過去の契約条件や債務が正確に把握されていなかった場合、M&A後に思わぬ追加費用や法的リスクが発生することもあります。

そのため、買収前の精緻なリスク評価と買収後の継続的なフォローアップが欠かせません。

4. SaaS企業M&A特有の企業価値評価と相場の考え方

以下のサブセクションを順に見ていきましょう:

  • SaaSビジネスモデルにおける主要な評価指標(ARR/MRR、LTV、チャーンレートなど)
  • 企業価値算定のアプローチと適正価格の見極め方
  • SaaS業界におけるM&Aの相場感とトレンド

4-1. SaaSビジネスモデルにおける主要な評価指標(ARR/MRR、LTV、チャーンレートなど)

SaaS企業の評価ではARRやMRR、LTV、チャーンレートといった指標が重要視されます。定期収益性や顧客維持力がビジネスの安定性を示すからです。

例えば、MRRが毎月10%成長している企業は、将来の収益拡大が期待できると考えられます。この成長率が高水準であれば、買い手側はプレミアムを支払う可能性があります。

このように、SaaS特有の評価指標を理解することが、適正価格における交渉の出発点になります。

4-2. 企業価値算定のアプローチと適正価格の見極め方

企業価値算定はDCF法や比較対象取引法などを組み合わせて行うのが一般的です。単一の手法では見落としがちな側面を相互補完できるためです。

例えば、ARRをベースにDCF法で企業価値を算出し、それを類似企業の取引倍率と比較することで、幅を持った評価レンジが想定されます。このような多角的アプローチは、交渉での説得力を高める効果があります。

適正価格を見極めるためにも、複数手法を併用することが賢明でしょう。

4-3. SaaS業界におけるM&Aの相場感とトレンド

最近の相場では、SaaS企業のEV/ARR倍率が8倍〜12倍前後で推移しています。SaaSビジネスの安定収益モデルに対する投資家の信頼感が高い一方で、金利上昇や景気減速といったマクロ経済の逆風も影響しているからです。

例えば、過去に大手企業が行った買収では、EV/ARRが10倍前後で合意されたケースもあり、一定のベンチマークとして参考にされることが多くあります。このような倍率は、業種や成長率などの要素によって上下する可能性があるので一概には言えませんが、市場の相場感を把握することは、価格交渉における説得材料となり、合理的な交渉が可能になるでしょう。

5. SaaS業界M&Aを成功させるための具体的なポイントと注意点

以下のサブセクションを順に見ていきましょう:

  • M&Aの目的明確化と戦略的な計画
  • 信頼できるM&Aアドバイザーの選定と活用
  • デューデリジェンスの徹底とリスクの特定
  • 買収後の統合(PMI)計画の重要性

5-1. M&Aの目的明確化と戦略的な計画

M&Aを成功させるためには、まず目的を明確に定義して戦略的に計画を立てる必要があります。目的が曖昧だと、交渉過程や統合後の評価軸がぶれてしまうからです。

例えば、市場シェア拡大を目的とするのか、技術獲得を優先するのかで、ターゲット選定の基準が変わるケースが考えられます。事前にKPIを設定することで、達成度合いを客観的に判断できるようになります。

このような手順を踏めば、M&Aの成果を最大化しやすくなるでしょう。

5-2. 信頼できるM&Aアドバイザーの選定と活用

次に、信頼できるM&Aアドバイザーの選定と活用が成功には欠かせません。専門家の助言により、交渉や評価、法務リスクを効果的に管理できるからです。

例えば、同業界での実績が豊富なアドバイザーを起用すると、価格交渉で有利な情報を提供してもらえる場合があります。また、法務面でのチェックリスト作成支援など、細かい調整がしやすい点もメリットです。

アドバイザー選定は、経験・信頼性・費用対効果を総合的に判断しましょう。

5-3. デューデリジェンスの徹底とリスクの特定

さらに、デューデリジェンスを徹底し、潜在的リスクを早期に特定することが重要です。隠れた負債や契約リスクを事前に把握しないと、後々大きな損失に繋がる可能性があります。

例えば、過去のインシデント対応履歴や顧客契約の解約条項を詳細に検証するケースが考えられます。この段階でチェックを網羅的に行うことで、統合後のトラブルを予防しやすくなります。

入念なデューデリジェンスがM&Aの安全性を担保すると言えます。

5-4. 買収後の統合(PMI)計画の重要性

最後に、買収後の統合(PMI)計画を早期に策定することが成功の鍵となります。統合プロセスの遅延は組織の不安定化やコスト増大を招くリスクがあるためです。

例えば、文化統合を目的としたワークショップや共通KPIの設定ワークロードを予め組み込むケースが考えられます。このような取り組みは、社員のエンゲージメント向上にも寄与します。

計画的なPMIは、M&Aの真価を引き出す上で欠かせない要素でしょう。

6. まとめ

SaaS業界におけるM&Aは、市場成長や技術革新を背景に活発化しています。今後も攻めのM&Aが主流となり、売り手・買い手双方に多様なメリットとリスクが存在するでしょう。

評価指標や適正価格の見極め、戦略的な計画策定と徹底したデューデリジェンス、PMIの実行が成功を左右します。これらのポイントを押さえることで、M&Aを成長加速の手段として効果的に活用できる可能性があります。

ファーストパートナーズ・グループでは、お客様のニーズに寄り添ったM&Aや資金調達のサポートを行っております。

SaaS企業のM&Aをご検討の方には、お客様の状況を鑑みながら、的確にアドバイスいたします。

これを機にぜひ一度、ご相談をご検討ください。

ご相談はこちらから。

長竹 祐樹

大学卒業後、新卒で銀行へ入行。支店業務(担当地域の個人・法人のお客様へ資産運用や融資の提案を主に実施)を経験後、本部へ異動し富裕層や相続・事業承継業務及び支店管理、提携先との連携や折衝を経験。頭取表彰や本部長表彰等受賞。銀行の求めるものとお客様の求めるものとのずれを感じ、株式会社ファーストパートナーズへ転職。現在は幅広いサービスや金融商品をお客様に案内できる環境にあり、お客様のニーズから真に求めるものを提案できるよう日々行動している。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

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