
(画像=SBI証券)
この記事は2025年8月6日にSBI証券で公開された「アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集」を転載したものです。 掲載記事(最新版):アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集 |
7月から8月5日までの米国株式市場は、米国が日本やEUなどと貿易協定で合意したことを背景としてトランプ関税の不透明感が後退したことや市場予想比で堅調な企業業績をサポート材料に、S&P500指数とナスダックが史上最高値を更新する場面が見られました。一方、FOMC後のパウエルFRB議長会見で利下げを示唆しなかったことや雇用統計(非農業部門雇用者数変化)が市場予想を下回ったほか、過去2カ月分が大幅に下方修正されたことを受けて軟調な動きも見られました。恐怖指数で知られるVIX指数は8月5日時点で17.85と注目ラインである20を下回っており、ボラティリティは総じてフェイバーです。セクターパフォーマンス(S&P500の11業種)では公益や情報技術、コミュニケーション・サービスなどが上げて、ヘルスケアや生活必需品などが下げました。個別株ではマイクロソフト(MSFT)やパランティア テクノロジーズ A(PLTR)、エヌビディア(NVDA)などが上場来高値圏で、ニューモント(NEM)やアルトリア グループ(MO)などが52週高値圏です。なお、S&P500指数採用銘柄で383社が決算発表済みで、そのうちEPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は81%とヒストリカルにみても市場予想比で米企業業績の堅調さが目立っています。
8月の米国株の注目点は、①CPI(12日発表予定)、②中国との高関税一時停止措置期限(12日予定)、③小売売上高(15日発表予定)、④ジャクソンホール会議(カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムで中央銀行総裁などが参加する、21-23日予定)、⑤エヌビディア決算発表(27日予定)、⑥FRB理事の後任人事と考えています。トランプ関税のインフレへの影響が懸念される中、CPI(消費者物価指数)は市場予想で前年比2.8%増と前回(同2.7%増)からインフレ高進の見通しです。中国との高関税一時停止期限が8月12日に迫る中、期限までに米中が停止措置の延長で最終合意できるかどうか注目されそうです。また、8月1日発表の雇用統計が弱含みを見せて米景気懸念が意識される中、小売売上高は市場予想で前月比0.5%増と前回(同0.6%増)からやや鈍化見通しです。小売売上高が市場予想並みあるいは市場予想を上回る事ができれば、足元のマーケットの米景気懸念が一旦後退に向かう可能性があります。金融政策を巡るポイントとしては、ジャクソンホール会議の講演を通じて、米金融政策に関するヒントが示唆されるかどうか大きな注目を集めそうです。なお、今年のジャクソンホール会議のテーマは「転換期の労働市場:人口動態、生産性、マクロ経済政策」です。特に米雇用市場に関する見方が注視される可能性があります。このほか、エヌビディアは売上高見通しが市場予想を上回るかどうか注目されそうです。クーグラーFRB理事が8月8日付で辞任予定であり、その後任としてトランプ大統領が誰を指名するか後任人事(利下げ推進派を指名か?)がマーケットで話題になりそうです。
今回のコンテンツのテーマは「好決算&好評価」です。5銘柄をピックアップいたします。
当コンテンツはBloombergデータ、カンザスシティ連銀Webサイト、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成
投資情報部 齊木 良
SBI証券 アナリスト注目銘柄
今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。
1.直近四半期決算で売上高とEPSが市場予想を上回り、増収増益
2. 決算発表直後の株価が上昇
3.アナリストの投資判断が買いと中立で過半数以上
1. アルファベット A(GOOGL) 「Google検索」や「ユーチューブ」などを通じて広告を展開し、インターネット広告の分野で世界大手です。クラウドサービスを展開するなど事業の多角化を進めており、検索やユーチューブ広告などのインターネット広告が売上高全体の76%を占め、クラウドサービスは12%です(2024年12月期)。地域別売上高は米国が49%、欧州・中東・アフリカが29%、アジア太平洋が16%、その他米州が6%です。25年4-6月期はAIの追い風で増収増益の好調な決算でした。広告収入は主力の検索&その他が同12%増、ユーチューブ広告は同13%増となり、クラウド売上高が同32%増でいずれも市場予想を上回りました。クラウドへの力強く拡大する需要に対応して、会社側は今年の設備投資計画を約850億ドルに上方修正し、積極投資姿勢を打ち出しました。
1.4-6月期は実質売上高(トラフィック獲得費用を除く)が前年比15%増、EPSは同22%増で市場予想を上回る
2. 決算発表を受けて直後の株価が約1%高
3.買いが63人、中立12人、売り0人
(画像=SBI証券)
2.メタ プラットフォームズ A(META) 世界最大級のSNS運営企業で、「フェイスブック(Facebook)」、「インスタグラム(Instagram)」、「メッセンジャー(Messenger)」、「ワッツアップ(WhatsApp)」などを運営しています。売上高の98%を広告収入が占め、VR(仮想現実)のリアリティ・ラボ部門は1%です(2024年12月期)。売上高成⾧率は2桁増収が足元で続いていて、同社サービスを少なくとも1つ使うユーザ-は34億人を超えています。マーク・ザッカーバーグCEOは25年4-6月期について、「ビジネスとコミュニティの両面で好調な四半期となった。世界中の人々にパーソナルなスーパーインテリジェンス(超知能)を構築することにエキサイティング」とコメント。会社側の25年7-9月期売上高見通しは市場予想を上回りました。25年通期の設備投資見通しは従来計画下限を上方修正し、26年もAI需要への対応を背景に積極的な計画を明らかにしました。
1.4-6月期は売上高が前年比22%増、EPSは同38%増で市場予想を上回る
2. 決算発表を受けて直後の株価が約11%高
3.買いが71人、中立8人、売り1人
(画像=SBI証券)
3.マイクロソフト(MSFT) 米国のソフトウェア大手で、クラウドサービスの「Azure(アジュール)」とサーバー関連製品で構成されるインテリジェント・クラウド部門や、「Microsoft 365(ワードやエクセルなどのサブスクリプション)」などが占めるプロダクティビティ・アンド・ビジネス・プロセス部門、「Windows」やノートPCの「Surface(サーフェス)」、ゲーム関連が含まれるモア・パーソナル・コンピューティング部門を通じて事業を展開しています。クラウド、AI、ゲームの分野で競争優位なポジションにあると考えられます。25年4-6月期は部門別でプロダクティビティ・アンド・ビジネス・プロセス売上高が同16%増、インテリジェント・クラウドが同26%増、モア・パーソナル・コンピューティングが同9%増でクラウドが牽引役です。Azure&その他クラウドサービス売上高は同39%増で市場予想を上回り、Azure通期売上高は同34%増加して750億ドルを超えました。会社側は25年7-9月期に300億ドルを超える積極投資を行う計画です。
1.4-6月期は売上高が前年比18%増、EPSは同24%増で市場予想を上回る
2.決算発表を受けて直後の株価が約4%高
3.買いが68人、中立4人、売り0人
(画像=SBI証券)
4.ケイデンス デザイン システムズ(CDNS) カリフォルニア州に本社があり、半導体設計支援のEDA(Electronic Design Automation:電子設計自動化ツール)大手です。ソフトウェアやIP(知的財産)のライセンスを始め、ハードウェア販売、ロイヤルティ収入などが収益源です。シノプシス(SNPS)などが同業で、半導体関連企業が顧客です。2024年12月期の売上高比率はコアEDAが71%、IP13%、システムデザイン&分析16%です。地域別では米国が46%、欧州・中東・アフリカ15%、中国12%、日本6%、その他アジア18%などです。AIスーパーサイクルを背景に全体的にビジネスは好調で、会社側は2025年12月期の売上高見通しを上方修正しました。
1.4-6月期は売上高が前年比20%増、EPSは同29%増で市場予想を上回る
2.決算発表を受けて直後の株価が約10%高
3.買いが19人、中立4人、売り1人
(画像=SBI証券)
5.ゴールドマン サックス(GS) NYに本社がある世界的な金融機関で持ち株会社です。2024年12月期の純収入比率はグローバルバンキング&マーケッツ(投資銀行やトレーディングなど)が65%、アセット&ウェルスマネジメント(プライベートバンキングなど)30%、プラットフォームソリューションズ4%です。地域別では米州が64%、欧州・中東・アフリカ23%、アジア13%です。IPOマーケットが回復の動きを見せており、同社にとっても追い風の1つとして材料視されそうです。M&Aにも強みがあり、会社側はM&A環境が底堅いとの見方を示しています。25年4-6月期は投資銀行や株式業務(株式トレーディング収入が過去最高)などのグローバルバンキング&マーケッツが牽引しました。
1. 4-6月期は売上高が前年比15%増、EPSは同27%増で市場予想を上回る
2.決算発表を受けて直後の株価が約1%高
3.買いが11人、中立13人、売り3人
(画像=SBI証券)
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