
これまでタイの不動産市場や法律・制度等について書いてきましたが、もう少し具体的にどれくらいのお金がかかってくるのか?今回はそこを掘り下げていきたいと思います。
日本人がタイの不動産を購入するとなれば、一般的にはコンドミニアムが中心となります。そのため、今回はコンドミニアムを購入するケースを取り上げたいと思います。
ただ、コンドミニアム購入と言っても、新築と中古で少し支払う金額や商習慣が違ったり、デベロッパーによって変わったり、時限的な政策によって変動があったりしますので、あくまで一般論としてご確認していただければ幸いです。
1.タイのコンドミニアム購入の基本的な流れ
では、タイのコンドミニアム購入の基本的な流れをおさらいします。
1.不動産会社やエージェントと連絡を取り、物件の内見をする。
2.購入したいタイのコンドミニアムを決める。
3.購入したいタイのコンドミニアムの予約金を支払う(物件価格の1%-3%前後)。
*予約金は物件価格に充当されます。
4.契約書の確認をして購入手続きをする(契約書の締結)。
5.外国為替取引証明書(FET)を取得する。
*外国人がコンドミニアムを購入する場合、購入資金を外国から送金し、タイの銀行で外国為替取引証明書(FET)を取得します。
6. 頭金や残金の支払い(決済)。
7. 立ち入り検査(インスペクション)、物件に問題があれば売主に連絡を取る。
8. コンドミニアムの引き渡し。
9. 不動産の登記手続き、所有権の移転をして終了。
*タイの不動産購入は書面による合意と土地局での登記を持って外国人でも所有権を得ることが可能。外国人の場合、外国為替取引証明書の提出も必須。
タイの購入不動産が新築物件か、中古物件かによっても手続きの流れが多少変わってきますので注意してください。特に新築物件であれば、物件が完成するまでに2-3年ほどの時間がかかりますので、お金の支払いタイミングが変わってきます。 上記のお金の部分をまとめたのが下記の表となります。
2.タイのコンドミニアム購入にかかる費用一覧
費用項目 | 概要 | 費用の目安 |
物件価格 | コンドミニアムなどの本体価格 | 地域・立地により大きく変動 |
登記費用(譲渡費用) | 土地局での名義変更など | 約2%(通常は買主と売主で折半) |
特別事業税(Specific Business Tax) | 売主が5年未満所有している場合 | 物件価格の3.3% |
印紙税 | 所有期間5年以上などで課税される | 物件価格の0.5% |
源泉徴収税(Withholding Tax) | 売主に課されるが交渉で買主負担もあり | 売買価格または評価額の1% |
弁護士費用 | 契約書作成・調査など | 5万〜10万バーツ程度 |
仲介手数料 | 物件紹介・購入サポートなど | 通常3〜5%(売買価格) |
出典:タイ国改正コンドミニアム法、各不動産会社HP等よりエイリック作成
例えば、3,000万円の中古コンドミニアムを購入した際にかかる費用は以下の通りです。
・物件価格:3,000万円
・登記費用:約30万円(1%)*為替により変動
・印紙税:約15万円(0.5%)*為替により変動
・仲介手数料:約90万円〜約150万円(3%-5%)*為替により変動
合計:3,000万円+物件価格の4.5%-6.5%前後
<その他:注意点>
*特別事業税や源泉徴収税は売主が支払うことが多いのですが、マーケットの状況や売主との交渉になりますので、必ず不動産会社に確認してください。
*また弁護士費用も必ずかかるわけではありませんが、物件によっては弁護士を入れて確認をした方が良いケースもあります。
*タイの不動産購入では契約書はタイ語か英語になります。契約前に必ず確認をすること、もしくは翻訳会社を使って翻訳することをお勧めします。
*タイの不動産購入では引き渡し前に立ち入り検査(インスペクション)が行われます。これは、物件を建てた後に水道や排水、害虫などのトラブルが少なくないからです。この時点でトラブルがあれば登記や引き渡しの前に売主側にしっかり伝え、修繕などを求めるようにしてください。
そして、不動産ですから「買って終わり」ではありません。購入後の維持管理、税金などもお金がかかってきます。
3.コンドミニアム維持にかかる費用一覧
費用項目 | 概要 | 費用の目安 |
管理費(Common Fee) | 建物の共用部維持・清掃など | 月20〜60バーツ/㎡程度 |
修繕積立金(Sinking Fund) | 大規模修繕用の積立金 | 一括で支払うことが多い:500〜1,000バーツ/㎡ |
電気・水道料金 | 日本と同様、使用量に応じて課金 | ローカルレートより割高なこともあり |
固定資産税(2020年〜導入) | 年間課税される(自宅・投資用で異なる) | 評価額の0.02〜0.3%程度(物件種別により変動) |
保険料 | 火災・地震など任意で加入可能 | 年数千バーツ〜(物件や補償内容による) |
出典:現地デベロッパー、不動産会社HP等よりエイリック作成
この中で特に日本と違うのは「修繕積立金」です。日本だと毎月徴収されるのが通例ですが、タイは一括で修繕積立金を支払うことが多いです。
例えば、50平米の物件を購入したとすると、
・管理費 :50平米×50バーツ=2,500バーツ/月
・修繕積立金:50平米×1,000バーツ=50,000バーツ/1回
・電気・水道:1,000バーツ〜2,000バーツ/月
物件やエリアによって変動します。
<その他:注意点>
*賃貸に出す場合だと、上記以外に「家具・家電」を購入する必要があります。家具・家電の価格はイメージがつきにくいのですが、新築物件であれば、デベロッパー側が用意しているケースもあるので、確認するようにしてください。
*不動産管理をお願いする場合は、別途不動産管理会社に管理費、サポート費が発生するケースがあります。賃貸に出している場合であれば、賃料の5%-10%前後、空室時の物件管理であれば1,000バーツから2,000バーツ前後が多いです。
これらが実際にタイでコンドミニアムを購入する際にかかってくる費用ですが、具体的に動き出すと様々なコストがかかってきます。もしくは意外とかからないということがあるかと思います。
特に新築物件であれば、最初にかかってくるコストはそこまで大きくありません。例えば、3,000万円のコンドミニアムを購入すると、
■契約書締結時
・予約金の支払い:1万バーツから10万バーツ
*金額は物件やデベロッパーにもよります。
■契約書締結後から30日以内
・頭金の支払い:物件価格の10%-30%前後(約300万円から約900万円)
・不動産仲介会社への支払い:物件価格の3%-5%(約90万円から約150万円)
*頭金の金額は物件やデベロッパーにもよります。
合計しても物件価格3,000万円のうち15%-30%ほどの投資で購入することができます。そこから「ダウンペイメント」と呼ばれる、竣工まで複数回に分けて分割払いがあるのですが、いずれにせよ、一括で3,000万円を支払えない方にとってはメリットの大きい買い方だと思います。
中古物件の場合は、日本と同様、即時引き渡しになるケースがほとんどですので、一括で支払う必要が出てきます。またタイのコンドミニアム購入において外国人が住宅ローンや投資ローンをタイの銀行から借りることは基本的には不可能です。日本でお金を借りて購入するケースも散見されますが、各個人の属性によって大きく違いますので、銀行や専門家に確認してください。
また、タイのコンドミニアムを購入する上で重要なのは「物件、デベロッパーによって違いが大きい」ということです。新築物件の場合はそこまで大きな違いはありませんが、中古物件の場合は、売主が個人のケースがほとんどです。そうなると、杓子定規的なルールがあるわけではなく、そのほとんどが「交渉」になってきますので、購入時にかかってくる費用が変わってきます。
具体的に言うと、登記費用や特別事業税や源泉徴収税などが買主負担というケースがあります。特に特別事業税は売主が5年未満の保有期間であればかかってくる税金です。これはタイの土地局にて確認する必要があるのですが、基本的には売主が支払うべき税金になります。しかし、この特別事業税を買主側が負担する、つまり価格に転嫁させるなどの行為も実際には行われています。また登記費用に関しても、通常は物件価格の2%を売主と買主で1%ずつ折半しますが、これを買主負担である、ということもあります。
中古物件を購入する際には、これらの税金やかかってくる費用について、不動産会社と詳細まで詰めて確認するようにしてください。あくまで物件価格以外の費用で言うと、物件価格+5%前後程度の費用が一般的ではありますが、著しく超えてくるような金額が提示されるようでしたら、売主と交渉すべきです。人気の物件や売主が強気な物件であれば、このようなことが普通に行われるので、購入前に十分注意して検討するようにしてください。
付け加えますと、タイには日本の不動産取引を規制している宅地建物取引業法等がありません。つまり、免許を取得せずとも、誰でも不動産会社を設立することができます。そのため、日本の宅建業法35条で定める「重要事項の説明等」がありませんので、購入時には十分注意をして、気になる部分は不動産会社に必ず確認して、それでも不安があるようでしたら、弁護士を間に入れるなどの対策をした方が安心につながると思います。
4.まとめ
タイのコンドミニアムは金額としても日本に比べるとまだ割安です。また維持費や税金なども日本より安い部分がありますので、とても魅力的に映ります。しかし、上述した通り、宅建業法など法整備という点では弱い部分があります。
ぜひ今回の内容をしっかりと理解した上で、どれくらいのお金がかかってくるのか?どれくらいが適当なのか?その判断の一助となれば幸いです。また売却に関するお金に関しては改めて別途書いていく予定です。