
- M&Aの高リスク案件の特徴が分からない
- M&Aトラブルの予兆について知りたい
- M&Aトラブルを回避する策について知りたい
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。M&Aのプロが、高リスク案件の特徴と防止策について解説します。
この記事を読むと、M&Aの高リスク案件に関する不安を解消でき、M&Aの成功に役立つでしょう。
目次
1. 特徴①:情報が出てこない案件は“見えていない地雷”がある
2. 特徴②:なぜか急がされる案件に潜む焦りの正体
3. 特徴③:売上や利益の“理想数値”が独り歩きしている
4. 特徴④:キーマンの関与が薄いときは危険信号
5. 特徴⑤:スキームが複雑すぎる案件は素人泣かせ
6. 専門家が実践する「トラブル回避チェックリスト」
7. まとめ
1. 特徴①:情報が出てこない案件は“見えていない地雷”がある
情報開示が進まない案件では、後工程で簿外債務や係争、契約上の制約などが出てくる可能性が高くなります。
デューデリジェンス(財務・税務・法務・ビジネスなど)を十分にできていない場合、意思決定に必要な前提が崩れやすく、価値算定や契約条件に連鎖的な歪みが生まれます。専門家は「開示スピード」「資料の網羅性」「差し戻し率」を初期から測り、DDの深度を調整します。PwCが示すように、DDは複数領域を有機的に組み合わせる前提で成り立ちます。開示の遅延や選別は、その前提を壊すサインになり得ます。
例えば、資料室に主要契約や就業規則が揃わないまま日程だけが進むケースが考えられます。こうした状況では、未払い残業や有給の未消化、取引先の「チェンジオブコントロール条項」などが後日発覚し、調整条項や表明保証の負担が増すでしょう。
中小企業庁も、クロージング後の保証未解除や対価未払いなどのトラブル事例に対して注意喚起しています。初期の開示姿勢は、その後の履行確実性を占う指標になりやすいといえます。
情報が出ていない時点で「想定外コスト」を見込んでおくことが必要かもしれません。価格よりも契約保護の設計を先に固めると安全でしょう。
2. 特徴②:なぜか急がされる案件に潜む焦りの正体
異常なスピード感が要求されるとき、相手方に資金繰りや契約期限など時間による障害が存在することがあります。