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仲田歩夢インタビュー 後編「挑戦し続ける覚悟」プロとしての壁と女子サッカーの未来

仲田歩夢インタビュー 前編「挑戦し続ける覚悟」プロとしての壁と女子サッカーの未来の後編です。

【日々の過ごし方とモチベーション】

━━モチベーションの維持や日々の過ごし方で意識していることはありますか

私はONとOFFがはっきりしているタイプです。休日は体を休めたり、買い物をしたり、友人と会ったりしてリフレッシュしています。

ずっとサッカーのことを考えているタイプではないので、モチベーションを保つことに苦労したことはほとんどありませんね。

━━食事面で気をつけていることはありますか

平日は基本的に自炊をしていますが、その日に食べたいものを基準に決めているので、あまり細かく管理することにはこだわっていません。

お肉が好きですね。あとはエビが好きでよく食べます(笑)。焼いて食べたりとか。パスタはバリエーションが豊富なので、自分でいろいろアレンジして作っています。

━━オフ日の過ごし方は

その時の気分や疲れ具合によって過ごし方が変わります。特に予定を立てずにのんびりしていたら、気づけば夕方になっていた…、なんてこともありますし、逆に朝から予定を決めて行動する日もあります。

━━サッカー以外の趣味はありますか

美容ですね。あとはK-POPが好きなので、音楽を聴いたりライブに行ったりしています。


【プレーと移籍の決断】

━━試合のVTRはよく見ますか

公式戦はしっかり見ていますし、クラブが撮影してくれている練習中の紅白戦もチェックしています。自分のプレーや近いポジションの選手との連携を確認するために、映像は欠かせません。

━━2021年に移籍されました。移籍にあたって迷いや葛藤はありましたか

私が移籍したのは、ちょうどWEリーグが創設されるタイミングで、移籍先のクラブが女子チームを新設した時期でもありました。

新しくできるチームという部分に興味が湧きましたし、環境を変えてみるのもありだなと思って、わくわく感や楽しみのほうが大きかったです。
INACに残る選択肢もありましたが、挑戦してみたい気持ちが強かったので決めました。

━━移籍後の環境に戸惑いはありませんでしたか

それほどなかったですね。顔見知りの選手も多かったですし、環境の変化にも自然と適応できました。

━━海外移籍を考えたことはありますか

あまり考えたことはありません。今の時代はどんどん海外へ挑戦する選手が増えていますが、私が若い頃は海外に行ける選手は本当にひと握りで、「自分が海外でプレーできるわけがない」と思っていたので、そういう意味で選択肢にはなかったです。


【プロとしての姿勢と価値観】

━━プロ選手としてプレーする上で、大切だと思うことは

難しいですね。常に思っているのは、「好きなサッカーを楽しんで取り組むこと」です。それが自分の良さを引き出してくれると思っています。

シンプルに聞こえるかもしれませんが、私にとってはすごく大事なことです。あとは、周囲の人の支えがあってこそ自分がプロとしてプレーできているということに感謝をしながら、責任を持ってプレーし続けたいと思っています。

━━年齢を重ねる中で、求められることに変化はありましたか

今ではチームの中でも最年長に近い立場になりました。周囲から「頼むよ」といった声を掛けられることが増えて、自分でも「そういう立場になったんだな」と実感するようになりました。

正直、自分自身あまり意識していなかったのですが、求められている役割をしっかり果たしていきたいです。

━━背番号13へのこだわりはありますか

小中学生の頃、鹿島アントラーズが大好きで、特に柳沢敦選手のファンでした。当時、柳沢選手の背番号が13だったので、中学生になって番号を選べるようになってからはずっと13番をつけています。

高校時代は選べなかったので違う番号でしたが、INACに入った時にたまたま13番が空いていたので、それ以来ずっと愛着を持ってつけています。

━━ご自身のキャリアの中でのベストゲームは

2023年4月3日に行われた、アウェーのさいたまダービーですね。1-2で逆転勝ちしたゲームで、今でも鮮明に記憶に残っています。

サポーターの方々も熱い気持ちを込めて応援してくれるダービーですし、覚悟を持って挑んだ試合でした。浦和は強いチームなので、いつもチャレンジする気持ちで戦っています。


【キャリア・価値観】

━━キャリアを重ねる中で、相談したり助言をもらったりする存在はいますか

基本的には自分で決めています。

親にも「どうしようかな」と相談したことはほとんどなく、いつも自分で決めている気がします。人に頼るタイプじゃないのかもしれません。割と直感で決めるタイプです。

━━ケガとの向き合い方、またはケガをしない秘訣はありますか

大きなケガがないのが自慢です。親に感謝ですね。

軽い肉離れなどはありますが、何ヶ月も休んだことはないんです。小さいケガをしても、気づいたら治っていることが多いです。痛みに鈍感なタイプで、以前、肉離れを起こした時もプレーしている間に治っていました(笑)。

━━用具へのこだわりはありますか

あまりないんですよね(笑)。スパイクの中敷きもそのままです。

たとえば、ソックスも五本指や足袋のタイプなどこだわって選んでいる選手も多いですが、私は全く気にせずそのままの状態で履いています。いろいろなことにとらわれすぎない“鈍感力”を大事にしています。


【お金との向き合い方】

━━お金の使い方や考え方は年齢と共に変化しましたか

20代前半は「今普通に生活できればいいか」という感覚でしたが、今は将来のことも考えるようになりました。今どれだけあれば将来困らないか、などと考える時間が増えました。

━━お金の管理はご自身でされていますか

はい、自分でやっています。

━━お金の使い方などをチームメイトと話す機会はありますか

チームメイトとはそういう話はほとんどしないですね。運用をしている選手もいないんじゃないかな。私自身もそうですが、もっと勉強しないといけないと思っています。


【最後に】

━━現在の目標は

とにかく今のクラブでいい成績を残したいです。チーム名もエンブレムも新たに変わり、期待値も上がっていますから。

個人の成績というより、クラブがより高いレベルで輝いていければと思っています。アグレッシブなサッカーを求められているので、きつい部分もありますが、その先に結果がついてくればいいかなと思っています。

━━SNSを更新するとネットニュースになりますが、注目されることについてどう受け止めていますか

正直、「こんなこと記事にする必要がある?」と思うこともありますが…、それでフォロワーが増えているのも事実なので、難しいところですよね。

興味のない人の目にも入ってしまうので、嫌なコメントを見ることもありますが、今はもうそういった心ない言葉に振り回されることはありません。注目してもらえるのはありがたいことですし、それが女子サッカーの認知度向上や観客動員数の増加につながってくれたらいいなと思ってやっています。

━━サッカー選手になっていなかったら何をしていましたか

子供の頃は「サッカー選手になりたい」と言ったことはなくて、「パン屋さんになりたい」と言っていました。

でも、今はサッカー以外のことってあまり想像できないんですよね。じっとしているのが苦手なので、デスクワークのような仕事には向いていないかなと思います…。

━━将来的に指導者という道を考えていますか

考えてないですね。子供は好きなので、サッカースクールとかは積極的にやってみたいと思いますが、指導者としてチームを背負うのは難しいかなって…。

━━苦手なスポーツ、もしくは苦手なことはありますか

あまりないかもです(笑)。泳げますし、元々ソフトボールもやっていたので野球もできます。

あっ、でもゴルフはうまくできなかったですね。


〈プロフィール〉

仲田 歩夢(なかだ あゆ

1993年8月15日生まれ。日本のサッカー選手で、ポジションはミッドフィルダー/フォワード。

山梨県出身。常盤木学園高等学校で全国優勝を経験し、高校3年時にはプロからのオファーを受け、2012年にINAC神戸レオネッサへ加入。名門クラブで日本代表クラスの選手たちに囲まれながら実力を磨き、世代別代表にも選出された。

2021年にはWEリーグ創設に合わせて移籍を決意。新チームの中心選手としてクラブを牽引している。

巧みな左足のキックと攻撃センスを武器に、クラブの得点源としてだけでなく、女子サッカーの発展にも強い思いを持ち続けている。

FPメディア編集部

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