資産運用

スーパーパワーファミリー 世帯年収3,000万円超・若年共働きが描く次世代富裕層像

スーパーパワーファミリー 世帯年収3,000万円超・若年共働きが描く次世代富裕層像
  • スーパーパワーファミリーとは?
  • 若年共働き層の資産形成戦略について知りたい
  • 若年共働き層の消費・ライフスタイルの特徴について知りたい

こうした層の実態やニーズを深く知りたいとお考えではありませんか?

資産運用のプロが、次世代富裕層像について解説します。

この記事を読むと、スーパーパワーファミリーに関する疑問を解消でき、安定的な資産形成戦略に役立つでしょう。

1. スーパーパワーファミリーとは

スーパーパワーファミリーについて、以下に沿って解説します。

  • 定義と特徴(高収入・共働き・都市部)
  • 出現の背景(女性就業拡大・共働き増・所得上昇・資産効果)

1-1. 定義と特徴(高収入・共働き・都市部)

スーパーパワーファミリーは、世帯年収が非常に高く、夫婦ともに働いている都市部の世帯を指す言葉です。

彼らは、経済的な余裕を背景に、質の高い生活を追求し、子育てやキャリア形成にも積極的な傾向が見られます。野村総合研究所の定義によれば、この層は「都市部居住で世帯年収3,000万円以上の大企業共働き世帯」であり、一般的な家庭よりも遥かに高い収入を得ている点が特徴的です。

例えば、夫婦でそれぞれ年収1,500万円以上を稼ぐことで、世帯全体として高収入を実現しているケースが考えられます。彼らは経済的な安定だけでなく、より充実したライフスタイルを志向し、教育や体験などへの投資も惜しまない傾向があるのです。

1-2. 出現の背景(女性就業拡大・共働き増・所得上昇・資産効果)

スーパーパワーファミリーの台頭は、女性の社会進出や共働き世帯の増加、そして資産効果といった複数の経済的・社会的な背景によって説明できます。

近年、女性の社会進出が加速し、多様な働き方が浸透することで、世帯収入を大きく押し上げる要因となりました。さらに、株式や投資信託などの資産価値の上昇が、彼らの資産総額を増加させています。

例えば、共働きによって得た潤沢な資金を株式投資や投資信託に充て、その資産が市場の成長とともに大きく増加するケースが想定されます。

また、円安の進行も、外貨建て資産を持つ世帯にとっては資産価値の実質的な増加につながっています。このように、共働きによる安定した高収入と、資産運用による効率的な資産増加が、スーパーパワーファミリーの出現を後押ししていると言えるでしょう。

2. 若年共働き層の資産形成戦略

若年共働き層の資産形成戦略について、以下に沿って解説します。

  • 株式・投資信託・ETFへの積極投資(新NISA/iDeCo活用)
  • 不動産やオルタナティブ投資(J-REIT/不動産CF、スタートアップ投資など)

2-1. 株式・投資信託・ETFへの積極投資(新NISA/iDeCo活用)

若年共働き層は、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を積極的に活用し、株式・投資信託への投資を積極的に行っています。

これは、税制優遇によって効率的に資産を増やせることに加え、少額から投資を始められる手軽さが、彼らの投資行動を後押ししているためです。

例えば、毎月定額を新NISAのつみたて投資枠で全世界株式インデックスファンドに投資した場合、長期的な視点で複利効果を享受しながら、非課税で資産を増やしていくことが期待できます。

2025年3月末時点で、新NISAも含めたNISAの買付額は累計59兆円に達しており、特に若年層での新NISA口座の開設割合が高まっている傾向があります。iDeCoの加入者数も2025年6月時点で約368.8万人に上るなど、これらの制度が若年層の資産形成に大きく貢献していることが伺えます。

2-2. 不動産やオルタナティブ投資(J-REIT/不動産投資、スタートアップ投資など)

この層は、株式や投資信託だけでなく、不動産や一部のオルタナティブ投資にも関心を示し、資産ポートフォリオの多様化を図っています。

これは、分散投資によるリスク軽減と、安定したインカムゲインやキャピタルゲインの獲得を目指すためです。例えば、J-REIT(不動産投資信託)を通じて、少額から複数の不動産に投資した場合、実物不動産の直接所有に伴う管理の手間を省きつつ、不動産市場の恩恵を受けることが可能となります。

また、一部の富裕層はスタートアップ企業への投資も検討します。エンジェル税制の拡充は、投資家がスタートアップに投資する際の税制優遇を強化し、非課税措置の対象も広がっています。

これは、高い成長ポテンシャルを持つ未公開企業への投資を促し、新たなイノベーションの創出を支援するものです。

3. 消費・ライフスタイルの特徴

スーパーパワーファミリーは、高い収入を背景に、質の高い生活を重視する傾向があります。

彼らは単に高価なものを購入するだけでなく、人生の価値を高める「特別な体験」や「上質なもの」に支出を惜しまないのが特徴です。また、趣味や好きなことを深く極めることにも時間や資金を投じる傾向が見られます。

消費・ライフスタイルの特徴について、以下に沿って解説します。

  • 教育・子育てへの積極支出(具体額)
  • 高額消費とブランド志向
  • 健康・ウェルビーイングへの支出

3-1. 教育・子育てへの積極支出(具体額)

スーパーパワーファミリーは、子どもの教育や子育てに対して非常に積極的な支出をする傾向があります。

これは、子どもの将来に最高の教育環境を提供したいという強い願いがあるためです。例えば、文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までの15年間、全て私立学校に通わせた場合の学習費総額は、公立のみの場合と比較して約3倍近くに上るケースが想定されます。

私立小学校では年間182万8,112円、私立中学校では年間156万359円、私立高等学校では年間103万283円が学習費総額として報告されており、公立学校の費用と比べて顕著な差があります。特に私立小学校の学習費総額は公立小学校の約5.4倍、私立中学校は約2.9倍、私立高等学校は約1.7倍となっています。

さらに、世帯の年間収入が増加するにつれて、家庭教師や学習塾などの「学校外活動費」も増える傾向が見られます。このように、彼らは子どもの教育のために惜しみなく投資を行い、その環境整備に力を入れているのです。

3-2. 高額消費とブランド志向

スーパーパワーファミリーは、高額な商品やサービスに対する支出をいとわず、特にブランド品への強い志向を持つことが特徴です。

彼らは単に価格が高いだけでなく、その製品やサービスが持つ「価値」を重視して消費行動を決定するためです。例えば、デロイトトーマツの調査では、富裕層の7割以上が「自分の好きなことに対しては支出をいとわない」と回答しており、ボストンコンサルティンググループの調査でも、高額消費者の80%が「価格が高くても、価値があれば購入する」と答えています。

また、彼らはエンターテイメント、旅行、趣味の分野において、一般消費者の約9倍もの支出をする傾向が見られます。さらに、ブランド品購入時には6割以上の高額消費者が「同じブランドを検討・購入する」と答えるほど、特定のブランドへのこだわりが強いことも明らかになっています。

このように、彼らは価格だけでなく、製品の品質やブランドの信頼性、そしてそれらが提供する体験価値を重視した消費を行うと言えるでしょう。

3-3. 健康・ウェルビーイングへの支出

スーパーパワーファミリーは、自身の健康や心身の充実、つまりウェルビーイングな生活の実現に向けて、積極的に支出を行っています。

これは、彼らが生活の質を向上させることを重視し、その支出について「豊かな人生を送るための投資」と捉えているためです。例えば、フィットネスジムの会員になったり、オーガニック食品を選んだり、あるいは質の高い医療サービスを利用するケースが考えられます。

デロイトトーマツの調査では、富裕層が「ウェルビーイングな生活を重視したい」という意向を強く持っていることが示されています。彼らは他よりも少し高価であっても、上質なものを生活に取り入れることで、より良い生活条件や幸福感を追求しているのです。国民医療費の総額は増加傾向にありますが、彼らは予防医療や質の高い健康管理にも関心を持つでしょう。

このように、彼らの支出は、単なる消費ではなく、自己の健康と生活の質を高めるための戦略的な投資と言えます。

4. 投資家が学べる3つのポイント

スーパーパワーファミリーの資産形成やライフスタイルからは、私たち投資家が学ぶべき重要なヒントが数多く見つかります。

彼らがどのようにしてその経済的な地位を築き、維持しているのかを知ることで、自身の資産形成戦略を見直すきっかけとなるかもしれません。

投資家が学べる3つのポイントについて、以下に沿って解説します。

  • 資産形成を加速させる習慣(制度活用・自動化)
  • リスク分散の実践方法(段階的・上限設定)
  • 消費と投資のバランス感覚(自己投資×金融投資)

4-1. 資産形成を加速させる習慣(制度活用・自動化)

資産形成を効果的に加速させるためには、税制優遇制度の活用と自動化された投資習慣を身につけることが極めて重要です。

これは、非課税メリットを最大限に享受し、感情に左右されない着実な投資を継続するためです。例えば、新NISAのつみたて投資枠やiDeCoを利用して、毎月一定額を自動で投資に回すケースが想定されます。

これにより、市場の変動に一喜一憂することなく、長期的な視点で資産を形成していくことが可能になります。このように、制度を賢く利用し、投資を習慣化することが、資産を大きく育てるための鍵と言えるでしょう。

4-2. リスク分散の実践方法(段階的・上限設定)

資産形成において、リスクを適切に管理するためには、段階的な投資と上限設定を組み合わせた分散投資が有効です。

これは、投資未経験者が感じる「お金が減るのが怖い」という不安を軽減し、市場のボラティリティに対応するためです。例えば、少額から投資を始め、慣れてきたら徐々に投資額を増やしていく段階的なアプローチが考えられます。

また、特定の銘柄や地域に集中せず、国内外の株式や債券、不動産(J-REITなど)など、多様な資産クラスに分散して投資することも重要です。日本総合研究所の調査では、新NISAを活用する若年層の一部で、海外株などの特定の金融商品に投資が集中している懸念が指摘されています。

こうした集中投資は、市場が下落局面に入った際に大きな損失につながる可能性があります。そのため、個人のリスク許容度に応じて投資上限を設定し、ポートフォリオ全体でバランスを取ることが、長期的な資産形成には不可欠だと言えるでしょう。

4-3. 消費と投資のバランス感覚(自己投資×金融投資)

スーパーパワーファミリーのライフスタイルから学ぶべき点として、消費と投資のバランス感覚を養うことが挙げられます。

彼らは支出を抑えることよりも、自己成長につながる「自己投資」や「体験」への投資を重視する傾向があるためです。例えば、自身のスキルアップのための学習や、教養を深めるための旅行、あるいは家族との思い出を作るための体験活動に積極的に支出するケースが想定されます。

デロイトトーマツの調査では、多くの富裕層が「人生の価値を高める特別な体験」や「趣味を深く極める」ことに支出をいとわないと回答したことがわかっています。このような自己投資は、将来の収入増加やキャリアアップにつながり、結果として金融投資の原資を増やす可能性も秘めています。

スタートアップの平均年収が大企業を上回る傾向があることからも、自身の能力を高めることが経済的なリターンに繋がることは明らかです。このように、賢い消費によって得られる経験やスキルが、長期的な資産形成を支える基盤となり得るのです。

5. まとめ

スーパーパワーファミリーは、世帯年収3,000万円超の若年共働き層として、新しい富裕層像を形成しています。

彼らは都市部に住み、女性の社会進出や共働き世帯の増加、さらにはそれに伴う資産効果を背景に、その経済力を高めてきました。彼らの資産形成戦略は、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を積極的に活用した株式・投資信託・ETFへの投資に加え、不動産や一部のオルタナティブ投資による多様化も特徴的です。

また、消費とライフスタイルにおいては、子どもの教育費に惜しみなく支出し、ブランド品や体験価値を重視し、健康やウェルビーイング等への支出は、豊かな生活を送るための投資として、節約や貯蓄すること以上に重要視しています。これらの特徴から、私たち投資家が学ぶべきポイントは、税制優遇制度を最大限に活用し、自動化された投資を習慣にすること、リスク分散を意識した段階的かつ上限設定を設けた投資を行うこと、そして自己成長につながる消費と金融投資のバランスを保つことです。

スーパーパワーファミリーの台頭は、これからの時代における新たな富裕層の姿を示しています。彼らの資産形成や消費行動の戦略を理解し、自身のライフプランに取り入れることで、持続可能な豊かな生活を実現するヒントを得られるかもしれません。

ファーストパートナーズでは、お客様のニーズに寄り添った資産運用のご提案を行っております。安定的に資産を増やしたい方に対して、状況を鑑みながら、的確にアドバイスいたします。

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畦知 伸一郎

名古屋大学理学部数学科を卒業後、大和証券に入社。新卒から5年間は京都支店で勤務し、その後FPとして独立。大和証券では個人や法人の富裕層の資産コンサルタントとして300名以上のお客様を担当。
ファーストパートナーズ入社後は大和証券時代よりもさらにレベルアップしたお客様目線での有価証券の運用提案だけでなく、M&Aや不動産も含めたアドバイスを行っています。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

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