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株式市場のアノマリーとは? 投資の教科書#6

株式市場のアノマリーとは

株式市場には、「アノマリー」と呼ばれる、一般的な市場理論では合理的な説明ができないものの、過去のデータに基づいて繰り返し観測される価格変動の傾向があります。代表的な例として、「9月は1年の中で最も株価が下がりやすい月」といったものが挙げられます。

今回は過去のデータを基に、この”9月アノマリー”が2025年にも当てはまったのかを検証します。

9月アノマリーの検証

1949年12月末から2025年8月末までの長期データを用いて、日米株式の月別平均リターンを集計したものが図表1です。

日本株式・米国株式ともに9月は1年の中で最もパフォーマンスが悪い月であることが分かります。

図表1:月別の日本株式・米国株式のパフォーマンス
月次、期間:1949年12月末~2025年8月末、現地通貨ベース

※日本株式:TOPIX、米国株式:S&P500
出所:ブルームバーグのデータを基にFPメディア編集部作成

次に、各月における下落した回数とその確率を見てみると、日本株式が9月に下落した回数は75回中39回(52%)、米国株式は75回中29回(39%)でした。

日本株式は9月が1年の中で最も下落回数の多い月でしたが、米国株式は他の月の方が下落回数が多い傾向が見られました(図表2)。

図表2:月別の日本株式・米国株式がマイナスだった確率
月次、期間:1949年12月末~2025年8月末、現地通貨ベース

※検証期間:1949年12月末から2025年8月末まで
※日本株式:TOPIX、米国株式:S&P500
出所:ブルームバーグのデータを基にFPメディア編集部作成

ウォール街の格言と2025年の動き

米国株式における9月アノマリーには、「前半は堅調、後半は軟調」という傾向があるとされ、この傾向を示すウォール街の格言が以下です。

「ロシュ・ハシャナ(ユダヤ新年)の前に売り、ヨム・キプール(贖罪の日)の前に買え」

具体的な日付は、その年のユダヤ暦やグレゴリオ暦によって変動しますが、一般的に9月中旬から10月初め頃にあたります。2025年の場合、ロシュ・ハシャナは9月23日~24日、ヨナ・キプールは10月2日となります。

したがって、格言に従えば「9月23日前に売却し10月2日に買う」となります。

2025年9月の実際の動き

2025年9月23日以降も日本株式・米国株式ともに堅調な動きが確認できます(図表3)。

しかし米国では新会計年度のつなぎ予算案が成立しておらず、10月1日から政府閉鎖の懸念が高まっているため、予期せぬリスク回避の動きから株価が調整する可能性も考えられます。

図表3:年初来の日本株式・米国株式の推移
日次、期間:2024年12月30日~2025年9月26日、現地通貨ベース、灰色部分が9月1日以降

※日本株式:TOPIX、米国株式:S&P500
出所:ブルームバーグのデータを基にFPメディア編集部作成

まとめ

アノマリーはあくまでも過去の傾向に基づくものであり、必ずしも将来の動きを予測するものではありません。

しかし、投資判断を行う際の参考の一つとして、こうした季節性や市場の習慣を知っておくことは有益です。

FPメディア編集部

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