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日経平均とTOPIXどっちに投資すべき?初心者向けにやさしく解説

株式投資を始めると、必ず目にするのが「日経平均株価」「TOPIX」。どちらも日本株の代表的な指数ですが、算出方法や値動きの特徴は異なります。

本記事では、2つの指数の基本的な仕組みから比較ポイント、長期と短期の使い分け、ETFの選び方までをわかりやすく整理し、自分の投資スタイルに合う指数を見極めるためのヒントをまとめます。

1. まずは基本から:日経平均とTOPIXの違いを知ろう

株式投資を始めると、ニュースや経済記事で必ず耳にするのが「日経平均株価」と「TOPIX(東証株価指数)」です。どちらも日本の株式市場を代表する株価指数ですが、その仕組みや値動きの意味は大きく異なります。

投資判断をする際や経済全体の動向を把握するうえで、この2つの違いを理解しておくことはとても重要です。ここでは、それぞれの特徴を整理しながら、投資家にとってどのような意味を持つのかを解説していきます。

1-1. 日経平均株価とは?

日経平均株価は、日本経済新聞社が算出・公表している株価指数で、東京証券取引所プライム市場に上場している企業のうち、日本経済新聞社が選定した225銘柄の株価をもとに計算されます。

構成銘柄には、トヨタ自動車(7203)やソニーグループ(6758)、ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)など、日本を代表する大企業が名を連ねています。

この指数の特徴は「株価の単純平均」をベースに算出している点です。具体的には、225銘柄の株価を合計し、それを銘柄数で割って調整した数値が日経平均株価として公表されます。

この仕組みには一つの特徴があります。それは「株価が高い銘柄の影響を強く受ける」という点です。

たとえば、株価が1万円の銘柄と1,000円の銘柄があった場合、同じ5%の値動きをしても、指数に与える影響は株価が高い1万円の銘柄の方が大きくなります。つまり、いわゆる「値がさ株(株価が高額な銘柄)」が日経平均株価の動きを大きく左右しやすい仕組みといえるでしょう。

日経平均株価は1949年から算出されており、70年以上の歴史を持ちます。長年にわたり経済ニュースで取り上げられ、日本の株式市場の「顔」として親しまれてきました。国内外の投資家にとって、日本株全体の動きをイメージするうえで欠かせない指標となっています。

1-2. TOPIXとは?

一方、TOPIX(Tokyo Stock Price Index:東証株価指数)は、東京証券取引所が算出・公表している株価指数です。1968年1月4日(基準日)の時価総額を100として、1969年7月1日から算出して公表しています。

現在は、原則として東証プライム市場に上場する国内普通株式を対象としています。ただし、流動性など一定の基準を満たさない銘柄は除外、またはウエイトを低減する仕組みが導入されています。

構成銘柄数はおおよそ 1,600〜1,800 銘柄で推移しており(2025年1月時点で1,700銘柄)、日経平均株価(225銘柄)と比べてはるかに広い範囲の銘柄を対象とする点が特徴です。

TOPIXの算出方法は、日経平均株価とは大きく異なり、「時価総額加重平均方式」を採用しています。これは、各企業の株価に発行済み株式数を掛け合わせて算出される「時価総額」を基準に指数を計算する方法です。つまり、企業規模の大きな会社ほど指数に与える影響が大きくなります。

たとえば、トヨタ自動車(7203)のように時価総額が大きい企業はTOPIX全体の動きを左右しやすい一方で、規模の小さな企業は指数への影響が限定的になります。

TOPIXは東証プライム市場のほぼ全銘柄を対象としているため、日本の株式市場全体の動きを映し出す指標といえます。特定の「値がさ株(株価が高い銘柄)」に偏らず、より「市場全体の健康状態」を測る役割を担っているため、国内外の機関投資家が日本株の投資成果を測るベンチマークとして広く利用しています。そのため、投資信託やETFなどでもTOPIXに連動するものが多く採用されています。

2. 日経平均とTOPIXの比較

「日経平均株価」と「TOPIX」について簡単に紹介しましたが、投資初心者にとっては「どちらを見ればよいのか」「何が違うのか」がわかりにくいかもしれません。

ここでは、算出方法や構成銘柄、値動きの傾向、代表的な企業、さらには投資家の活用方法まで整理して比較していきます。

2-1. 算出ルールの違い:「株価に敏感な日経平均」と「企業規模を重視するTOPIX」

日経平均の算出ルール

日経平均株価は、225銘柄の株価を単純平均して算出される指数です。株式分割や併合といった要因を調整するための補正値を用いて計算されますが、基本的には株価そのものの動きに強く反応する仕組みです。

たとえば株価が10,000円の銘柄が1%動くと、指数への影響は株価が1,000円の銘柄の10倍になります。そのため「株価の高い銘柄=値がさ株」の存在感が非常に大きいのが特徴です。

TOPIXの算出ルール

一方、TOPIXは「時価総額加重平均方式」を採用しています。これは、各企業の株価に発行済み株式数を掛け合わせて算出した時価総額をもとに指数を計算する方式です。

企業規模が大きければ大きいほど指数に与える影響も大きくなるため、トヨタ自動車(7203)や三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)のような巨大企業の動きがTOPIX全体に強く反映されます。

ポイント

この2つの違いは投資判断に直結します。日経平均は株価の高さによって特定の銘柄が大きく左右するため、「市場全体の実態よりも偏りが出やすい」傾向があります。

逆にTOPIXは時価総額を基準にしているため、規模の大きな企業の動向を中心に「市場全体の動き」を示す指標といえます。

2-2. 構成銘柄数の違い:「225社の精鋭」と「約1,700社のオールスター」

日経平均の225銘柄

日経平均株価に採用されるのは225社のみです。プライム市場に上場する企業から選定され、日本を代表する大企業が中心です。

選定は日本経済新聞社が行い、業種のバランスや流動性を考慮して構成銘柄が定期的に入れ替えられます。採用されることは「日本経済を代表する企業」としてのステータスでもあり、企業の知名度向上にもつながります。

TOPIXの約1,700銘柄

一方、TOPIXはプライム市場に上場するほぼ全ての企業を対象としています。銘柄数は約1,700社に及び、業種や規模を問わず幅広い企業が含まれています。大企業から中堅企業までカバーするため、「日本株市場全体を映す鏡」としての役割を果たしています。

ポイント

日経平均株価は限られた銘柄で構成されているため、変動がわかりやすく速報性も高いですが、一部の企業に偏る可能性があります。TOPIXは銘柄数が圧倒的に多いため、市場全体の平均像をより的確に反映できるという強みがあります。

2-3. 値動きの特徴:「値がさ株に左右される日経平均」と「市場全体の動きを映すTOPIX」

日経平均の特徴

日経平均株価は値がさ株の動きに左右されやすいという特徴があります。たとえば、ユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)やソフトバンクグループ(9984)など株価が数万円規模の銘柄が動くと、指数全体にも大きな影響を与えます。

そのため、「日経平均株価が大きく動いたが、TOPIXはほとんど動いていない」というケースも珍しくありません。これは、特定の値がさ株の動きが日経平均株価を押し上げたり、引き下げたりするためです。

TOPIXの特徴

TOPIXは時価総額を基準に算出されているため、一部の値がさ株の影響だけで動くことはあまりなく、市場全体の傾向を反映しやすいといえます。小型株や中型株の影響は限定的ですが、大企業を中心に幅広い銘柄の動きが指数に反映されます。

ポイント

短期的な市場の盛り上がりやニュース速報的な動向を把握したいときには日経平均株価がわかりやすく、長期的に日本株全体の基調をつかむにはTOPIXが適している、と使い分けるのが一般的です。

2-4. 代表企業の顔ぶれ:「ユニクロなど消費関連が目立つ日経平均」と「トヨタ中心のTOPIX」

日経平均の代表企業

日経平均株価は値がさ株の影響が強いため、構成銘柄の中でも特に株価水準が高い企業が目立ちます。ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクグループ(9984)、東京エレクトロン(8035)などがその典型です。いずれも消費関連やハイテク分野を中心とした企業であり、海外市場とのつながりが強く、グローバル経済の動向に敏感に反応するのが特徴です。

TOPIXの代表企業

一方で、TOPIXではトヨタ自動車(7203)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、NTT(9432)といった巨大企業が中心的な役割を果たします。これらは日本経済の屋台骨を支える企業であり、時価総額の大きさゆえにTOPIX全体の動きを大きく左右します。金融や自動車、通信といった基幹産業が目立つ点も特徴です。

ポイント

日経平均株価が「値がさ株中心のハイライト」であるのに対し、TOPIXは「日本経済の基盤そのもの」を映し出すといえます。どちらに注目するかで、見えてくる日本株市場の姿は大きく変わります。

2-5. 投資家の使い方の違い:「ニュース向けの日経平均」と「プロが重視するTOPIX」

日経平均の活用方法

日経平均株価はニュースや経済番組などで頻繁に取り上げられるため、投資家にとって「今日の株式市場がどう動いたか」を直感的に把握するのに役立ちます。速報性が高く、数字としてわかりやすいので、一般投資家や初心者が市場の雰囲気をつかむ上で非常に便利な指標です。

TOPIXの活用方法

機関投資家やプロの投資家がより重視するのはTOPIXです。市場全体を反映する指標であり、投資信託やETFなど多くの金融商品のベンチマークとして採用されています。

日本株全体のパフォーマンスを評価したり、資産配分の判断をしたりする際には、TOPIXを基準にするケースが多いのもこのためです。

併用するのがベスト

個人投資家にとっては、日経平均株価とTOPIXの両方を確認することが最も効果的です。

日経平均株価で「市場の話題性や投資家心理」をつかみ、TOPIXで「市場全体の実態」を把握するとよいでしょう。両者を併用することで、日本株市場の動向をより多角的に理解できるようになります。

3. 長期投資に向いているのはどっち?

株式投資をする際に気になるポイントの一つが「どの指数を参考にすれば長期的な資産形成につながりやすいのか」という点です。

日経平均株価とTOPIXはいずれも日本株を代表する株価指数ですが、その構成や算出方法の違いから、長期投資に向くかどうかの性質も異なります。ここでは両者の特徴を比較し、長期投資という観点から整理していきます。

長期投資に向いているのは?

長期的に資産を増やすという観点から考えると、市場全体の動向をより正確に反映するTOPIXの方が「分散効果」が大きい傾向がみられ、長期投資に向きやすいと考えられます。

TOPIXは特定の値がさ株の影響を受けにくく、幅広い業種・企業規模を含むため、日本株市場全体の成長を取り込める可能性が高いといえます。

一方で、日経平均株価にも独自の強みがあります。ニュースで頻繁に取り上げられるため、値動きの変化を直感的につかみやすく、市場全体のムードを把握するのに優れています。また、構成銘柄は225社という限られた精鋭企業に絞られているため、グローバルに展開する日本企業の勢いをつかむ手がかりにもなります。

結論としては「どちらが正解か」というよりも、日経平均株価とTOPIXの両方を参考にするのが賢い方法といえるでしょう。短期的な市場のムードやニュース性を把握するには日経平均株価、長期的な市場全体の成長をとらえるにはTOPIX、と目的に応じて使い分けるのも効果的です。

4. 短期売買で注目するべきなのはどっち?

株式投資には、長期的に資産を積み上げるスタイルと、短期的な値動きを狙うスタイルがあります。

デイトレードやスイングトレードのような短期売買では、「いま市場がどう動いているのか」を迅速につかむことが重要になります。では、日本を代表する株価指数である日経平均株価とTOPIXのうち、短期売買を行う際にはどちらに注目すべきなのでしょうか。

短期売買における両指数の使い分け

短期売買を行ううえで最も重視されるのはスピードとタイミングです。値がさ株の動きで大きく振れやすい日経平均株価は、ニュース速報や市場のムードを把握するのに適しています。

特にデイトレードでは、「日経平均株価が大きく下落しているから市場全体も売りが優勢だ」といった短期的な判断につなげやすいでしょう。

ただし、日経平均株価だけを見ていると市場の実態を見誤る可能性があります。値がさ株の上昇で日経平均株価が大きく上がっていても、実際には多くの銘柄が下落しているケースも珍しくありません。そのため、短期売買でもTOPIXを併せて確認することで「全体的に資金が流入しているのか」「一部の大型銘柄だけが動いているのか」といった視点を補うことができます。

5. 初心者が選ぶなら日経平均?TOPIX?

株式投資を始めたばかりの人にとって、「どの銘柄を買うか」というのは大きな悩みです。個別株を選ぶのは難しく、ニュースや決算を追い続けるのも負担が大きいと感じる方も少なくありません。

そんなときに検討されやすいのが、指数に連動するインデックス投資です。日経平均株価やTOPIXといった株価指数に連動する形で運用できるため、初心者でも分散投資を実現しやすくなります。では、初心者が選ぶなら日経平均株価とTOPIXのどちらがよいのでしょうか。

初心者が選ぶときのポイント

「とにかくわかりやすさを優先したい」「ニュースで見た数字と同じ動きをしている方が安心できる」という方には、日経平均株価が向いています。市場の雰囲気をつかみやすく、値動きも把握しやすいため、投資を始める第一歩として取り入れやすいでしょう。

一方で、「できるだけ多くの企業に分散投資したい」「日本市場全体の成長を取り込みたい」と考えるなら、TOPIXが有力な選択肢になります。特定の値がさ株に左右されにくく、より安定感のある投資先として長期運用にも適しています。

必ずしもどちらか一方を選ばなければならないわけではありません。日経平均株価とTOPIXを少しずつ組み合わせることで、ニュースでのわかりやすさと市場全体への分散という、両方のメリットを取り入れることも可能です。

6. まとめ:あなたに合うのは日経平均?TOPIX?

日経平均株価は225銘柄の単純平均で算出され、値がさ株の影響を受けやすい反面、ニュースで状況をつかみやすいという特徴があります。

一方、TOPIXは約1,700銘柄を時価総額加重平均で算出しているため、日本株全体の動きを反映するという特徴があります。

初心者が運用を検討する場合、わかりやすさを重視するなら日経平均株価、分散性や長期の安定感を重視するならTOPIXが候補になりやすいでしょう。また、両者を組み合わせて保有する考え方もあります。大切なのは、目的・期間・リスク許容度に合った形で、無理のない範囲で継続することです。自分に合った投資スタイルを見つけ、長期的な資産形成につなげましょう。

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野田 大輔

大学卒業後、みずほ証券入社。難波支店、所沢支店に在籍し、株式会社ファーストパートナーズへ入社。
みずほ証券では成績優秀者参加の海外研修参加、ベストパフォーマンス賞(社長賞)受賞、従業員組合兼務。
お客様のニーズに寄り添った資産運用アドバイスをワンストップで提供していきたいと考え、ファーストパートナーズに入社。
顧客の利益最大化を第一として日々奮闘している。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

資産・不動産・M&Aまで対応

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