
(画像=SBI証券)
| この記事は2025年11月17日にSBI証券で公開された「1分でチェック!今週の米国株式 」を転載したものです。 掲載記事(最新版):1分でチェック!今週の米国株式 |
今週はエヌビディア決算発表や雇用統計を受けてハイテクからのセクターローテーションが変化するかどうかがポイント
先週の振り返り
先週の米国株はセクターローテーションの動きが目立ちました。AI関連を中心とした高バリュエーション懸念やFRB高官によるタカ派発言を材料視して、これまで好調だったハイテク株からそれ以外のセクターにシフトする動きが見られて、NYダウが史上最高値を更新する場面がありました。なお、つなぎ予算が米議会で可決後、トランプ大統領の署名を経て、政府機関閉鎖は終了しました。S&P500指数などの主要株価3指数は週間ベースでNYダウとS&P500指数が反発、ナスダックは続落しました。週間ベースのS&P500セクター別(11業種)パフォーマンスはヘルスケアやエネルギー、素材などが上げて、一般消費財・サービスや公益などが下げました。個別株では、アメリカン エキスプレス(AXP)、ゴールドマン サックス(GS)、JPモルガン チェース(JPM)などが史上最高値圏で推移しています。このほか、ラスベガス サンズ(LVS)やバイオジェン(BIIB)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で200日移動平均を超える比率は55%です。年初来のファクターリターンではEPS修正や時価総額、流動性などのファクターがアウトパフォームしています。
個別株ではアルファベット A(GOOGL)はバークシャー ハサウェイが同社株を新規購入したことが明らかになり、11/14の時間外取引で上昇しました。シスコ システムズ(CSCO)は8-10月期のインフラ関連受注が前四半期比で増加したほか、25年11月-26年1月期の業績見通しが市場予想を上回り、大幅高となりました。アプライド マテリアルズ(AMAT)は25年11月-26年1月期の売上高見通しが市場予想を上回ったほか、26年後半の回復を想定して上昇しました。アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)はアナリストデーにおいて、売上高が今後3-5年で平均35%成長するとの見通しを示して、急騰する場面がありました。一方、ウォルト ディズニー(DIS)は7-9月期の売上高が市場予想を下回ったほか、大型予算映画が10-12月期業績の圧迫になる可能性をネガティブ材料視して、大幅下落となりました。今週はエヌビディア(NVDA)やウォルマート インク(WMT)などが決算発表を予定しています。S&P500指数採用銘柄のうち460社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は約82%とヒストリカルで見ても堅調です。
今週の見通しと注目セクター・テーマ
今週はエヌビディア決算発表や雇用統計を受けてハイテクからのセクターローテーションが変化するかどうかがポイントと考えられます。GPUで競合するアドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)が今後の見通しに強気姿勢を示す中、AI銘柄の代表格であるエヌビディア(NVDA)の決算発表がポジティブサプライズをもたらし、足元のハイテク株売りに歯止めがかかるかどうか注視されます。特に、売上高見通しとGPU需要動向が注目されそうです。このほかの個別企業の決算発表では、年末商戦を占う上で米国最大級の小売企業であるウォルマート インク(WMT)が注目されそうです。なお、政府機関一時閉鎖の影響で発表が延期されていた9月雇用統計が、11/20に発表される見通しで、利下げ観測を占う上でもマーケットの急変動要因になり得ると考えられます。S&P500指数は50日移動平均をサポートラインとして推移しており、このラインを維持できるかどうかが当面の注目ポイントと思われます。
注目セクター・テーマとしては下記を考えています。
金融関連:トレーディングや投資銀行業務を牽引とした業績期待感などを背景に金融株が好調を示しており、ゴールドマン サックス(GS)やJPモルガン チェース(JPM)などが史上最高値圏で推移しています。市場予想PERはS&P500指数に比べて割安感が見られるほか、足元のセクターローテーションの流れもサポート材料になると考えられます。ゴールドマン サックス(GS)、JPモルガン チェース(JPM)、モルガン スタンレー(MS)、バンク オブ アメリカ(BAC)
インド関連:IMFによると2026年にインドの名目GDPが日本を追い抜いて、世界第4位に台頭する見通しです。トランプ関税の影響もあり、インドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は年初来パフォーマンスで主要国株価指数との比較で出遅れていますが、自動車販売台数ではすでに日本よりも大きく、インフレが落ち着きを見せるなか、経済規模の大きさと成長性が改めて評価される可能性があります。ICICI 銀行 ADR(IBN)、HDFC銀行 ADR(HDB)、ドクターレディー ADR(RDY)、ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)
低ボラティリティ関連:過去1週間のファクター・パフォーマンスを見ると低ボラティリティなどが堅調です。今週はハイテク株を中心にマーケットのボラティリティが高まるリスクがある事から、関連銘柄は投資家の関心を集めやすいと考えられます。ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、コルゲート パルモリーブ(CL)、マクドナルド(MCD)、モンダリーズ インターナショナル(MDLZ)
重要イベント・主な経済指標

※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
| 著者プロフィール 齊木 良 (さいき りょう) シニア・マーケットアナリスト(米国株担当) (日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から独自の視点で米国株を分析する。また、マーケットで注目されている「旬の話題」を提供するほか、初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。特技は絶対音感。 |
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