
(画像=SBI証券)
| この記事は2025年11月25日にSBI証券で公開された「1分でチェック!今週の米国株式 」を転載したものです。 掲載記事(最新版):1分でチェック!今週の米国株式 |
今週は小売売上高やPPIのほか、ブラックフライデーによる年末商戦本格化がポイント
先週の振り返り
- 先週から24日までの米国株は利下げ観測の高安を材料視する動きが目立ちました。注目のエヌビディア(NVDA)決算発表は実績・見通しとも市場予想を上回る好内容だったほか、クラウドGPUが完売していることを明らかにしました。利下げ観測後退やAI関連を中心とした根強い高バリュエーション懸念、ビットコイン安を背景としたリスクオフを材料視して軟調な動きが見られる場面がありました。一方、その後はNY連銀のウィリアムズ総裁やウォラーFRB理事による利下げ支持発言を受けて、12月の利下げ観測が約8割程度まで大幅に上昇したことなどでAI関連株に見直しの動きが目立ちました。なお、10月分の雇用統計については一部発表されないことになり(事業所調査データは11月分とともに発表見通し)、11月分は12/16に発表される予定のため、最新の雇用データが12月FOMC前までに入手できないことになりました。そのため金融政策決定には不透明感が生じています。14日から24日までのS&P500セクター別(11業種)パフォーマンスはコミュニケーション・サービスやヘルスケア、公益などが上げて、エネルギーや情報技術などが下げました。個別株では、アルファベット A(GOOGL)やジョンソン & ジョンソン(JNJ)、イーライ リリィ(LLY)などが史上最高値圏で推移しています。このほか、マラソン ペトロレアム コーポレーション(MPC)やメドトロニック(MDT)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で200日移動平均を超える比率は53%です。年初来のファクターリターンではEPS修正や時価総額、流動性などのファクターがアウトパフォームしていますが、過去1週間では低ボラティリティのアウトパフォームが目立ちます。
- 個別株ではアルファベット A(GOOGL)は前週に明らかになったバークシャー ハサウェイによる同社株購入や新型AIモデル「ジェミニ3」への好評価を背景に、大幅上昇しました。ウォルマート インク(WMT)はオンライン販売が好調で、通期業績見通しを上方修正して大幅高となりました。ロウズ カンパニーズ(LOW)はオンライン販売の牽引などで8-10月期のEPSが市場予想を上回り、上昇しました。一方、ホーム デポ(HD)は住宅関連の大型購入手控えの影響などで、通期EPS見通しを引き下げて、大幅安となりました。ターゲット(TGT)は需要低迷や値引きなどの影響で、通期EPS見通しの上限を引き下げて、下落しました。今週はアナログ デバイセズ(ADI)やHP インク(HPQ)などが決算発表を予定しています。S&P500指数採用銘柄のうち476社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は約82%とヒストリカルで見ても堅調です。
今週の見通しと注目セクター・テーマ
- 今週は小売売上高やPPIのほか、ブラックフライデーによる年末商戦本格化がポイントです。小売売上高でブラックフライデーに向けて消費が盛り上がりそうなのかどうかを確認するとともに、PPIでインフレ動向を確認することになります。雇用統計が12月FOMC前までに発表されないことを考慮すると、金融政策決定の観点では特にPPIは重要度が高そうです。なお、感謝祭の祝日とその後のブラックフライデーを控えて、マーケット参加者が大きく減少することが想定されるため、1週間を通じて小康状態になる可能性が高いと考えられます。S&P500指数は50日移動平均と100日移動平均を意識した動きを見せています。投資家のリスクセンチメントとしてビットコインが注目されており、10月高値から約3割下落しているビットコインが持ち直しの動きを見せるかどうかも米国株のトレンドに影響を与えそうです。
注目セクター・テーマとしては下記を考えています。
- インドとブラジル関連:国際分散投資の観点から米国株との相関が低いマーケットやバリュエーション面で割安感の見られるマーケットは投資家の注目を集めやすいと考えられます。例えば米国株との相関が相対的に低いインドのSENSEX指数は史上最高値圏で推移しており、堅調な推移が見られます。また、ブラジルのボベスパ指数は12カ月先予想PERが約9倍と割安感があると考えられます。ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)、ICICI 銀行 ADR(IBN)、HDFC銀行 ADR(HDB)、iシェアーズ MSCI ブラジル ETF(EWZ)
- ヘルスケア関連:これまでのセクターローテーションの流れを受けて、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)やイーライ リリィ(LLY)、ギリアド サイエンシズ(GILD)などのヘルスケア関連株が強含みの動きを示しています。特にイーライ リリィ(LLY)は時価総額が1兆ドルを超え、株式市場での評価が高まりつつあります。代表的な関連ETFへの資金フロー改善もサポート材料として期待されることから、引き続き投資家の関心を集めそうです。ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、イーライ リリィ(LLY)、ギリアド サイエンシズ(GILD)、ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド(XLV)
- 年末商戦関連:米国を代表する小売企業であるウォルマート インク(WMT)の決算発表が好感されたことで、ブラックフライデーやサイバーマンデーを控えて年末商戦に対する期待感が高まりそうです。特にオンライン販売が牽引する可能性があり、投資家の注目を集めそうです。アマゾン ドットコム(AMZN)、ウォルマート インク(WMT)、タペストリー(TPR)、ラルフ ローレン A(RL)
重要イベント・主な経済指標

※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
(画像=SBI証券)
| 著者プロフィール 齊木 良 (さいき りょう) シニア・マーケットアナリスト(米国株担当) (日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から独自の視点で米国株を分析する。また、マーケットで注目されている「旬の話題」を提供するほか、初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。 |
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