
・給料が上がったはずなのに家計が一向に楽にならない
・「賃上げ5%」と報じられているのに、実感がまったく伴わない
・物価の上昇に追いつかず、生活水準がむしろ下がっている気がする
このようなお悩みを抱えられている方は多いのではないでしょうか。
経済や家計管理に精通したプロが、「賃上げ率の数字のカラクリ」と「生活が苦しい現実」について解説します。
この記事を通じて、「なぜ賃上げを実感できないのか」という不安や違和感が整理され、これからの家計管理にも役立つはずです。
1.本当に上がった?「賃上げ5%」の数字の実態
1-1. 政府・経団連が示す”平均賃上げ率”の根拠
1-2. 大企業中心のデータであることの問題点
1-3. 中小企業や非正規雇用ではどうなっているか
2.実態は「2%止まり」 データで見る現実
2-1. 賃金統計と家計調査のデータ比較
2-2. 非正規労働者を含めると平均が大きく変わる
2-3. 物価上昇率を考慮した”実質賃金のマイナス“
3.なぜ生活は一向に楽にならないのか
3-1. 値上がりが止まらない食料・光熱費
3-2. 住宅費・教育費など固定費の負担増
3-3. 社会保険料や税負担の拡大
4.表向きの数字と実態が乖離するカラクリ
4-1. 大企業と中小企業の給与格差
4-2. 正規雇用と非正規雇用の賃金格差
4-3. 平均値と中央値の違いによる錯覚
5.個人ができる生活防衛の工夫
5-1. 家計の固定費を見直す(通信費・保険・住宅ローンなど)
5-2. 副業・スキルアップによる収入源の多様化
5-3. 投資・資産運用でインフレに備える
6.まとめ
1.本当に上がった?「賃上げ5%」の数字の実態
ここでは、報じられる「賃上げ5%」がどのように算出されているか、整理します。
1-1. 政府・経団連が示す”平均賃上げ率”の根拠
賃上げのニュースの見出しに出る「5%台」は、主要企業の春闘妥結結果を集計した平均値に基づく数字です。
根拠となるのは、厚労省や経団連が発表する春闘集計で、2025年は主要企業で賃上げ率5%台が続いたという結果が示されています。背景には名目賃金の押し上げと、前年から続く高水準の回答が並んでいることがあります。
例えば、労働政策研究・研修機構の整理では、厚労省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」平均賃上げ率5.52%、経団連最終集計でも大手139社で5.39%と紹介されています。
ここで重要なことは、これらは「春闘に参加した主要企業」を母集団にした平均値という点です。つまり、見出しの「5%」は“誰を平均したか”で印象が大きく変わる数字と言えるでしょう。
1-2. 大企業中心のデータであることの問題点
“賃上げ5%”はあくまで大企業が中心の平均値です。大企業は業績や交渉力の点で賃上げ余力が相対的に大きく、同じ「平均」でも中小企業を多く含む母集団とは結果が異なりやすいからです。
実際、同じ春闘集計でも大手企業は5%台の一方、経団連の中小企業集計は4.35%という紹介があり、規模で差が見られます。
また、賃金構造基本統計では企業規模別の賃金水準が大企業>中企業>小企業の順で明確な差が出ています。
こうした偏りが、見出しの「5%」と自分の給与実感の距離を生みやすくします。結局、表に出てくる数字が“どの層の平均なのか”を確かめる視点が欠かせません。
1-3. 中小企業や非正規雇用ではどうなっているか
日本の雇用を支えているのは中小企業や非正規雇用ですが、取引条件や価格転嫁力、人材確保競争力の差が賃金原資を左右するため大手企業や正社員と比べると賃金水準や伸びの面で弱さが残ります。
例えば、賃金構造基本統計では、正社員・正職員の所定内給与(男女計348.6千円)に対し、正社員・正職員以外は233.1千円で、雇用形態間格差(=100換算)は男女計66.9と示されています。
企業規模別でも「大企業391.9千円」「中企業 342.0 円」 「小企業309.1千円」と階段状の差が明記され、非正規の比率や高齢層比率の高まりについても別資料で指摘されています。
結論、中小企業や非正規雇用が多い就業構造では、見出しの「賃上げ5%」を実感しにくいのが現実です。
2.実態は「2%止まり」 データで見る現実
本章では、実際の家計が感じる伸びがなぜ「2%程度」なのか、解説します。