
・自社の後継者が見つからず、将来の事業継続に不安を感じている
・人材不足でインフラ工事や保守業務の対応力が限界に近い
・M&Aを検討しているが、業界特有の許認可や契約関係がネックになって踏み出せない
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
M&Aのプロが、後継者問題や政策支援を背景に進む業界再編の最新動向を解説します。
この記事を読むと、インフラ関連企業のM&Aに関する不安を解消でき、今後の事業承継や成長戦略の検討に役立つでしょう。
1. インフラ業界でM&Aが加速する背景
M&Aが加速する背景について、以下に沿って解説します。
1-1. 経営者の高齢化と後継者不在の深刻化
インフラ関連を含む中小企業で、後継者不在の問題が依然として深刻な水準にあります。こうした状況を背景に、事業承継の一手としてM&A(企業の合併・買収)を選択肢に加える企業が増えています。
全国的にみても、後継者不在率の高さと「後継者難倒産」の発生が続いており、事業承継への危機感が高まっています。公的機関や支援団体によるデータ公表や相談体制の整備が進む一方で、後継者問題の改善ペースは鈍化しているのが実情です。。
例えば、全国の後継者不在率は52.1%(2024年)に達しており、、同年1–10月の「後継者難倒産」は前年同期並みで推移していると報告されています。このような状況は、地域のインフラを支える中小企業にも直接的な影響を及ぼしていると言えます。
その結果、事業存続の実行策として第三者承継(M&A)を選択肢として検討する動きが、今後さらに広がっていくと見られます。
1-2. 人材不足による事業継続リスク
インフラ領域では、技能人材の不足が深刻化しています。人材不足の影響で、案件対応力の低下や安全・品質管理への支障が懸念される状況です。
背景には、就業者の高齢化や若年層の入職減少に加え、2024年4月から適用された時間外労働上限規制があります。この制度により、労働時間の見直しや体制強化が急務となっています。
こうした環境では、単独での増員・教育だけでは追いつかず、M&Aによる人材・資格・現場管理ノウハウを獲得する動きが、より現実的な選択肢として広がっていきます。
例えば、建設業では「担い手確保」が喫緊の課題とされ、有効求人倍率が高水準で推移しています。そのため、同業者との統合で施工・保守の応需能力を底上げする動きも見られます。
結果として、M&Aは人材需給のひっ迫リスクを緩和し、事業の持続性を高める有効な手段として注目されています。
1-3. 政府の事業承継支援やM&A補助制度の追い風
公的相談窓口や補助制度の整備が、M&Aの検討・実行を後押ししています。全国47都道府県の「事業承継・引継ぎ支援センター」では、事業承継に関する相談対応からマッチング、専門機関への橋渡しまでを一貫して支援する体制が整っています。
こうした制度の可視化により、費用面・実務面の不安が軽減され、経営陣が早期に事業承継の検討に着手しやすくなります。
例えば、事業承継・M&A補助金は、承継や再編を契機に新たな取組費用の一部を支援するケースが考えられます。相談体制と補助メニューが併走することで、実行に向けたハードルを下げられるでしょう。
1-4. インフラ維持・更新需要と再編ニーズの高まり
高度成長期に整備された社会資本の老朽化が全国的に進み、維持管理・更新の需要が長期的に拡大しています。工期の平準化や専門領域ごとの役割分担の明確化も進み、スケール・技術・資格の一体運用が求められるようになっていきます。
需要が続く一方、人手不足の中で品質と納期を確保するには、統合による生産性向上が有効な手段の一つとなり得ます
例えば、今後20年間で「建設後50年以上」の施設割合が加速度的に高まる見通しが示されており、多能工や点検・診断の資格者を抱える企業との統合が合理的な体制強化として想定されます。
結果として、維持更新の繁忙をこなすためのM&Aニーズが高まると言えます。
2. インフラ関連M&Aの現状
インフラ関連M&Aの現状について、以下に沿って解説します。
2-1. 電気・通信・土木・設備業界などの中小企業を中心に増加
国内M&A市場は全体として活発化しており、その影響はインフラ関連の中小企業にもひろがっています。市場の厚みが増すことで、規模の小さい案件でもマッチング可能性が高まり、地域内再編が進みやすい環境が整いつつあります。
こうした動きは、統合後の管理体制強化や資格者の確保と相性が良く、現場力のボトルネック解消に寄与します。
例えば、月次で日本のM&A件数・金額の推移が継続更新されており、各業界の動きが可視化される環境では、電気・通信・設備といった複数領域の横断統合が進むケースが考えられます。結果として、地域の施工網や保守網の再編が加速するでしょう。
2-2. 近年の件数推移と注目事例
2025年前半は日本のM&Aが件数・金額とも伸び、アジア市場を牽引しました。大型案件の活況はバリュエーションや投資姿勢の改善を映し、ミドル〜スモール案件の信頼感にも影響を及ぼします。
地合いが良いほど、インフラのように積み上げ型の収益モデルを持つ会社は評価が定まりやすく、合意形成が進みます。
例えば、2025年上期の日本関連M&Aは2,509件(前年同期比+7.1%)で金額も大幅増という状況となっています。また、海外報道でも日本のM&A金額が上期で過去最高と取り上げられており、国内M&A市場の活況を裏づけます。つまり、相場全体の厚みがインフラ関連の中小企業における成約率の上昇を後押ししていると言えます。
2-3. 買い手・売り手双方の目的の多様化
中小企業のM&Aでは、買い手・売り手双方の目的がより多様化しています。買い手側は人材・資格・許認可の獲得、地場ネットワークの内製化、さらには長期契約の継承を狙いとするケースが多く見られます。
一方売り手側は後継者不在の解消、資本注入による賃金・設備投資、管理面の負荷軽減などを期待しており、利害が交わる領域が広がっています
政策支援や相談窓口が整い、目的の明確化と実行計画の策定がしやすくなりました。
例えば、支援センターが相談〜橋渡し〜マッチングの段階的支援を整えている環境では、売り手は「雇用維持」と「地域貢献」を条件化し、買い手は「資格者の配置計画」を提示するケースが想定されます。結果として、目的の多様化は条件設計の多様化に直結すると言えます。
3. インフラM&Aの特徴
インフラM&Aの特徴について、以下に沿って解説します。
3-1. 許認可・保有資格がシナジーの鍵
インフラ関連は、建設業許可や電気・管・とび土工などの業種区分、主任技術者・監理技術者、電気工事士などの資格要件が業務継続の前提であり、これらはM&Aで一体として引き継ぐ価値が大きい要素となっています。
昨今の制度要件や就労規制の強化が進む中、資格・許認可の厚みは案件能力に直結します。
例えば、時間外労働の上限規制下で配置転換と労務計画を現実的に回すには、監理技術者や安全管理の人員層を補う統合が効果を発揮するケースが想定されます。総じて、許認可・資格のポートフォリオは統合シナジーの要となるでしょう。
3-2. 長期契約・安定収益モデルの強み
点検・保守、包括委託、定期更新工事など、インフラ関連事業は「長期」「反復」「安定」が特徴の収益モデルです。M&A後のPMIで、受注計画と技術者配置を合わせると、安定キャッシュフローの見通しが立てやすくなります。
このような事業特性は、金額大小にかかわらず評価算定を行いやすいという利点を生みます。
例えば、社会資本の老朽化対応で維持・更新需要が長期で積み上がる環境では、定期点検や更新サイクルを引き継げる相手先との統合が合理的なケースが考えられます。結果として、売り手・買い手双方における予見の可能性を高めるでしょう。
3-3. 地域ネットワークと技術者確保の重要性
公共・準公共案件では、地域の信頼・実績・協力会のネットワークが案件獲得に不可欠です。人材不足が深刻化する中、地域ネットワークと技術者の両輪をM&Aで確保する意義が一段と高まっています。
また、制度面の変化(労働時間規制など)も、企業が分散していた業務負荷や工程を、統合によって平準化する動機となっています。
例えば、地域で有効求人倍率が業界平均を上回る局面では、近隣企業との統合で案件の引き受け力とシフト体制を強化するケースが見られます。結果として、こうした取り組みは事故・品質・納期のリスク低減につながっています。
4. 経営者に求められる準備
経営者に求められる準備について、以下に沿って解説します。
4-1. 早期の事業承継計画策定
事業承継において、時間は最大の資源と言えます。体制づくりや財務整理、人材配置、資格維持といった要素を前倒しで計画・準備しておくことで、選択できる承継の幅が大きく広がります。
また、公的支援を活用することで、情報整理やスケジューリングの精度を高めることができます。
例えば、事業承継・引継ぎ支援センターに早期相談し、親族内・従業員・第三者(M&A)を比較検討するケースが考えられます。こうした取り組みを通じて、企業と地域に合う承継シナリオを形成しやすくなるでしょう。
4-2. 財務・契約・許認可の整理
デューデリジェンスで重視されるのは財務の透明性、契約の継続条件、そして許認可や資格の有効性です。特にインフラ関連事業は契約条項や入札資格の継続性が価値に直結します。
こういった情報を事前に整理しておくことで、バリュエーションの不確実性を低減でき、条件交渉もスムーズに進めやすくなります。
例えば、点検・保守の包括契約、協力会社との契約、主任技術者の専任配置に関する証憑をセットで提示できる体制を整える企業も増えています。結果的に、買い手の安心感が高まり、それが価格と条件にも反映される傾向があります。
4-3. 後継者候補・買い手候補とのマッチング戦略
事業承継におけるマッチングは、条件の明確化が成功の鍵となります。雇用維持、地域貢献、資格者の配置、労働時間管理、設備投資などについて優先順位を整理し、交渉の土台をしっかり構築することが重要です。
また、公的支援窓口、専門メディア、仲介・FA、金融機関といった複数チャネルを横断活用することで、候補先の質と量を高めることができます。
例えば、「雇用維持」「資格者の計画配置」「労務コンプライアンス」などを必須条件として提示し、公的支援センターや仲介機関を通じて候補を幅広く募るケースも見られます。結果として、統合後のPMIが現場実務に即した設計になりやすくなります。
5. 今後の展望と示唆
今後の展望と示唆について、以下に沿って解説します。
5-1. インフラ再編が進む中小企業の選択肢
需要の長期性、人材不足、制度対応という三つの構造的な課題が、再編の必要性を高めています。中小企業の選択肢は、自社の体制強化と統合による機能拡張の両面から検討することが重要です。
市場が活発な局面では、好条件での連携・統合の可能性が広がります。
例えば、老朽化対応の平準化に合わせ、近隣の設備会社・通信会社と統合して補完的な「予備戦力」を確保するケースが見られます。地域インフラの安定供給に資する選択肢が優先される傾向にあります。
5-2. 成長戦略としてのM&A
近年、国内のM&A市場は活況を呈しており、インフラ領域にも攻めの選択肢が広がっています。規模の経済や資格・許認可の厚み、案件獲得力の強化が、複利的に企業の競争力を押し上げる効果を持つためです。
また、金利環境の変化やコーポレートガバナンス改革の影響により、M&Aディールの可視性も高まっています。
例えば、2025年上期の日本のM&A金額が過去最高と報じられており、このような局面では、地域インフラ企業が隣接領域へ拡張する買収を実施するケースが想定されます。こうした動きにより、保守・更新の一貫運用体制を築けると考えられます。
5-3. 経営者・実務担当者が押さえるべきリスクと対応策
インフラ領域のM&Aにおいて、リスクは主に人材移籍の軟着陸や契約・入札資格の継続、労務規制の遵守に集約されます。PMIでの配置設計と労働時間管理、品質・安全教育の再設計が必須です。
リスク軽減の効果的な方法としては、支援制度と公的窓口を活用し、準備段階から外部知見を取り込むことが挙げられます。
具体例としては、上限規制への対応方針を共同で作り、資格者のローテーション案を含む労務・安全PMI計画を開示して合意形成するケースです。結果として、現場の離職や工程遅延のリスクを抑え、安定した運営体制を構築することが可能となります。
6. まとめ
インフラ分野では、維持・更新需要が増す一方、人材不足と制度対応の難易度も高まっています。後継者不在の課題も依然として深刻であり、公的支援の整備と市場の厚みがM&A実行を後押しする追い風となっています。
最終的には、早期準備と条件の明確化が成功の鍵となり得ます。支援センターや補助金情報を活用し、財務・契約・許認可の整理を前倒しで進めることで、好機を逃さず、最適な承継・統合を実現できます。
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