M&A

中小企業経営者必見!「吸血型M&A」のリスクと防衛策を徹底解説

近年、中小企業を取り巻くM&A市場が活発化する一方で、「吸血型M&A」と呼ばれる危険な買収手法が問題視されています。

この手法は、経営者の知識不足や時間的制約につけ込み、まるで吸血鬼のように企業の資産をむしばむような悪質なものです。

本記事では、「吸血型M&A」の概要からその被害事例、そして企業がどのように防衛すべきかを、わかりやすく解説します。経営者の方々はもちろん、M&Aに関心があるすべての方にとって必見の内容です。

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1.吸血型M&Aとは何か?

「吸血型M&A」とは、ターゲット企業の現預金などの資産だけを吸い上げ、借入金や未払金といった負債は元オーナーに押しつけるという、悪質な買収手法です。

このようなM&Aは、買収側がターゲット企業の弱点や経営課題につけ込み、不当に安い価格で企業を買収し、価値のある資産だけを回収することを目的としています。

表面的には合法的なM&Aのように見えることもあり、特に知識や経験が不足している中小企業経営者が被害に遭いやすい傾向があります。

買収後、現金や売掛金、不動産といった流動性の高い資産はすぐに買収側に移される一方で、借入金や未払い金などの負債は買収前の法人にそのまま残されます。

その結果、企業は資産を失い、負債だけが残るという最悪の事態に陥り、経営の立て直しが極めて困難になるケースも少なくありません。

特に問題なのは、こうした買収が通常のM&Aと見分けがつきにくいため、被害に気づいた時にはすでに手遅れということもあるのです。

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2.吸血型M&Aに狙われやすい企業の特徴

吸血型M&Aのターゲットにされやすい企業には、いくつかの共通した特徴があります。

吸血型M&Aに狙われやすい企業の特徴

特に、後継者不在やM&Aに関する知識不足、急な資金ニーズというような状況が背景にある企業は、そこにつけ込まれるケースが多く見られます。

2-1.後継者不在の中小企業

後継者がいない中小企業は、事業承継の選択肢としてM&Aを検討する傾向が強くなります。

このような企業の経営者は、早期の引退を希望することが多く、買収の話を持ちかけられるとすぐに飛びついてしまうケースがあります。

特に、M&Aに関する相談相手がいない場合、買収条件や契約内容の詳細を確認しないまま話を進めてしまうことが少なくありません。

その結果、企業の経営資源を奪われ、企業価値を大きく毀損してしまうリスクがあります。

2-2.売却を急いでいる中小企業

急な病気や資金繰りの悪化などやむを得ない事情により、売却を急いでいる中小企業も、吸血鬼M&Aのターゲットになりやすいです。

買収側は、時間的余裕がない状況を逆手に取り、自社に有利な条件で買収を進めようとしてくることがあります。

その結果、相場よりもはるかに低い価格で企業を手放すことになったり、不利な契約条項を受け入れざるを得なくなります。

こうした状況では、企業は冷静な判断が難しく、第三者のアドバイスを受ける前に話が進んでしまうことも少なくありません。

2-3.M&Aが初めてで知識が薄い中小企業

M&Aの経験がない企業や知識が乏しい企業も、吸血鬼M&Aの標的になりやすいです。手続きや契約内容に不慣れであるため、専門用語や複雑な契約書の内容を理解しないままサインしてしまうこともあります。

その結果、後に不利な条件であることが判明するケースも少なくありません。

また、買収側の巧妙な営業トークに乗せられ、本来であれば避けるべき条件でM&Aを進めてしまう可能性もあります。

特に知識がないことを自覚していない経営者ほど、リスクは高まります。

3.吸血型M&Aによって売却した企業の経営者が直面するリスク

吸血型M&Aに巻き込まれた場合、売却後の企業や経営者には深刻な影響を受ける可能性があります。

吸血型M&Aによって売却した企業の経営者が直面するリスク

ここでは代表的な3つのリスクについて解説します。

3-1.財務基盤の弱体化

吸血型M&Aを仕掛ける企業は、買収後すぐにターゲット企業の現金や資産を移動させることがあります。

これにより、企業は運転資金が不足し、日常の業務すら困難になる可能性があります。

また、社内のコスト削減が過度に行われることで、企業の成長性が失われることもあります。

一度弱体化した財務基盤を回復させるのは非常に困難で、企業の将来に深刻な影響を与えかねません。

3-2.企業の信用低下

買収後、無理な経営方針の変更や債務の増加によって、企業の取引先や金融機関からの信用が低下する可能性があります。

特に、急な人員削減や債務整理が行われた場合、企業の信頼性は一気に低下し、新たな取引の機会も激減することでビジネスの成長が停滞するリスクが高まります。

また、地域社会や顧客との関係性も悪化し、ブランドイメージや評判の失墜も避けられません。

3-3.従業員の離職

経営方針や職場環境が大きく変わることで、従業員の不安や不満が高まり、離職が増加する傾向にあります。

特に、経営者が信頼していた幹部社員や技術者が離職すると、企業の競争力、持続力が大きく損なわれる可能性があります。

従業員の流出は社内のモチベーション低下にもつながり、業績悪化の要因にもなります。人材確保が困難になることで、企業の存続自体が危ぶまれるケースもあります。

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4.吸血型M&Aに備えて経営者が実行すべき防衛手段

吸血型M&Aの被害を防ぐためには、事前の備えと正しい知識が重要です。

吸血型M&Aに備えて経営者が実行すべき防衛手段

ここでは、中小企業の経営者が取るべき5つの具体的な防衛策を紹介します。

4-1.M&Aに精通した仲介会社に相談する

信頼できるM&A仲介会社は、適正な買収価格の提示や、公正な契約内容の交渉をサポートしてくれます。

自社の立場を守るためにも、M&Aの専門家に早い段階から相談することが重要です。

特に中小企業向けの仲介会社を選ぶことで、企業の実情に合ったアドバイスがきたいできます。

費用はかかりますが、企業価値を適正に評価したり、不正な取引やリスクを回避したりできることを考えれば、それ以上の価値があるといえるでしょう。

4-2.買い手企業の背景調査を徹底する

相手企業の過去のM&A実績や財務状況、評判などを事前に調べることは非常に重要です。

悪質な買収を繰り返す企業は、過去に訴訟や問題を起こしているケースが多くあります。

インターネットや業界関係者のネットワークを活用し、可能な限り情報を収集しましょう。

必要であれば、第三者によるデューデリジェンス(企業調査)を依頼するのも一つの手段です。

4-3.正式なM&Aプロセスを踏む

事業譲渡や株式譲渡を行う際は、正式なM&Aプロセスを踏むことが、契約トラブルを避ける鍵となります。

買収側が手続きを急がせたり、契約書を曖昧にしようとする場合は、注意が必要です。

M&Aでは、基本合意書の締結、デューデリジェンス、最終契約といった段階があります。

各ステップを省略せずに実施することで、安全なM&Aに繋がるでしょう。

4-4.契約内容を慎重に精査する

契約書の内容は、必ず法律の専門家と一緒に確認し、不利な条件がないかチェックすることが不可欠です。

特に、譲渡後の責任範囲や非競行為条項などは、後々大きなトラブルの原因になりかねません。

気になる点がある場合は、必ず弁護士などの専門家に相談し、契約内容を経営陣でしっかりと情報共有することも重要です。

4-5.M&Aのセカンドオピニオンを活用する

一つの仲介会社や買収側の話だけで判断せず、第三者の意見を取り入れることが重要です。

M&Aに詳しい税理士、公認会計士、弁護士などの専門家にセカンドオピニオンを求めることで、客観的な判断が可能になります。

一見良さそうに見える提案でも、専門家の目から見るとリスクが潜んでいることもあるため、意思決定の前に、複数の意見を比較することをおすすめします。

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5.まとめ

吸血型M&Aは、中小企業にとって深刻な脅威です。特に後継者不在や知識不足の企業が狙われやすく、一度巻き込まれると経営の再建は極めて困難になります。

このようなリスクを避けるためには、事前の準備と信頼できる専門家の力を借りることが何より重要です。

M&Aは企業の未来を左右する重要な決断です。焦らず、冷静な判断と確かな知識を持って臨みましょう。

長竹 祐樹

大学卒業後、新卒で銀行へ入行。支店業務(担当地域の個人・法人のお客様へ資産運用や融資の提案を主に実施)を経験後、本部へ異動し富裕層や相続・事業承継業務及び支店管理、提携先との連携や折衝を経験。頭取表彰や本部長表彰等受賞。銀行の求めるものとお客様の求めるものとのずれを感じ、株式会社ファーストパートナーズへ転職。現在は幅広いサービスや金融商品をお客様に案内できる環境にあり、お客様のニーズから真に求めるものを提案できるよう日々行動している。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格