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2026年M&A件数が過去最多となる3つの根拠!買い手・売り手側が取るべき戦略とは?

2026年M&A件数が過去最多となる3つの根拠!買い手・売り手側が取るべき戦略とは?

・M&A動向が読みづらく、経営判断のタイミングを見極めにくい
・2026年にM&A件数が過去最多と予測されるが、自社に与える影響を知りたい
・買い手・売り手として今何を準備すべきか分からず、不安を抱えている

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

本記事では、M&Aの実務を熟知したプロが、2026年にM&A件数が過去最多となる“3つの根拠”と、買い手・売り手が取るべき戦略についてわかりやすく解説します。

この記事を読むと、急拡大するM&A市場の現状を理解することができ、今後の経営判断や戦略立案に役立つでしょう。

1. 2025年M&A市場の現状と「2026年過去最多」の予測根拠

2025年M&A市場の現状と2026年予測について、以下に沿って解説します。

1-1. 2025年のM&A動向から見る2026年予測の土台

2025年の日本のM&A市場は、すでに「過去最多ペース」で推移しており、2026年に件数がさらに更新される可能性が高い状況です。

レコフデータなど民間調査によると、2025年1〜9月の日本企業によるM&A件数は、前年より200件以上多い水準の3,600件台後半となっており、年間でも過去最多を更新する見通しと報じられています。

こうした報道から、「2025年 M&A件数 過去最多」がニュースキーワードになり、2026年に向けた関心も一段と高まっているといえます。

2026年のM&A件数が過去最多になると予測される最大の根拠は、2024〜2025年にかけて日本のM&A件数が連続して記録を更新していることです。

2024年の日本企業が関与したM&A件数は約4,700件とされ、従来の過去最高を大きく上回りました。この段階で「M&Aは一時的なブームではなく、経営の標準オプションになった」と捉える専門家も増えています。

2025年に入っても勢いは鈍らず、通年での過去最多更新がほぼ確実と言われるほどのペースで推移しているため、翌年に向けた案件パイプラインも厚くなっていると推測されます。

結果として、2025年の過去最多更新が、そのまま2026年の過去最多更新の土台になる構図が見えてきます。

1-2. 金利動向と株価水準:M&A資金調達環境の分析と影響

2026年に向けてM&A件数がさらに伸びると考えられる背景には、金利と株価という資金調達環境の追い風もあります。

日本は主要先進国の中でも低金利環境が続いており、海外と比べて資金コストが相対的に低い状態です。

その一方で、米欧の利上げ局面を経て、2025年時点では世界的にインフレ鎮静化と金利ピークアウトの兆しが見られ、グローバルに「今後数年でのディール再加速」への期待が高まっています。

加えて、日本企業は長年のデフレ期に積み上げた現預金を多く抱えており、この「余剰資金を成長投資に回すべきだ」という議論が強まっていることもM&A増加の土台になっています。

一方で、株価水準もM&A活動に大きな影響を与えています。東京証券取引所はPBR1倍割れ企業に対し改善策の開示を求めており、「株価が割安なまま放置されることは許されない」というメッセージを発信しています。

その結果、非中核事業の売却や上場子会社の完全子会社化、上場廃止(非公開化)など、資本効率を高めるためのM&Aが増加しています。

2025年前半だけで、日本のM&A取引額は約2,320億ドルと過去最高水準に達し、トヨタグループやNTTによる大型の完全子会社化、セブン&アイの事業売却などが象徴的な案件として取り上げられました。

こうした低金利・高キャッシュ・ガバナンス強化・株価評価見直しの組み合わせは、2026年にかけても急に消えるテーマではありません。むしろ、企業が本格的にポートフォリオを見直し始めた「入口」に近く、今後数年は同様の圧力が続くと考えられます。

したがって、資金調達環境の観点からも、2026年のM&A件数が過去最多を更新する余地は十分あると言えるでしょう。

1-3. 大手証券会社・調査機関による2026年M&A件数予測と根拠

2026年にかけてM&A件数がさらに伸びるという見方は、データだけでなく大手証券会社やコンサルティングファームのレポートでも共有されています。

グローバルでは、PwCなどが2025〜2026年にかけて大型ディールの増加とポートフォリオ再編の加速を見込んでおり、「不確実性のピークアウト後にM&Aが再び成長ドライバーになる」と指摘しています。

日本市場でも、2025年の段階で「案件のパイプラインはリーマンショック後以来の厚さ」とコメントする投資銀行幹部が増え、過去数年にわたる抑制の反動が現れ始めているとされています。

具体的には、米系・邦銀系の大手投資銀行が、2025年はメガディールとミドルレンジの案件がともに増え、2026年もこの流れが続くと予測しています。

たとえば、みずほ証券の米州部門トップは2025年の会議で、「AIなど破壊的技術への対応、プライベートエクイティのエグジット需要、老朽化した資産の売却が重なり、2026年まで強いM&A市場が続く」とコメントしています。

また、モルガン・スタンレーなども、テクノロジー、ヘルスケア、インフラ分野を中心にM&AとIPOのパイプラインが過去最高水準にあると説明しています。

日本専門の調査機関やM&A仲介会社も、2025年時点の「件数・金額ともに過去最高ペース」という実績から、2026年は「件数ではさらに更新、金額はメガディール次第」という慎重な楽観シナリオを示すケースが多くなっています。

事業承継M&Aが2030年代半ばまで高水準で続くとするレポートや、スタートアップM&Aのシェア拡大を指摘する分析もあります。

こうした複数の機関の見立てを重ねると、「2026年M&A件数過去最多」は、単なるキャッチコピーではなく、現実的なシナリオとして検討する価値があると言えるでしょう。

2. M&A件数増加を牽引する主要な要因と背景

M&A件数増加を牽引する要因と背景について、以下に沿って解説します。

2-1. 後継者不足の深刻化:中小企業における事業承継問題の拡大

日本のM&A件数を底上げしている柱の1つは、中小企業の後継者不足です。帝国データバンクの調査によると、2024年の後継者不在率は52.1%と、統計開始以来もっとも低い水準まで改善しているものの、それでも企業の約半分では「誰が後を継ぐのか決まっていない」といった状態です。

中小企業白書でも、経営者の高齢化が進む一方で、子どもや親族が事業承継を希望しないケースが増えていることが指摘されています。つまり、「改善しているが、絶対数としては依然大きな課題が残っている」というのが現状です。

この後継者問題が、事業承継型M&Aを押し上げています。官民の事業承継支援窓口が全国に整備され、地域金融機関や専門機関が「第三者承継としてのM&A」という選択肢を積極的に提案するようになりました。

実際、事業承継M&Aの月間件数は2024年12月に過去最高を記録しており、今後も高齢の経営者が70代後半に差しかかる2025〜2035年にかけて、高水準が続くと予測されています。

こうした「事業承継ニーズの山」が、2026年前後のM&A件数を押し上げる大きな要因になっていると考えられます。

2-2. AI導入競争とスタートアップ企業の買収加速

二つ目の要因は、AI・DX競争の激化に伴うスタートアップM&Aの加速です。生成AIやデータ分析基盤などの分野は技術進化のスピードが非常に速く、大企業が自前で全てを開発するのは現実的ではありません。

そのため、「必要な技術や人材をまとめて獲得するために、スタートアップ企業を買収する」という戦略が一般化しつつあります。日本M&Aセンターなどのレポートでも、スタートアップM&Aの件数シェアがじわじわ拡大していることが指摘されています。

2024〜2025年には、IT・ソフトウェア業界におけるM&Aが特に活発になっています。IT企業のM&A動向をまとめたレポートでは、エンジニア不足やAI技術の取り込み、サブスクリプション型ビジネスへのシフトなどを背景に、過去10年で最も活発な年の一つになっていると紹介されています。

AI領域に特化した買収事例も増えており、ログ解析、RPA、クラウドインフラ、コンサルティングなど、周辺サービスも含めてエコシステム形成が進んでいる状態です。

こうした技術獲得型M&Aは、景気後退時に一服することはあっても、構造的には今後も続くと考えられます。

AI・DX関連の投資需要は、2026年以降のM&A件数を押し上げる重要なドライバーになるでしょう。

特に、AIを「社内開発ではなく、M&Aを通じて取り込む」といった動きが広がれば、スタートアップ側にも「売却を前提とした出口戦略」が浸透し、案件の裾野はさらに広がると予想されます。

2-3. 企業価値(PBR)改善を目的とした非効率事業の切り離しと再編

三つ目の要因は、企業価値向上を目的とした「選択と集中」とガバナンス改革の流れです。

東京証券取引所がPBR1倍割れ企業に対して改善策の開示を求めたことや、アクティビスト投資家からの圧力の高まりにより、上場企業は「持ちすぎた事業・資産」を見直さざるを得ない状況になっています。

これにより、ノンコア事業の売却、子会社株式の売却、資産カーブアウトなど、M&Aを通じた再編が進んでいます。

実際に、日本では2024年の非上場化件数が過去最多となり、2025年も2月時点で前年を上回るペースと指摘されています。

プライベートエクイティファンドによる買収も歴史的高水準にあり、ソフトウェアや製造業、消費関連企業を対象としたTOB・MBOが相次いでいます。

国際ニュースでも、日本のインバウンドM&A金額が過去最高水準に達し、海外ファンドが「ガバナンス改革とPBR改善をテコにした価値創造の場」として日本市場に注目していることが報じられています。

この流れは、短期的には「売却案件の増加」という形でM&A件数を押し上げます。

中長期的には、非効率事業の切り離しと再編を繰り返すことで、企業グループ全体の資本効率が高まり、再び成長投資に資金を回せる構造ができていくでしょう。

2026年も、こうしたPBR改善を目的とした「攻めと守りのM&A」が継続する可能性が高いと考えられます。

2-4. 事業ポートフォリオの見直しとグローバル展開を目的とした海外M&Aの増加

最後の要因は、グローバル市場での競争力確保を目的とした海外M&Aです。日本企業は国内市場の人口減少を背景に、海外売上比率の拡大を中期経営計画の柱に据えるケースが増えています。

その手段として、現地企業の買収による販路獲得や、技術・ブランドの取り込みが選ばれることが多く、特にアジア・欧米へのクロスボーダーM&Aが活発です。

PwCなどのレポートでも、2025年上半期時点で「国境を越えたディール」が引き続き重要なテーマになっていると整理されています。

分野別では、再生可能エネルギーや送配電網、重要鉱物など、GX(グリーントランスフォーメーション)領域でのM&Aが目立っています。

再生可能エネルギー関連のM&A事例を紹介する記事では、太陽光発電や風力発電の事業をまとめて取得し、スケールメリットを出す動きが強まっていると説明されています。

また、エネルギー・ユーティリティ分野の世界的なM&A動向として、ポートフォリオ再編や化石燃料資産の売却、クリーンエネルギー技術への集中投資が今後も続くと予測されています。

日本企業は、こうした世界的な動きに追随しつつ、国内の非中核事業を売却し、その資金を海外買収に充てるケースも増えています。2026年に向けては、円安や政策支援を背景に、クロスボーダーM&Aがさらに増える可能性があるでしょう。

結果として、国内の事業承継型M&Aと合わせて、全体としての件数を押し上げる構図が続くと考えられます。

3. 業界別:M&Aが特に活発化する注目分野

ここからは、2025〜2026年に特にM&Aが活発になると見込まれる業界を整理します。全体件数が伸びるとはいえ、どの業界でも一様に増えるわけではありません。

医薬・ヘルスケア、IT・ソフトウェア、サービス・小売、再生可能エネルギーといった分野は、とくに政策や市場構造の変化が大きく、M&Aの「ホットスポット」になりやすい領域です。

業界別のM&A注目分野について、以下に沿って解説します。

3-1. ヘルスケア・製薬業界における大型化・国際化が加速

ヘルスケア・製薬業界では、研究開発コストの高騰や特許切れ(パテントクリフ)への対応を背景に、M&Aを通じたパイプライン拡充とポートフォリオ再編が進んでいます。

世界的には、2023〜2024年に一度ディール件数・金額が減少したものの、2024年下期〜2025年上期にかけて再び大型ディールが増えているとPwCのレポートは指摘しています。

また、KPMGなどの調査では、日本の製薬業界でも、既存品目の切り離しや周辺ビジネスの売却・買収を通じた再編が加速しているとまとめられています。

日本市場では、国内製薬企業同士の再編や、外資ファンドによる大型買収が象徴的です。2024年には国内製薬企業による大型M&Aが成立し、2025年には外資系ファンドが大手製薬子会社を数千億円規模で買収する案件も報じられました。

これらの案件では、新薬開発投資の負担を軽減しつつ、グローバルで競争力のある領域に資源を集中させる狙いが強く意識されています。

今後も、高齢化が進む日本市場と、世界的な医療需要の拡大を背景に、ヘルスケア・製薬分野でのM&Aは大型化・国際化の傾向を強めるでしょう。

バイオテクノロジー企業やデジタルヘルス企業の買収も増えており、2026年にかけてこの分野はM&A件数・金額の両面で注目セクターであり続けると考えられます。

3-2. IT・ソフトウェア業界の競争激化に伴い、統合ピークに

IT・ソフトウェア業界は、人材不足と技術進化の速さから、M&Aが成長戦略の中心になりつつあります。日本M&AセンターのIT業界レポートでは、2024年がIT・スタートアップ業界のM&Aにとって転換点となり、買収件数が大きく伸びたと解説されています。

2025年には、生成AIやクラウド、サイバーセキュリティなどを軸に、過去10年で最も活発な年の一つになっているとする見方もあります。

特に、上場企業によるロールアップ型M&A(同業他社の連続買収)や、スイングバイIPO(大企業傘下からの上場)を意識した取引が増えていることが特徴です。

現場レベルでは、受託開発やシステムインテグレーションを手掛ける中堅IT企業が、自社単独では対応しづらいクラウドネイティブやAI関連領域を補完するため、専門性の高い小規模ベンチャーを買収するケースが増えています。

また、地方のIT企業が首都圏の上場企業グループに取り込まれ、採用力やブランド力を強化する動きも目立ちます。こうした「統合による規模拡大」と「技術獲得」の両方が同時に進んでおり、2026年に向けて業界再編のピークに近づいていくと考えられます。

IT・ソフトウェア業界は、景気後退局面でも「DX需要」が底堅く、M&Aが止まりにくいセクターです。競合より一歩早く動いた企業が技術・人材・顧客基盤をまとめて押さえる構図になりやすいため、2026年にかけてもM&A件数を押し上げる中心的な業界となるでしょう。

3-3. 地方企業を巻き込んだ広域でのサービス業・小売業の避けられない大再編

サービス業・小売業は、人口減少や人手不足、消費者ニーズの変化に直面しており、単独では生き残りが難しい企業も増えています。このため、M&Aを通じて店舗網やブランドを統合し、スケールメリットや物流効率を高める動きが広がっています。

サービス業のM&A動向をまとめたコラムでも、後継者不足とデジタル化の加速が相まって、M&Aが「成長戦略であると同時に、事業存続の切り札」になっていると指摘されています。

実務の現場では、地方のサービス事業者や小売チェーンが、大手グループや広域展開企業に買収されるケースが増えています。自動車整備や人材サービス、専門店、小売チェーンなど、地域に根ざしたビジネスほど、後継者不足や投資負担の重さから、M&Aを通じてグループ入りする選択を取る傾向が見られます。

また、東京証券取引所の非上場化件数が過去最多となるなかで、上場小売・外食企業がプライベート化を選び、事業の抜本的な再編を実行しやすくする動きも強まっています。

こうした再編は、個別には「1社の売却」に見えても、広域で見ると「数十〜数百店舗レベルの再編」につながります。

2026年に向けて、サービス業・小売業では地域ブロック単位での再編が加速し、M&A件数の増加だけでなく、従業員・取引先を巻き込んだ構造変化が進むと考えられます。

3-4. 投資マネーが集まる再生可能エネルギー関連と脱炭素技術分野におけるM&A動向

再生可能エネルギーや脱炭素技術の分野は、政策支援と投資マネーの双方が集まる注目セクターです。

エネルギー・ユーティリティ・資源分野のM&A見通しをまとめたレポートでは、2025年に向けて再生可能エネルギー、送電網の近代化、クリーンエネルギー技術のための重要鉱物への投資が主流になると予測されています。

日本でも、太陽光発電事業や再生可能エネルギー関連企業のM&A事例が増えており、事業譲受を通じて発電容量やプロジェクトパイプラインをまとめて取得する動きが見られます。

再生可能エネルギーM&Aの事例を紹介する記事では、数十億円規模の事業譲渡を通じて、産業用太陽光発電事業を一気に拡大するケースが報告されています。

こうした取引では、電力固定価格買取制度(FIT/FIP)の変更や設備のメンテナンス負担を背景に、小規模事業者が大手グループに事業を譲渡し、大手側はスケールメリットを活かして運営効率を高める狙いがあります。

また、蓄電池やエネルギーマネジメントシステムなど周辺技術の企業に対する投資も増えており、「発電だけでなく、制御・蓄電まで含めたエコシステム構築」が進んでいると解説されています。

脱炭素の流れは短期間で終わるテーマではなく、2030年・2050年といった長期目標に向けて継続する政策課題です。そのため、2026年にかけて再エネ・脱炭素分野のM&Aが減速する可能性は低く、むしろ案件の多様化と国際化が進むでしょう。

結果として、この分野は今後数年にわたり、M&A件数増加の重要な牽引役になると考えられます。

4. M&A活況時代に経営者が取るべき戦略

ここまで見てきたように、2025〜2026年の日本は「M&A活況期」に入っていると考えられます。ただし、件数が増えることはチャンスであると同時に、競合も増えるということです。

買い手・売り手双方がしっかりと戦略を持ち、PMI(統合プロセス)まで見据えて動かなければ、せっかくのディールが期待どおりの成果につながらない可能性もあります。

最後に、買い手・売り手それぞれの立場で押さえておきたいポイントと、MBOなど非上場化の選択肢について整理します。

M&A活況時代に経営者が取るべき戦略について、以下に沿って解説します。

4-1. 買い手側が成功するためのM&A戦略とPMI(統合)の重要性

買い手側にとって、M&Aを成功させる鍵は「どの企業を買うか」だけでなく、「買った後にどう統合するか(PMI)」にあります。

多くの専門家は、M&Aの失敗要因の多くがPMIにあると指摘しており、シナジーが出ない、キーパーソンが離職する、システム統合が遅れる、といった問題がよく挙げられます。

日本企業は、PMIを専門に担う組織や人材が不足しているとされ、買収後の統合を現場任せにしてしまうケースも少なくありません。

近年のレポートでは、「PMIはM&A成立後に考えるものではなく、DD(デューデリジェンス)の段階から統合シナリオを描いておくべきだ」と強調されています。

統合のロードマップや90〜180日程度のスケジュール、経営・業務・文化の三つの統合軸を事前に整理し、どの順番で何を統合していくのかを明確にしておくことが重要です。

さらに、人事・IT・ガバナンス・ブランドなど、統合でトラブルになりやすい領域については、専門家のサポートを受ける企業も増えています。

2026年に向けてM&A件数がさらに増えるなかで、買い手側は「数をこなす」だけでなく、「一件ごとの成功確率を高める」発想が求められます。

PMIを軽視せず、社内に統合の経験値を蓄積し、必要に応じて外部のPMI支援サービスを活用することで、活況期の波を成長につなげやすくなるでしょう。

4-2. 売り手側が企業価値を最大化するための準備と交渉術

売り手側が企業価値を最大化するためには、「売りたいタイミングで売る」のではなく、「価値がきちんと伝わる状態を整えてから売る」視点が重要です。

後継者不足に直面した中小企業の経営者は、「廃業か、誰かに譲るか」という二択に追い込まれがちですが、事業承継M&Aを選ぶ場合でも、事前準備の有無で条件が大きく変わることがあります。

具体的には、事業の見える化、収益構造の整理、主要顧客との関係性の明確化、キーパーソンの役割整理などがポイントになります。

事業承継に関する調査では、後継者が決まった企業であっても「後継者の経営能力」や「税務・資金面の課題」に不安を抱えているケースが多いとされます。こうした課題は、買い手側から見てもリスク要因として評価されるため、早めに専門家と相談しながら対応策を用意しておくことが重要です。

また、複数の候補者と対話し、自社の価値観や従業員の雇用を大事にしてくれる相手かどうかを見極めることも、価格以外の重要な条件になります。

交渉の場では、「相手にすべて任せる」のではなく、自社の強みや成長余地を丁寧に説明し、「一緒になればどのようなシナジーが出るか」を共有できると、条件面でプラスに働きやすくなります。

2026年にかけてM&A市場が活況を保つとすれば、売り手側にとっては複数の選択肢を比較できるチャンスの時期です。焦らず準備を進め、信頼できるアドバイザーとともに交渉に臨むことで、企業価値をより高く評価してもらえる可能性が高まるでしょう。

4-3. MBO(経営陣による買収)など非上場化を検討する際の選択肢

最後に、経営者自身が主体となる「MBO(経営陣による買収)」と非上場化の選択肢について触れておきます。近年、日本では上場企業のMBOによる非上場化が増加しており、2023年以降は上場廃止件数が過去最多水準になっています。

2025年に入ってからも、すでに多くの銘柄で上場廃止が決まっており、この流れは一時的なものではないと見る向きが多い状況です。

背景には、上場維持コストの増加や、アクティビスト対応の負担、短期的な株価評価に振り回されたくないという経営者の本音があります。

MBOを選択する企業は、「上場ルールから自由になり、中長期的な構造改革や再成長に集中したい」という意図を持つことが多いです。

コンサルティング会社のコラムでは、MBOによる非上場化が「事業承継の一手段」としても活用されており、オーナー経営者が次世代の経営陣とともに株式を取得し、上場をやめたうえで時間をかけて事業を磨き直すケースも紹介されています。

一方で、MBOには買収資金の調達や少数株主保護など、クリアすべき論点も多く、専門家の支援なしに進めるのは難しいのが実情です。

2026年にかけてM&A件数が過去最多となる局面では、「売却」「買収」だけでなく、「非上場化してから再成長を目指す」という第三の選択肢も視野に入れる価値があります。

自社の株主構成やガバナンス状況、市場からの評価、将来の投資計画などを踏まえ、MBOやTOBを組み合わせた戦略が本当に自社に合っているのかを検討することが大切です。

そのうえで、M&Aアドバイザーや弁護士、ファンドなどと連携しながら、最適なスキームを選ぶことが求められます。

ファーストパートナーズ・グループでは、お客様のニーズに寄り添ったM&A戦略や企業価値向上のご提案を行っております。

M&Aの進め方や売却・買収の判断、事業承継の方向性について、お客様の状況を鑑みながら、的確にアドバイスいたします。

これを機に一度相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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長竹 祐樹

大学卒業後、新卒で銀行へ入行。支店業務(担当地域の個人・法人のお客様へ資産運用や融資の提案を主に実施)を経験後、本部へ異動し富裕層や相続・事業承継業務及び支店管理、提携先との連携や折衝を経験。頭取表彰や本部長表彰等受賞。銀行の求めるものとお客様の求めるものとのずれを感じ、株式会社ファーストパートナーズへ転職。現在は幅広いサービスや金融商品をお客様に案内できる環境にあり、お客様のニーズから真に求めるものを提案できるよう日々行動している。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

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