
(画像=SBI証券)
この記事は2025年3月10日にSBI証券で公開された「1分でチェック!今週の米国株式 」を転載したものです。 掲載記事(最新版):1分でチェック!今週の米国株式 |
今週は鉄鋼・アルミニウム輸入関税発動とCPIが最大のポイント
先週の振り返り
先週の米国株は引き続き調整色が見られる展開となりました。カナダとメキシコ、中国(中国は追加関税)からの輸入関税が3月4日に発動したことで世界経済への懸念がネガティブ材料視されました。カナダとメキシコからの自動車輸入関税に関しては1カ月先送りされたことで安心感から買戻しの動きも見られました。一方、米国・メキシコ・カナダ協定に準拠した製品は4月2日まで先送りされましたが、トランプ関税を巡る不透明感は払しょくされず総じて軟調な展開となりました。S&P500指数は昨年からのトランプラリーで上昇した分を帳消しにする「往って来い」となりました。これまで米国株を牽引してきたマグニフィセント・セブンについてはその指数が昨年12月ピークから約16%下げて調整局面入りしており、ナスダック総合指数も同12月ピークから約10%の下落で調整局面となっています。なお、週間ベースではNYダウが反落、S&P500とナスダックは3週続落となりました。S&P500セクター別(11業種)パフォーマンスはヘルスケアが上げて、金融や一般消費財・サービス、エネルギーなどが下げました。個別株ではマクドナルド(MCD)やフィリップ モリス インターナショナル(PM)、アッヴィ(ABBV)などが史上最高値圏で推移し、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)やベライゾン コミュニケーションズ(VZ)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で200日移動平均を超える比率は50%と鈍化しています。
個別株の材料としては、ブロードコム(AVGO)は2-4月期の売上高見通しが市場予想を上回り、AI需要が堅調との見方から株価は大幅高となりました。モデルナ(MRNA)はCEOなどが600万ドル相当の株式取得を明らかにしたことで株価は急騰しました。一方、ベスト バイ(BBY)はCEOが関税は業績に影響を及ぼすと警告したことで株価は急落しました。クラウド ストライク ホールディングス A(CRWD)は2-4月期EPS見通しが市場予想を大きく下回り、株価は大幅下落しました。スーパー マイクロ コンピューター(SMCI)は輸出サーバーに規制対象の半導体が搭載されている可能性がありシンガポール当局が捜査していると報じられて、株価が急落する場面がありました。なお、S&P500指数採用銘柄の495社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は74%です。今週はオラクル(ORCL)やアドビ(ADBE)などが決算発表を予定しています。
今週の見通しと注目セクター・テーマ
今週は鉄鋼・アルミニウム輸入関税発動とCPIが最大のポイントになりそうです。3月12日に鉄鋼・アルミニウム輸入関税が発動する見通しです。全体的にマーケットのセンチメントが軟調であるため、下押し圧力として意識されそうです。これまでの関税発動の動きを見ると、今回の関税発動に関して先送りされる可能性がありますが、その場合はかえって政策の不透明感を高めるといった見方もできるため、マーケットの反応には注意が必要です。また、経済指標ではCPI(消費者物価指数)が注目されます。市場予想で前年比2.9%増と前回(同3.0%増)からやや鈍化見通しです。なお、米国の政策金利については、市場予想では年内の利下げ回数でほぼ3回が見込まれており、市場予想並みにインフレ鈍化が示されれば、マーケットで利下げへの注目が高まり、リリーフラリー的な動きとなる可能性があります。S&P500指数は200日移動平均まで下げたことから、エントリーポイントとして押し目買いの動きが出てくるか注目されそうです。個別企業の業績では、オラクル(ORCL)やアドビ(ADBE)の決算発表がIT需要の観点からマーケットで注視されそうです。また、14日期限予定の米つなぎ予算の行方も注視されそうです。
注目セクター・テーマとしては下記を考えています。
ディフェンシブ・スタンス関連:VIX指数が節目の20台を突破し、マーケットはボラティリティの大きな展開が想定されます。また、NY金先物価格が史上最高値圏で推移しており、投資家のディフェンシブ・スタンスは当面続く可能性があります。関連銘柄は注目されやすいと考えられます。バリック ゴールド(GOLD)、ニューモント(NEM)、ギリアド サイエンシズ(GILD)、コカ-コーラ(KO)
関税関連:2月のISM製造業指数の支払価格やISM非製造業指数の仕入価格は市場予想を上回りインフレ圧力を示唆していると考えられます。そうした中で、S&P500指数採用銘柄において関税に関するコメントが総じて少ないセクターとしてコミュニケーション・サービスや不動産、エネルギー、公益などが挙げられます。相対的に関税の影響が少ないことを示唆している可能性があり、マーケットで注目されやすいと思われます。コミュニケーションサービスセレクトSPDR(XLC)、不動産セレクト セクターSPDR ファンド(XLRE)、エネルギーセレクトセクターSPDRファンド(XLE)、公益事業セレクト セクター SPDR ファンド(XLU)
一目均衡関連:米国株が調整色を示す中、一目均衡表で株価が雲を上抜けるなどテクニカル的な観点で投資妙味が見られる関連銘柄は注目されやすいと考えられます。ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、イーライ リリィ(LLY)、アルトリア グループ(MO)、プロクター & ギャンブル(PG)
重要イベント・主な経済指標

※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
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