
(画像=SBI証券)
| この記事は2025年12月15日にSBI証券で公開された「1分でチェック!今週の米国株式 」を転載したものです。 掲載記事(最新版):1分でチェック!今週の米国株式 |
今週は雇用統計やCPI、マイクロン テクノロジー決算発表がポイント
先週の振り返り
先週の米国株は注目のFOMCで利下げが発表されたほか、その内容も事前に懸念されていたほどタカ派的でなかったことが好感される一方、AI懸念も根強くハイテク株は総じて軟調な動きとなりました。VIX指数が15.74と20を引き続き下回り、ボラティリティは落ち着いています。NYダウやS&P500、中小型のラッセル2000指数が史上最高値を更新する場面がありました。週間ベースではNYダウが3週続伸、S&P500とナスダックは3週ぶり反落となりました。AI関連はまちまちの動きを示す中、セクターローテーションの動きが見られました。S&P500セクター別(11業種)の週間パフォーマンスは素材や金融、資本財・サービスなどが上げて、コミュニケーション・サービスや情報技術などが下げました。個別株では、ゴールドマン サックス(GS)やアメリカン エキスプレス(AXP)、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)などが史上最高値圏で推移しています。このほか、サウスウエスト エアラインズ(LUV)やデュポン ド ヌムール(DD)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で200日移動平均を超える比率は62%へ改善しています。年初来のファクターリターンではEPS修正や時価総額、流動性などのファクターがアウトパフォームしていますが、過去1週間ではバリューや自社株買い、配当利回りのアウトパフォームが目立っています。なお、12/12にナスダック100指数の入れ替えが発表され、シーゲイト テクノロジー(STX)やウエスタン デジタル(WDC)など6銘柄が採用されることになりました。
個別株ではウォルト ディズニー(DIS)はオープンAIの動画サービス「Sora」へのディズニーキャラクターのライセンス供与、また、オープンAIへの10億ドル出資合意を材料視して、株価は上昇しました。ビザ A(V)はアナリストがバリュエーションなどを背景に投資判断を引き上げたことを好感して、大幅高となりました。GE ベルノバ(GEV)は28年までの業績見通しを上方修正して、急騰しました。一方、オラクル(ORCL)はクラウド売上高が市場予想を下回る中、通期設備投資見通しを従来予想の350億ドルから500億ドルへ大幅に引き上げたことで収益化への懸念から、急落しました。ブロードコム(AVGO)は11-1月期のAI半導体売上高が前年比で倍増するとの見通しを明らかにしましたが、収益性への懸念などから急落となりました。今週はマイクロン テクノロジー(MU)やフェデックス(FDX)、ナイキ B(NKE)などが決算発表を予定しています。
今週の見通しと注目セクター・テーマ
今週は雇用統計やCPI、マイクロン テクノロジー決算発表がポイントです。先週のFOMCでは取得可能なデータにおける雇用軟化とインフレ上昇が指摘されており、大きく逸脱しなければマーケットへのインパクトは生じにくいと考えられます。そのため、雇用統計やCPI以上に重要視されそうなのが、半導体大手マイクロン テクノロジーの決算発表だと思われます。特に売上高や粗利益率の見通し、データセンター向けがポイントになりそうです。強気の見通しを示せれば、AI関連の再評価につながる可能性もあります。なお、スキュー指数が過去1カ月程度上昇傾向にあり、米国株式市場における想定外の株価急変動を警戒する動きも見られつつあります。
注目セクター・テーマとしては下記を考えています。
電力関連:ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によるデータセンターなどへの積極的な設備投資を受けて、電力需要が拡大の見通しにあります。AI関連の一角として株価が調整する場面も見られましたが、ファンダメンタルズは堅調見通しで、株価再評価の余地があると考えられます。コンステレーション エナジー(CEG)、ビストラ(VST)、GE ベルノバ(GEV)、ST 公益事業 セレクト セクター SPDR ETF(XLU)
好配当関連:米金融当局者は利下げに関して来年1回を見込み、マーケットは2回を見込んでいます。雇用軟化が長期化する事が予想される中、金利低下局面が継続する中で、好配当関連銘柄への注目が集まりやすいと考えられます。ベライゾン コミュニケーションズ(VZ)、ファイザー(PFE)、iシェアーズ 好配当株式 ETF(DVY)、ST SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)
好業績期待関連:2026年の市場予想EPS成長率見通しは情報技術や素材、工業、一般消費財・サービス、金融などが高成長見通しです。情報技術はAI関連のマーケットにおける不透明感がくすぶっており、やや手掛けにくいこと、また、セクターローテーションの動きも見られることから、情報技術以外で好業績が見込まれるセクターが注目されそうです。ST 素材セレクト セクター SPDR ETF(XLB)、ST 資本財 セレクト セクター SPDR ETF(XLI)、ST 一般消費財 セレクト セクター SPDR ETF(XLY)、ST 金融セレクト セクター SPDR ETF(XLF)
重要イベント・主な経済指標

※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
(画像=SBI証券)
| 著者プロフィール 齊木 良 (さいき りょう) シニア・マーケットアナリスト(米国株担当) (日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から独自の視点で米国株を分析する。初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。 |
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