
(画像=SBI証券)
この記事は2025年8月20日にSBI証券で公開された「どうなる来週のエヌビディア決算!持続で良いのか!?」を転載したものです。 掲載記事:どうなる来週のエヌビディア決算!持続で良いのか!? |
来週8/27(水)にエヌビディアの5-7月期決算発表を迎えます。株価は8/12(火)に最高値を更新した後、ここ数日は上昇一服から利食いに押されていますが、持続で良いのでしょうか?考えてみましょう。
図表1 注目銘柄

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
(画像=SBI証券)
(1)来週に控えるエヌビディアの決算発表
〇エヌビディアの5-7月期決算は堅調見込み
エヌビディアの5-7月期売上のコンセンサス予想は460億ドルで、会社が2-4月期決算発表時に提示したガイダンス441~459億ドル(450億ドル±2%)の上限近くを見込んでいることになります。
前年同期比では53%増で、2-4月期実績の同69%増と比べるとかなりの減速となりますが、中国向け輸出規制の影響を受けたうえでこの伸びなら市場の拡大モメンタムは強いと考えられます。
EPSのコンセンサス予想は1.01ドルで前年同期比50%増と、売上に沿った伸びが見込まれています。通期予想EPSの修正状況は、過去4週が0.7%、過去3ヵ月が1.8%と良好です。
総合的にみて、決算は堅調と見込まれます。
〇AMDの決算はAI半導体についてはポジティブ
AI半導体の他の銘柄の決算はどうでしょうか。カスタムAI半導体を生産するマーベルテクノロジーは8/28(木)、ブロードコムは9/4(木)の予定ですが、AMDは8/5(火)に発表済みです。
AMDの4-6月期決算は、売上が市場予想を3%上回ったものの、EPSは2%下回り、7-9月期の売上ガイダンスは約87億ドルとして市場予想を4%上回って、全体として好悪まちまちの結果でした。決算発表直後の株価は下落しましたが、中国向けの売上が不透明との会社側コメントが主因だったとみられます。
4-6月期の売上が市場予想を上回ったのはゲーム向けが要因で、7-9月期の売上ガイダンスが市場予想を上回ったのはデータセンター向けが要因とみられ、AI半導体需要に関してはポジティブな内容と捉えられます。
〇中国向けの不透明感は晴れず
中国向けのAI半導体については、最先端品から性能を落とした製品については、輸出が認められました。ただし、中国売上の15%を米国政府に納めることが条件で、エヌビディア、AMDともこの取引に合意したと伝えられています。
エヌビディアの5-7月期ガイダンスは、中国向け売上の80億ドルをゼロとしていました。中国向け輸出が再開されれば、売上見通しの上方修正につながると期待されます。同社の平均の粗利率は71%(2-4月期、中国向けの損失を除くベース)あるので、売上が15%減ったとしても粗利率は50%以上と計算され、利益の出る取引条件だと考えられます。
一方、中国政府はエヌビディアの「H20」の使用を控えるよう国内企業に呼び掛けているとされます。エヌビディアのAI半導体に替わる製品を中国企業はまだ供給できないとみられるため、これがどの程度の影響を及ぼすかは不透明です。
図表2 エヌビディアの株価と予想EPS(2026年1月期)

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(2)AI半導体銘柄に引き続き注目できる理由
4月以降の相場反発を主導してきたAI半導体の関連銘柄ですが、引き続き注目できるとみています。短期的にはテクノロジー株に対する利益確定の流れの中で調整の可能性も高まっていますが、中期的には相場の柱になり続けるとみられます。そう考えられる理由を、以下に解説いたします。
〇AIデータセンター投資の大幅拡大が続く
2023年初めに新しいタイプのAIである「生成AI」が世間の注目を集めて以来、AIデータセンターに対する投資見通しの引き上げが続いています。実際に生成AIを利用してみて、実務に生かせるとの認識が広がるにつれ、AI需要の見通しが引き上げられてきました。
マーベルテクノロジーの会社説明会資料(6月17日開催)によれば、AIデータセンターに対する投資額は2025年に5,930億ドルから2028年に1兆ドルへ、年平均成長率が20%で増加すると業界で予想されています。AIデータセンター投資のうち約半分がAI半導体に費やされるとみられ、AIデータセンター投資に連動して需要が拡大しています。
〇AI半導体の「推論」での利用は需要の安定化に寄与
AI計算には「訓練」と「推論」の2種類がありますが、従来のAIでは「推論」の段階に進むとGPU(画像処理半導体)ではなく、CPU(中央演算装置)が使われることが多かったです。
しかし、生成AIでは「推論」の段階でも大量のデータを処理するため、AI半導体が使われるようになりました。これがAI半導体に対する継続的な需要を生むことになりました。
人々がオープンAIのChatGPTやマイクロソフトのCopilotに問いかけるごとにAI半導体が使われています。AIの利用が本格的に広がろうとしている現在、AI半導体の需要が大幅に伸びていくのは容易に想像できます。
〇AI半導体の市場構造も好調の要因
いくら需要が拡大していても新規参入する企業が多ければ、競争の激化で価格が低下して、AI半導体銘柄の株価が上げ続けることはないと考えられます。しかし、AI半導体の巨大市場が生まれると見込まれてから2年以上が経過していますが、AI半導体の供給企業として知られている企業は図表3に取り上げた4社に限られます。
さらに、AI半導体市場は一般的なAI計算に使われるAI半導体と特定顧客向けのカスタムAI半導体にも分かれており、各市場に2社ずつしかいません。これが巨大な成長市場でも過度の競争が起こることを防いでいると考えられます。
〇ソフトウェアが重要
AI半導体はハードウェア単体ではなく、これを動かすためのソフトウェアと組み合わせて販売されていることも市場が簡単に崩れない要因とみられます。
業界トップのエヌビディアにおいては、一般的には半導体企業と見られていますが、実は数千人規模のソフトウェア技術者を擁しており、AI関連のソフトウェアでは業界トップ級の厚みを誇るとみられています。
AMD、ブロードコム、マーベルテクノロジーなどはAI関連ソフトウェアの蓄積は厚くないものの、AIを熟知するハイパースケーラーや新興ソフトウェア企業と連携しています。
図表3 AI半導体関連4銘柄の株価推移

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(3)エヌビディアのこれまで
エヌビディアは1993年に現CEOのジェンスン・フアン氏らによって設立された半導体企業です。現時点で時価総額最大の企業となっていますが、これまでの歴史を振り返ってみます。
〇2012年まで、ゲーム向けGPUの時代
・コンピュータでの画像表示に使われるGPU(画像処理半導体)の会社。主な用途はコンピュータゲーム。
・ノートパソコン用CPU(中央演算装置)などへの進出を試みたがうまくいかなかった。
・GPUはゲーム以外に用途が広がらなかったことから、世界のGPUメーカーは同社とAMDのみになっていた。
〇2012年~2015年、GPUの用途拡大を模索した時代
・2012年にAIコンテストでAIの実用性が証明され、同時に同社はAIの計算にGPUが使えることを研究者から知らされた。GPUのAI向け利用に対する研究が始まった。
・2006年にGPUを画像表示ではなく数値計算に使うためのソフトウェア・プラットフォーム「CUDA」を発表していたが、これがGPUでAI計算を行うときに役立つことになった。
・「CUDA」は科学計算(例えば、気象のシミュレーション)などをターゲットに、工科大学に講座を開設するなど地道な普及に努めていたが、これがAI計算への応用で花開くことになった。
〇2016年~2022年まで、AI向けGPUの時代
・データセンターでのAI計算にGPUが使われるようになった。このときの用途は、主に「認識」(例えば、顧客が購入した衣類と似たものを探してくるなど)だった。
・自動運転車が同社のAIコンピュータを搭載するとの期待が高まったが、安全面から時期尚早と判断され、大規模な搭載は実現しなかった。
・この時代のAIでは、AIモデルの「訓練」ではGPUが使われるものの、利用の段階ではCPUが使われることが多かった。このため、GPU需要の持続的拡大につながりにくかった。
〇2023年~、生成AI向けGPUの時代
・生成AIによってAI利用の範囲が広がり、データセンターでのAI半導体に対する需要が急増した。
・生成AIではモデルの「訓練」だけでなく、「推論」(ユーザーからの問い合わせに対して答えを導くプロセス)でも使われるようになり、AI半導体に対する需要が安定して拡大することとなった。
・2025年度の売上は2015年度の売上に対して28倍に達する、異様な成長を遂げた(図表4)。
図表4 エヌビディアの売上推移

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