
(画像=SBI証券)
この記事は2025年6月2日にSBI証券で公開された「アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集」を転載したものです。 掲載記事(最新版):アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集 |
5月の米国株式市場を振り返ると、米国と中国が90日間の関税大幅引き下げで合意し、トランプ関税を巡るゲームチェンジの動きがマーケットのサポート材料になりました。一方、米国際貿易裁判所がトランプ関税の大半に違法の判断を示したことに対して、連邦高裁はその効力を一時的に停止する判断を下し、この点は不透明感として残りました。S&P500指数は月間ベースで4カ月ぶりにプラスになり、5月として1990年以来の好パフォーマンスでした。ナスダックは4月安値から25%反発して強気相場入りしており、モメンタムが回復しています。また、恐怖指数で知られるVIX指数は5/30時点で18.57と20を下回り、落ち着いた動きです。ビットコインが一時11万ドルを突破したほか、5月に新規上場したイートロ(ETOR)やヒンジヘルス A(HNGE)が公開価格を上回って推移するなどリスクセンチメント回復が示唆されます。セクター(S&P500の11業種)の動きでは情報技術やコミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスなどが上げて、ヘルスケアが下げました。企業業績ではエヌビディア(NVDA)はデータセンター部門の牽引で2-4月期の売上高とEPSが市場予想を上回り、中国への輸出規制の悪影響があるものの5-7月期売上高見通しがほぼ市場予想並みとなり、安心感が広がりました。S&P500指数採用銘柄で491社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回ったポジティブサプライズ比率は約77%とトランプ関税下においても堅調です。ネットフリックス(NFLX)やクラウド ストライク ホールディングス A(CRWD)、CME グループ A(CME)などが上場来高値圏で、ボーイング(BA)やモザイク(MOS)などが52週高値圏です。
6月の米国株の注目点は、①トランプ関税に関するニュース、②雇用統計(6日発表予定)、③CPI(11日発表予定)、④FOMC(17-18日予定)と考えています。トランプ関税の当面の関心は米国とEUとの間で貿易戦争回避に向けた動きが見られるかに集まりそうですが、5/26には対米交渉を加速させることで合意したことが明らかになり、問題解決に向けた兆しも見られ始めています。雇用統計は非農業部門雇用者数の増加が市場予想で前月比12.5万人増と前回(同17.7万人増)から減速見通しで、失業率は4.2%と前回並みの見通しです。雇用者数増加が市場予想と大きく乖離するようだと利下げ観測が急変動する可能性がありそうです。FOMC(米連邦公開市場委員会)は市場予想では政策金利の据え置きが見込まれています。なお、より注目度が高い米金融当局者の政策金利とインフレ見通しなどが発表される予定であり、前回から変更されるかどうか注視されます。CPI(消費者物価指数)は市場予想で前年比2.5%増と前回(同2.3%増)からインフレ高進の見通しです。小売り大手ウォルマート インク(WMT)が5月から値上げする方針を示しており、トランプ関税のCPIへの影響が見られ始めるかどうか注目されそうです。このほか、金利への影響を見る上で10年債入札(11日予定)もマーケットに影響を与えそうです。
今回のコンテンツのテーマは「売上高好調」です。売上高は需要動向を測るものさしの1つであり、右肩上がりの成長トレンド5銘柄をピックアップいたします。
※当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成
投資情報部 齊木 良
SBI証券 アナリスト注目銘柄
今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。
1.売上高が過去9四半期で右肩上がり傾向
2. 向こう2四半期の前年比ベースの売上高成長率が市場予想で堅調見通し
3.アナリスト評価が「買い」と「中立」で全体の5割以上
1. アリスタ ネットワークス(ANET) カリフォルニア州に本社があり、大規模AI・データセンター向けクラウドネットワーキングを提供しています(スイッチとルーティング・プラットフォーム)。顧客数は1万社強で、売上高比率はマイクロソフト20%、メタ プラットフォームズ A15%です(2024年12月期)。高速データセンター・スイッチング市場で、同社が市場シェアでシスコ システムズ(CSCO)を追い抜きました。中長期的な観点では、クラウドインフラ需要やAIがサポート材料です(マイクロソフトやメタ プラットフォームズ Aは積極的な設備投資が見られます)。調整後ベースの粗利益率は64.6%、同営業利益率は47.5%と好採算です(24年12月期)。 1.1-3月期は前年比28%増収で右肩上がり傾向 2. 当四半期は25%増収見通し、次四半期は16%増収見通し 3.アナリスト評価は買い20人、中立7人、売り0人
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2.ネットフリックス(NFLX) カリフォルニア州に本社があり、世界大手のエンタテインメント・サービス会社です(ドラマや映画などのストリーミング)。収益源は月額利用料金で、2024年12月期の地域別売上高比率は米国&カナダが45%、欧州・中東・アフリカ32%、南米12%、アジア太平洋11%です。世界で3億人を超えるサービス加入者がいます(24/Q4時点)。オリジナルコンテンツが強みで、同社史上最大のヒット「イカゲーム」続編が24年12月下旬から配信スタートし、25年6月に最終編配信の予定です。また、アメフトなどのスポーツ中継も強化しており、継続的な加入者数拡大が期待されます。会社側は2030年までに時価総額1兆ドルを目指し、売上高を2倍に拡大することを計画しています。株価は1,200ドルを突破して史上最高値圏で推移し、将来的な株式分割の可能性もあると思われます。 1.1-3月期は前年比13%増収で右肩上がり傾向 2. 当四半期は15%増収見通し、次四半期は14%増収見通し 3.アナリスト評価は買い45人、中立16人、売り1人
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3.マイクロソフト(MSFT) 米国のソフトウェア大手で、クラウドサービスの「Azure(アジュール)」とサーバー関連製品で構成されるインテリジェント・クラウド部門や、「Microsoft 365(ワードやエクセルなどのサブスクリプション)」などが占めるプロダクティビティ・アンド・ビジネス・プロセス部門、「Windows」やノートPCの「Surface(サーフェス)」、ゲーム関連が含まれるモア・パーソナル・コンピューティング部門を通じて事業を展開しています。3部門の売上高比率のバランスが取れているのも強みの一つと考えられます。ChatGPTで有名となったオープンAIへ投資しています。2025年1-3月期の売上高は前年比13%増の701億ドルで市場予想を上回り、EPSも上回りました。部門別ではクラウドが牽引役です。Azure&その他クラウドサービス売上高(コンスタント・カレンシーベース)は同35%増で市場予想を上回り、AIサービスの寄与は16ptsで前四半期(13pts)から拡大しています。 1.1-3月期は前年比13%増収で右肩上がり傾向 2.当四半期は14%増収見通し、次四半期は13%増収見通し 3.アナリスト評価は買い66人、中立6人、売り0人
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4.パランティア テクノロジーズ A(PLTR) コロラド州に本社があり、成長著しいビッグデータ分析企業です。2003年設立で、米国の諜報機関への対テロ調査支援のためのソフトウェア構築がビジネスの起源です。ソフトウェア・プラットフォームは、ゴッサムを始めファウンドリー、アポロ、AIプラットフォームの4つで、契約期間はおおよそ1-5年です。2024年12月期の売上高比率は政府55%、民間45%です。地域別では米国66%、海外34%(英国11%、その他23%)です。2024年12月末の顧客数は711で、世界のおよそ90の産業で使用されています。25年1-3月期には米軍向けにTITAN(AI活用の戦術車両)を出荷し、高い評価を得ています。NATO(北大西洋条約機構)が同社AI軍事システム購入を発表しており、ビジネスの追い風と見られます。株価は史上最高値圏で、マーケットの好評価を受けています。今期市場予想EPS成長率は約42%で、また、会社側は25年12月期の売上高見通しを上方修正しています。 1.1-3月期は米国ビジネス牽引を背景に前年比39%増収で右肩上がり傾向 2.当四半期は38%増収見通し、次四半期は35%増収見通し 3.アナリスト評価は買い8人、中立16人、売り5人 (画像=SBI証券)
5.ソーファイ テクノロジーズ A(SOFI) カリフォルニア州に拠点があり、会員の経済的自立を支援するミッションドリブン型の企業です。2011年に設立されて、事業は米国がメインですが、海外でも南米やカナダで事業展開しています。セグメントは、①レンディング(消費者ローンや学生ローン、住宅ローンなど)、②テクノロジー・プラットフォーム、③金融サービス(デジタル・バンキングやトレーディング及びアドバイザリー・ソリューション)です。レンディングから金融サービスをワンストップで手掛けており、会員数は過去5年間で約10倍に拡大しています。2024年12月末の会員数は前年比34%増のおよそ1,013万人です。主力事業であるレンディングは純金利収入が収益源です。調整後売上高に対する金融サービス及びテクノロジー・プラットフォーム合計の比率は拡大中です。なお、EPSは24年12月期に通期初の黒字となり、四半期ベースでは6四半期連続の黒字化を達成しています。同社CEOは「2025年は極めて好調なスタートを切った」とコメントしており、会社側は25年12月期の調整後売上高見通しを上方修正しました。 1. 1-3月期は調整後ベースでは前年比33%増収で右肩上がり傾向 2.調整後ベースで当四半期は34%増収見通し、次四半期は21%増収見通し 3.アナリスト評価は買い7人、中立8人、売り6人
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