
(画像=SBI証券)
この記事は2025年9月3日にSBI証券で公開された「アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集」を転載したものです。 掲載記事(最新版):アナリスト注目の銘柄は?相場先読み!米株特集 |
8月の米国株式市場は、CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことやジャクソンホール会議においてパウエルFRB議長が利下げの可能性への道筋を示したことを背景に利下げ観測が高まり、S&P500指数など主要株価3指数が史上最高値を更新する場面が見られました。恐怖指数で知られるVIX指数は9月2日時点で17.17と注目ラインである20を引き続き下回っており、ボラティリティは総じてフェイバーです。月間ベースではNYダウとS&P500指数が4カ月続伸、ナスダックは5カ月続伸と堅調な推移が続いています。月間ベースのセクターパフォーマンス(S&P500の11業種)では素材やヘルスケア、コミュニケーション・サービスなどが上げて、公益や資本財・サービスが下げました。個別株ではアルファベット A(GOOGL)やJPモルガン チェース(JPM)、アメリカン エキスプレス(AXP)などが上場来高値圏で、ニューモント(NEM)やAT&T(T)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で489社が決算発表済みで、そのうちEPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は8割強とヒストリカルにみても市場予想比で米企業業績の堅調さが目立っています。なお、注目されたエヌビディア(NVDA)決算発表は5-7月期の売上高とEPSが市場予想を上回り、600億ドルの自社株買い計画を明らかにしました。一方、データセンター売上高が市場予想をやや下回りました。今回の業績には中国向けH20の売上高が入っておらず、見通しにも中国向けH20出荷は想定していないことから、中国ビジネスの不透明感が今後意識されそうです。
9月の米国株の注目点は、①次期FRB議長候補の行方、②雇用統計(5日発表予定)、③アップル製品イベント(9日開催予定)、④CPI(11日発表予定)、⑤FOMC(16-17日開催予定)と考えています。ベッセント財務長官が今月以降、次期FRB議長候補と面談を実施予定です。トランプ大統領の意向を汲んで利下げに前向きな候補が最終的に選ばれると思われますが、その通りになればマーケットにはポジティブ材料と思われます。雇用統計は前回発表時に非農業部門雇用者数の過去2カ月分の数値が大幅下方修正されて雇用への懸念を強める内容となりました。今回は非農業部門雇用者数が市場予想で前月比7.5万人増と前回(同7.3万人増)からやや拡大見通しです。市場予想並み程度で落ち着けば緩やかな雇用減速を受けて、マーケットで利下げ観測が高まり好感されると思われます。一方、市場予想を大幅に上回った場合は利下げ観測の後退につながりかねず、ネガティブ材料視される可能性があります。アップルの製品イベントでは新型iPhoneが発表される見通しですが、併せて薄型新モデルも発表されるとの観測があり、アップルの発表内容に注目が集まりそうです。新モデルが発表されれば成長へのきっかけになる可能性があります。また、トランプ関税のインフレへの影響が懸念される中、CPIは市場予想で前年比2.9%増と前回(同2.7%増)からインフレ高進の見通しです。CPIが市場予想上振れとなれば利下げ観測後退につながりやすく、マーケットの急変動リスクに注意が必要です。FOMCでは前回FOMCで利下げを主張したウォラーFRB理事が引き続き利下げを支持する見通しです。雇用統計とCPIの2つのデータ次第で利下げに舵を切るか据え置きを継続するかの方向性が出てきそうです。
今回のコンテンツのテーマは「自社株買い」です。米企業の自社株買い計画発表が活発化の動きを見せています。大型の自社株買い計画を発表した企業の中から、5銘柄をピックアップいたします。
当コンテンツはBloombergデータ、各社資料、各種報道、当社Webサイトを基にSBI証券が作成
投資情報部 齊木 良
SBI証券 アナリスト注目銘柄
今回の5銘柄の選定ポイントは次の3点です。
1.25年以降に100億ドル以上の自社株買い計画発表
2. 今期市場予想EPSが過去3カ月比で上方修正
3.アナリストの投資判断で、買いと中立が過半数
1 アップル(AAPL) スマートフォンの「iPhone」、タブレットの「iPad」、パソコンの「Mac」、ウェアラブルデバイスの「Apple Watch」、音楽ストリーミングの「Apple Music」、決済サービスの「Apple Pay」、クラウドサービスなどの機器やサービスを手がけています。地域別の売上高構成比をみると米州が43%、欧州が26%、大中華圏が17%、日本が6%、その他アジア太平洋が8%です(2024年9月期)。上場企業の時価総額ランキングではエヌビディアとマイクロソフトに次いで第3位です(2025年9月2日時点)。iPhoneとサービス売上高の牽引で2025年4-6月期の売上高は前年比10%増の940億ドルで、4-6月期として過去最高でした。売上高成⾧率は約3年ぶりの高い伸びと堅調でした。EPSも4-6月期として過去最高でした。米生産拡大へ1,000億ドル追加投資することを発表しています。9月9日の製品イベントで新モデル発表見通しです。
1.25年5月に最大1,000億ドルの自社株買い計画承認発表
2. 今期市場予想EPSが過去3カ月比で約3%上方修正
3.買いが33人、中立22人、売り3人
(画像=SBI証券)
2 アルファベット A(GOOGL) 「Google検索」や「ユーチューブ」などを通じて広告を展開し、インターネット広告の分野で世界大手です。クラウドサービスを展開するなど事業の多角化を進めており、検索やユーチューブ広告などのインターネット広告が売上高全体の76%を占め、クラウドサービスは12%です(2024年12月期)。地域別売上高は米国が49%、欧州・中東・アフリカが29%、アジア太平洋が16%、その他米州が6%です。25年4-6月期はAIの追い風で増収増益の好調な決算でした。広告収入は主力の検索&その他が同12%増、ユーチューブ広告は同13%増で、クラウド売上高が同32%増といずれも市場予想を上回りました。クラウドへの力強く拡大する需要に対応して、会社側は今年の設備投資計画を約850億ドルへ上方修正、積極投資姿勢です。ウェブブラウザー「クローム」を巡る反トラスト訴訟で、「クローム」売却の必要はないとの連邦地裁判事の判断は、投資家に安心感を与え得ると考えられます。
1.25年4月に最大700億ドルの自社株買い計画承認発表
2. 今期市場予想EPSが過去3カ月比で約3%上方修正
3.買いが62人、中立12人、売り0人
(画像=SBI証券)
3 ゴールドマン サックス(GS) NYに本社がある世界的な金融機関で持ち株会社です。2024年12月期の純収入比率はグローバルバンキング&マーケッツ(投資銀行やトレーディングなど)が65%、アセット&ウェルスマネジメント(プライベートバンキングなど)30%、プラットフォームソリューションズ4%です。地域別では米州が64%、欧州・中東・アフリカ23%、アジア13%です。IPOマーケットが回復の動きを見せており、同社にとっても追い風の1つとして材料視されそうです。M&Aにも強みがあり、会社側はM&A環境が底堅いとの見方を示しています。25年4-6月期は投資銀行や株式業務(株式トレーディング収入が過去最高)などのグローバルバンキング&マーケッツが牽引しました。足元の好調な米株式市場もトレーディング業務の支援材料と思われます。
1.25年4月に最大400億ドルの自社株買い計画承認発表
2.今期市場予想EPSが過去3カ月比で約3%上方修正
3.買いが11人、中立13人、売り3人
(画像=SBI証券)
4 JPモルガン チェース (JPM) NYに本社があり、24年末時点で資産4兆ドルを誇り世界有数の総合金融グループです。投資銀行や個人・中小企業向け金融サービス、コマーシャルバンキング、資産運用などの分野で大手です。個人預金の米市場シェアNo.1のほか、クレジットカードや中小企業向けも強みがあります。2024年12月期の純収益比率は、個人・コミュニティバンキングが40%、コマーシャル&投資銀行39%、アセット&ウェルスマネジメント12%、コーポレート10%です。地域別では北米が78%、欧州・中東・アフリカ13%、アジア太平洋7%、南米・カリブ海2%です。25年4-6月期は株式トレーディング収入が4-6月期として過去最高で、また、投資銀行業務の収入が予想外の増加となり、M&A市場の回復を示唆しています。
1.25年7月に500億ドルの自社株買い計画承認発表
2.今期市場予想EPSが過去3カ月比で約6%上方修正
3.買いが16人、中立13人、売り3人
(画像=SBI証券)
5 ウーバー テクノロジーズ(UBER) カリフォルニア州に本社がある配車サービス大手です。Uber Eatsでは料理の配達サービスを行っており、広告ビジネスも手掛けています。世界70カ国以上でサービスが利用できます。2024年12月期のセグメント売上高比率はモビリティ(ライドシェアリングなど)57%、デリバリー31%、フレイト(運送会社と貨物をマッチング)12%です。地域別は米国&カナダ54%、南米6%、欧州・中東・アフリカ28%、アジア太平洋11%です。マンスリー・アクティブ・プラットフォーム・コンシューマーは約1.7億です。25年6月にアルファベット傘下で自動運転のウェイモとジョージア州アトランタでの自動運転サービス開始を発表しました。
1. 25年8月に最大200億ドルの自社株買い計画承認発表
2.今期市場予想EPSが過去3カ月比で約1%上方修正
3.買いが45人、中立13人、売り0人
(画像=SBI証券)
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