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トランプの政策に左右されない!?利益率が高い「優良銘柄」7選

トランプの政策に左右されない!?利益率が高い「優良銘柄」7選

(画像=SBI証券)

この記事は2025年1月22日にSBI証券で公開された「トランプの政策に左右されない!?利益率が高い「優良銘柄」7選」を転載したものです。
掲載記事:トランプの政策に左右されない!?利益率が高い「優良銘柄」7選

トランプ大統領の政策に関する不確実性が強い中、相場の調整局面でも押し目買いを狙っていきたい銘柄を紹介したいとの趣旨で、利益率が高い「優良銘柄」をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄

図表1 注目銘柄

(画像=SBI証券)

(1)相場の調整局面でも押し目買いを狙っていきたい優良銘柄とは?

今回は利益率が高いいわゆる「優良株」をご紹介いたします。トランプ政権下で政策の不確実性が高まる中、相場が調整したときでも押し目買いを狙っていきたい優良銘柄をご紹介したいという趣旨です。

〇今年の米国株には相場調整のシナリオも

今年はトランプ大統領の就任によって、経済政策の見通しが効きづらく、株式相場のボラティリティが上昇するとの見方があります。

市場が懸念しているシナリオは、トランプ大統領が関税引き上げを行うことで、インフレが再燃して米10年国債利回りが5%を超えるような水準に上昇することにより、株価の下落につながるというものです。

米10年国債利回りの5%というのは2023年10月に付けた水準で、そこに至る過程でS&P500指数は4,500ポイント超から4,100ポイント近くまで調整しました。

トランプ大統領就任直後は、株式市場は楽観ムードに包まれやすいとみられますが、実際に関税引き上げが行われ、物価の上昇がデータとなって表れてくる年央にかけては、市場の調整が懸念されやすいと考えられます。

〇相場調整時でも押し目買いを狙っていきたい優良銘柄とは?

相場が調整したときでも押し目買いを狙っていきたい優良銘柄とは、どのようなものでしょうか?

やはり、安定的に成長して、収益性も高いファンダメンタルズがしっかりした銘柄、いわゆる「優良株」と言われるものでしょう。こういった銘柄は、普段の株価評価(つまり、予想PER)にプレミアムが付いて買いにくい価格になっていることが多ものです。市場の調整に引っ張られて、このようなプレミアムが縮小することがあれば、買いのチャンスになると考えられます。

今回は「優良株」を選ぶ切り口として、利益率の高さに注目します。

まず、利益率が高い銘柄にどのようなものがあるか、試しにS&P500指数採用銘柄について実績純利益率上位15社を抽出したのが図表2になります。

これを眺めると、業界の売上の取り方などによって利益率が高くなりやすい銘柄が多く含まれていると言えそうです。しかし、「優良株」として選びたいのは、業界の中で様々な美点を持つが故に利益率が高く、かつ、その美点が崩れにくいと考えられる銘柄です。

そこで業界ごとの平均的な利益率との比較から注目できる銘柄を、第2節と第3節でご紹介します。

〇事業構造によって利益率が高いと考えられる銘柄

せっかくですので、第2節、第3節でご紹介する銘柄を除いて、図表2の上位銘柄について、利益率が高い背景をご説明いたします。これだけ利益率が高いと財務体質も強固となり、それだけで注目する価値がありそうです。

テキサス パシフィック ランド トラスト(TPL)は、シェール油田があるパーミアン盆地の大地主で87.3万エーカーの土地を所有しています。売上の7割が土地・資源管理収入からなるために利益率が高くなっています。トランプ大統領が原油生産を拡大すると昨年から唱えたことから、恩恵を受けると期待されて昨年は株価が大きく上昇しました。

ブラックストーン インク(BX)は、世界最大のオルタナティブ投資会社です。不動産を筆頭にプライベート・エクイティ、各種債券、上場株式などを扱います。運用資産は1兆ドルを超えます。売上に相当する収益は、運用手数料や成功報酬などからなることで利益率が高くなっているとみられます。また、ここ数年のリスク資産の値上がりが収益環境の追い風となっているようです。

CME グループ A(CME)は、金融・商品先物のCME、商品先物のCBOT、NYMEX、COMEXを擁する世界最大級の先物取引所の持ち株会社です。インフラビジネスであることから、収入が十分に増えると利益率がどんどん高くなる構造です。売上の83%をクリアリング&トランザクションフィーが占めます(2023年12月期)。

エアビー アンド ビー(ABNB)は、民泊仲介サイト・アプリの開拓者です。500万の宿泊所と宿泊希望者のマッチングから生じる手数料を収益源としていることから、利益率が高くなっていると考えられます。

ベリサイン(VRSN)は、インターネットインフラ関連サービスの世界大手。「.com」や「.net」といったドメイン名登録、セキュリティサービスが主です。世界13台のルートネームサーバーのうち2台を管理、管理ドメイン数は約1.7億です。インフラビジネスかつ誰でもが参入できるわけではないため、高い利益率を確保できていると考えられます。

図表2 S&P500指数採用銘柄の実績純利益率上位15銘柄

図表2 S&P500指数採用銘柄の実績純利益率上位15銘柄

(画像=SBI証券)

(2)伝統的産業で利益率の高い「優良株」

まず、伝統的産業で業界平均の利益率を大きく上回って「優良株」と考えられるものをご紹介いたします。

ビザ A(V)

ビザに関しては事業構造が高利益率につながっていますが、米国株式市場で「優良株」と言って、まっさきに名前があがるのが同社です。実績の利益率が56.8%、個人投資家にも名前が知られている大型株で最も利益率が高い銘柄というのがここ10年来の定位置です。同業のマスターカードも44.6%と高くなっています。

両社はクレジットカード、デビットカードの決済に際して使われるネットワークを提供して、利用手数料を徴収しています。利益率が高いのは、ネットワークを構築して提供するインフラビジネスであること、また、中国を除く世界市場をビザとマスターカードの2社で約9割という高いシェア(決済額ベース)を保有していることが背景になっています。

決済のデジタル化が進む中で、両社の決済ネットワークが使われる機会が増えていることから、ビザは10%程度、マスターカードは12%程度の増収が続くと期待され、収益性、成長性とも高い銘柄と言えます。ただし、昨年から米司法省による反トラスト法訴訟、小売業界との手数料訴訟(和解案を裁判所が却下した)を抱えているため、この点については注意が必要となっています。

マクドナルド(MCD)

ホテル・レストラン・レジャーセクターの利益率平均が15.5%であるのに対して、同社は倍以上の34.0%となっています。レストランで同社同様にグローバルに展開しているスターバックスが10.4%ですので、その高さが目立ちます。

この利益率の高さは、売上の61%をフランチャイズ収入が占め、フランチャイズ事業の利益率が83%と非常に高いことが要因になっています。ファーストフード業界で世界最大であり、また、幅広い顧客をもって成長していることから、不況にも比較的強い事業と考えられます。

アルトリア グループ(MO)

食品・飲料・タバコ業界の利益率が平均で14.7%に対して、アルトリアグループは43.0%と圧倒的な水準を誇ります。兄弟会社で海外市場を担当するフィリップモリスインターナショナルが26.5%であるため、タバコの会社だから必ず突出して高くなるというわけではないようです。

紙巻タバコ市場は年々縮小しているため、高い利益成長は望みにくい業界環境ですが、アルトリアグループは主力の「マールボロ」の高い市場シェアを基盤に対象市場を米国に限って活動していることが高い利益率につながっているとみられます。一方、市場では紙巻タバコから電子タバコや加熱式タバコへのシフトが起きていますが、これに対応して利益率を維持していけるかが注目です。

エアープロダクツ アンド ケミカルズ(APD)

化学業界の利益率平均が12.6%に対して、エアープロダクツアンドケミカルズは22.9%、同業のリンデ(LIN)は21.3%と産業ガスの2社は揃って20%を超えています。

利益率が高い要因として、[1] 専門性の高さ、[2] 顧客との関係が安定、[3] 顧客産業の広さと業績の安定、があげられます。詳しくは、2024年3月6日に掲載した『「安定成長」期待で「配当貴族指数」にも採用の産業ガス業界をご紹介!』をご覧ください。

(3)テクノロジー産業で利益率の高い「優良株」

エヌビディア(NVDA

半導体・同製造装置の利益率平均が27.8%に対して、同社は53.0%と突出して高くなっています。利益率が50%近くに上昇したのは2024年1月期からで、それまでは30%~40%台で推移していました。ご案内の通り、利益率が上昇したのは、データセンター向けに需要が拡大しているAI半導体の市場で、9割近いシェアを保有していることによります。

需要の急拡大を受けて、AMDが昨年より本格的に参入して、今年はある程度のシェアを確保する見通しです。また、ブロードコムは過去10年、特定顧客向けにAI計算用の半導体製造を手掛けています。エヌビディアのAI半導体と直接は競合していませんが、将来的にはわかりません。

このような参入の動きはあるものの、エヌビディアが今後も8~9割の市場シェアを維持する可能性が高いと見込まれます。これは、同社のAI半導体はAI向けの分厚いソフトウェアのポートフォリオとセットで販売されているとみられ、これが高い参入障壁として機能していると考えられるからです。

アリスタ ネットワークス(ANET)

テクノロジーハードウェア(通信機器・コンピュータ周辺機器・電子装置など)の利益率平均が14.9%に対して、アリスタネットワークスは37.5%と高くなっています。シスコシステムズやアップルなど通信機器を手掛ける会社は高い傾向がありますが、その中でも突出して高いです。

同社はデータセンター向けのネットワーク機器や関連ソフトウェアを手掛け、主な顧客はマイクロソフト、メタなどIT大手、金融、政府機関、通信などです。

2021年から800ギガスイッチへのアップグレードの波が来たことで売上が大幅に伸びたところに、2023年からは生成AIによるデータセンター投資の波が重なって業績拡大が続いています。2025年は19%、2026年は18%と高い売上の伸びが見込まれています。

インテューイティブ サージカル(ISRG)

ヘルスケア機器・用品の利益率平均は19.5%と高く、医療用機器は当局による許認可が必要で、容易に参入できないケースが多いためとみられます。その中でインチュイティブサージカルは28.7%とさらに高く、人工心臓弁のエドワーズライフサイエンス(EW)も25.5%と高いです。

インテューイティブ サージカルは、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を開発・販売しています。8,600台以上が設置されて手術件数が年間268万件となっていることを背景に、消耗品のインスツルメンツ&アクセサリーの売上構成比が61%に達していることが高い利益率となっている背景です(2023年12月期)。

数年前から手術支援ロボット市場への新規参入が活発化して動向が注目されましたが、同社の売上成長は堅調で、先行者の優位性が大きいようです。

図表3 注目「優良銘柄」の投資指標

図表3 注目「優良銘柄」の投資指標

(画像=SBI証券)

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