
(画像=SBI証券)
| この記事は2025年12月10日にSBI証券で公開された「2026年に注目期待「レアアース」関連株」を転載したものです。 掲載記事:2026年に注目期待「レアアース」関連株 |

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当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証グロース市場・スタンダード市場の中小型株を中心に、好業績が期待される銘柄や、投資家の皆様が気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
2026年に注目期待「レアアース」関連株
12/10(水)時点の東京株式市場は、年内最後の日米中銀会合を前に、身構えているような状況です。日経平均株価は5万円台で、一進一退の値動きが続いています。
中銀会合が過ぎると、間もなく2026年が到来します。今一度、未来の成長テーマを探ってみることにしました。
政府は「危機管理投資」、「成長投資」の戦略分野として、以下の17分野を選定しました。
▸AI・半導体 ▸造船 ▸量子 ▸合成生物学・バイオ ▸航空・宇宙 ▸デジタル・サイバーセキュリティ
▸コンテンツ ▸フードテック ▸資源・エネルギー安全保障・GX ▸防災・国土強靱化
▸創薬・先端医療 ▸フュージョンエネルギー(核融合) ▸マテリアル(重要鉱物・部素材)
▸港湾ロジスティクス ▸防衛産業 ▸情報通信 ▸海洋
AI・半導体や、防衛産業は、当社を含めたメディアで度々、関連株が紹介されています。
そこで、今回の新興株ウィークリーでは、上記からマテリアル(重要鉱物・部素材)、海洋、資源・エネルギー安全保障・GXにまたがる中小型の「レアアース」等の資源を中心に、関連株を取り上げます。なお、レアアースは、レアメタルの一部を指しており、こうした資源確保は国家戦略上の重要度が高く、需給動向への注目も一段と強まっています。
レアアース(希土類)とは、17元素の総称です。スマートフォンやLED、モーターなど身の回りの多くのハイテク製品に使用されています。レアアースを他の金属にわずかに添加すると、元の金属単体がとても優れた素材性能を発揮します。その性質から「産業のビタミン」「ハイテク業界のビタミン剤」などと称される存在です。
レアアースをどこでも気軽に採掘できれば理想的ですが、特定の地域でしか採取できません。レアアースの元素自体は地球上にたくさん存在しているものの、製品に使用できる高い濃度で集積する地域は限定的です。その上、採掘後の分離・精製作業にはかなり高度な技術が必要と言われています。また、元素であるため、生成にはコストの高い核変換を行う必要があり、生成はほぼ不可能とみられます。
中国は世界のレアアース鉱石生産量の約7割を占める一大生産国です(参考①、米国地質調査所『Mineral Commodity Summaries 2025』所収 “Rare Earths” 表、2024年生産データ)。
2010年の尖閣沖漁船衝突事件後、中国は対日レアアースの輸出停止を行いました。日本企業は、レアアースの輸入のほとんどを中国に頼っていたため、サプライチェーンに大きな影響が生じました。その後、中国は通常の輸出体制に戻しましたが、日本企業は調達先の多角化を進め、オーストラリアやベトナムからの輸入を増やしています。
他にも、日本国内にも目を向けると「都市鉱山」の活用にも注力しております。電子機器や家電製品に含まれている金属にはレアメタル及びレアアースが含まれることが多々あり、すでに製品内で使用されている資源を再利用する動きが拡大しています。高度経済成長期を経て、日本の「都市鉱山」の埋蔵量は世界トップレベルの規模と言われており、リサイクル対象となる国内に蓄積された金属量は世界有数の資源国に匹敵する規模であることが推計されています(独立行政法人物質・材料研究機構 『わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵』 ※2008年のリリース)。
そして、国内資源の開発が、まさにこれから本格化しようとしています。2010年代初頭、南鳥島周辺のEEZ(排他的経済水域)でレアアース泥が発見されました。東京大学及び海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋調査によると、南鳥島周辺には世界の年間需要の数百年分の潜在資源があり、さらに一部地域では陸上鉱床を超える世界最高クラスの濃度(品位)を持つとの調査結果があります。2026年から日本政府は本格的な調査に乗り出す計画で、1月には試験掘削が予定されています(各種報道ベース)。工業使用にはまだ相応の時間を要するとみられますが、成長期待が持てる分野という位置づけです。
①海外調達先の多角化 ②都市鉱山によるリサイクル ③国内資源の開発
以上3つが、日本のレアアース供給戦略の柱と考えられます。
スクリーニング条件は、以下の通りです。
・東京証券取引所に上場
・時価総額100億円以上~5,000億円以下
・各種資料・報道などから、「レアアース」等と関連性があるとみられること
・会社計画の今期利益項目にいずれも赤字予想がない
・取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除外
掲載は、時価総額が大きい順です。
【参考①】レアアース鉱石・主要国の生産割合(2024年)

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【参考②】12/2(火)~12/9(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

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【銘柄一覧】2026年に注目期待「レアアース」関連株

※会社発表データ、Quick Workstation Astra Managerデータ、各種報道等を基にSBI証券が作成
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一部掲載銘柄を詳細に解説!
■DOWAホールディングス (5714)~非鉄金属の精錬・加工・リサイクル。レアアースを“使える形”に?
★日足チャート(1年)

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★業績推移(百万円)

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■非鉄金属の精錬・加工・リサイクル
非鉄金属の精錬・加工・リサイクルを主軸とする企業。つくる、集める、分けるで一巡する独自の循環型ビジネスモデルを構築しています。精錬と高度なリサイクル技術が強みです。 *非鉄金属:鉄以外の全ての金属の総称。亜鉛、金、銅など
非鉄金属の「精錬部門」、廃棄物の取集からリサイクルまで一貫して行う「環境・リサイクル部門」、自動車分野を中心に精密・緻密な加工を施す「金属加工部門」等に展開しています。
■精製・分離技術に期待。レアアースにも応用可能?
本稿導入部分で述べたように、レアアースは「取ってから、使えるように」精錬をするには非常に高度な技術が必要になります。生産量以上に寡占状態で、一大生産国である中国が世界精錬シェアの91%を占めています(IEA『Global Critical Minerals Outlook 2025』による2024年の精錬シェア)。
日本では、レアアースを本格的に精錬できる企業は現時点でほとんど存在しません。南鳥島のレアアース泥が商業化された場合、政府が民間企業に精錬参画を要請する可能性があります。
同社は、レアアース泥の精錬に参入する旨は公式に明言していません。ただし、湿式製錬(ハイドロメタルジー)と呼ばれる金属の精錬技術を持っています。
これまでに、黒鉱由来の銅・亜鉛の精錬や、貴金属のリサイクルで湿式製錬プロセスを使ってきました。レアアース精錬も同じ“湿式冶金”の仲間に入る技術なので、技術の考え方としては近い部分があると言えます。
もちろん、レアアース特有の工程など、新しく開発しなければならない部分はあります。それでも、同社持つ技術基盤は、この分野に応用しやすい素地を持っていると考えられています。
■上期決算、業績&配当計画の上方修正を発表
26.3期上期(25.4-9月期)決算では、通期会社計画の売上高と経常利益を上方修正するなど堅調さを示しました。事業によっては減収見込みもある一方、貴金属相場や廃棄物処理単価上昇、AIデータセンター向け需要の増加などが追い風です。さらに、会社計画の年間一株当たり配当金を159円から183円に引き上げたことも好感されました。
直近半年の株価推移は、右肩上がりです。金相場の上昇から連想され、連れ高となった面もあると考えられます。
■日鉄鉱業 (1515)~日本製鉄系の総合資源会社。足元業績も堅調
★日足チャート(1年)

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★業績推移(百万円)

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■日本製鉄系の総合資源会社
国内外で石灰石や非鉄金属鉱山の探鉱、開発、操業、銅精錬などを手掛ける企業。石灰石の生産量は国内トップクラスです。
鉱石部門、金属部門、資源開発部門を擁する資源事業が、売上高構成比の90%以上を占めます(25.3期)。他には環境対策商品の販売を行う機械・環境事業や、鉱山跡地などの遊休地を有効活用した不動産事業等を展開しています。
1931年、日本製鉄(日本製鐵株式會社)の鉱山部門が独立する形で設立。現在も日本製鉄(5401)が同社株の9.7%を保有する筆頭株主です(25.9末時点)。
■鉱山オペレーター。足元業績も堅調。株価は35年来高値水準
数少ない日本発の鉱山オペレーター(掘る人・現場を管理する会社)を担う企業です。DOWA(5714)は、精錬・リサイクル側に強みを持ちます。一方、同社は、山を掘り、石灰石や金属鉱石の採掘寄り側の位置づけです。
会社側は南鳥島レアアース泥に関わるプロジェクトへの具体的な参画を公表しているわけではありません。しかし、レアアース泥の商業化が本格化した場合、同社のような鉱山オペレーター企業が携わることになると考えられます。レアアースは、同社にとって中長期的な成長期待要素の一つという位置づけです。
直近業績は堅調で、株価は1990年以来の高値水準を付けています。石灰石の販売価格上昇や、銅価格の上昇が、業績の押し上げ材料となった形です。
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