
株価の急落は、投資家なら誰もが経験するであろう試練のひとつです。突然の下落に直面すると、不安や焦りから誤った判断をしてしまうことも少なくありません。しかし、急落は必ずしも「終わり」ではなく、冷静に対応すればむしろ次のチャンスにつながる局面にもなり得ます。
本記事では、株価急落時に「やってはいけない行動」と「取るべき正しい対処法」を、過去の事例や具体的な戦略を交えながら解説します。
1.株価急落とは何か?
株式投資をしていると、突然の大幅な株価下落に驚かされることがあります。ニュースで「株価が急落」「市場が大荒れ」と報じられると、不安になってしまうのも当然です。
では、そもそも「株価急落」とは何を指すのでしょうか。また、「急落」と「暴落」とはどのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、その定義と背景を整理します。
1-1. 株価暴落との違い
「急落」と「暴落」は似た表現ですが、意味合いには明確な違いがあります。
「株価急落」とは、短期間に株価が大きく下がる現象を指します。原因としては、業績下方修正や突発的な事件、事故、天災などの悪材料が出てきたときなどに起こる、株価の急な下落のことです。
ただ、急落はあくまで一時的な調整局面に過ぎない可能性もあり、その後に短期間で反発するケースも多く見られます。
一方で、「株価暴落」とは、急落よりも深刻な下落を意味します。市場全体が大幅に値を下げ、回復までに時間を要する場合もあります。
たとえば2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックは、世界経済全体に影響を与えた「暴落」と呼ばれる代表例です。
株式市場では、株価が直近の高値から10%前後下落した状態を、テクニカル面からは「調整局面入り」を示唆し、市場において下落が続いている状態を「下落相場(ベア相場)」と呼ぶ場合があります。
このように、「急落」は市場の一時的な動揺や利益確定売りなどによる短期的な値動きであるのに対し、「暴落」は信用不安や金融危機など、構造的な問題を背景とした長期的な下落局面と考えられます。
ただし、両者の境界は必ずしも明確ではありません。投資家心理が急激に冷え込むと、短期の急落が連鎖的に暴落へと発展することもあります。
重要なのは、下落の「スピード」よりも「原因と持続性」を見極めることです。
1-2. 急落が起こる主な原因
株価急落の背景には、いくつか共通した要因があります。
(1)金利上昇や金融政策の転換
株式市場は金利動向に非常に敏感です。中央銀行(日本では日本銀行、米国ではFRB)が利上げを行うと、企業の借入コストが増加し、将来利益の割引率も高まるため、一般に株価は下がる傾向にあります。
特に「利上げペースが市場予想を上回る」といった局面では、投資家がリスク資産を手放す動きが一気に広がり、急落の引き金になることがあります。
(2)企業業績の悪化や決算ショック
個別企業の業績が市場予想を下回ると、その企業だけでなく、関連銘柄や業界全体に売りが波及することがあります。
たとえば、半導体やAI関連など、市場を牽引してきたセクターの主力企業が減益見通しを出した場合、投資家心理が冷え込み、指数全体が押し下げられます。
(3)地政学リスクや政治不安
戦争・テロ・政権交代など、予測困難な政治・国際情勢の変化などは、市場に不確実性をもたらす要因となります。
たとえば中東情勢の緊迫化や台湾有事の緊張の高まり、国内政局の不安定化などが挙げられます。こうした要因は、企業業績とは直接関係がなくても「不確実性」が高まることで、株価は売られやすくなります。
(4)為替や原油価格の急変動
急激な為替変動や原油価格の高騰も、株価急落の要因になります。
たとえば日本の輸出企業は円高になると業績が悪化しやすく、輸入企業は原油価格の高騰により原材料費が上がることで収益が圧迫されます。
市場はこれらの外部要因を敏感に織り込み、短期間に売りが集中することがあります。
(5)投資家心理の冷え込みとポジション調整
長期間の上昇相場では、「利益確定」の売りが一斉に出やすくなります。
また、AI・半導体など特定テーマの株に資金が集中していた場合、過熱感が高まると小さな悪材料でも一気に売りが広がることがあります。
これを「ポジションの巻き戻し」と呼びます。心理的要因による急落は、短期間で反発することも多いですが、パニック的な売りが続けば暴落の引き金になります。
2.株価急落時にやってはいけないこと
株式市場では、誰もが避けたい「急落」という局面に直面することがあります。そのとき、投資家が最も気をつけなければならないのは「感情に支配されないこと」です。
冷静さを失うと、理屈ではなく不安や焦りで行動してしまい、結果として損失を拡大させることになりかねません。ここでは、株価急落時に特にやってはいけない2つの行動を見ていきましょう。
2-1. 感情に任せた売買
急落局面で最も多い失敗は、「怖くなって売る」あるいは「今がチャンスだと焦って買う」といった、感情に基づく売買です。たとえば、日経平均株価が数日で1,000円以上下がるような局面では、SNSやニュースで「暴落」「リセッション懸念」といった言葉が飛び交います。
すると、「このまま持っていたらもっと損するかも」と恐怖心が先に立ち、含み損を抱えた銘柄を慌てて売却してしまうケースが少なくありません。
しかし、過去の事例では急落後に反発するケースも多く見られます。パニック売りが一巡すると、市場は冷静さを取り戻し、割安感から買いが戻ることがあります。焦って売ってしまうと、回復局面を逃す可能性が高まります。
逆に、「下がった今がチャンス」と思って焦って買い増すのも危険です。底値を正確に見極めることはプロでも困難であり、「まだ下がるとは思わなかった」とさらに含み損を増やす可能性もあります。
資金に余裕がある場合でも、一括で買うのではなく、時間を分けて少しずつ買うことが基本です。
また、急落時の心理的プレッシャーを和らげるためには、あらかじめリスク許容度を決めておくことが大切です。
たとえば、「株価が10%下がったら一度立ち止まって考える」「損失が◯万円を超えたら運用方針を見直す」「逆指値を入れておき、一定以上値下がりすれば自動的に売却する」といったルールを設けることで、冷静な判断を維持しやすくなります。
感情的な行動を抑えるには、
・運用の目的・期間を明確にする
・生活資金と投資資金を分けておく
・損益で売買を判断するのではなく、「資産配分」で判断する
といった意識づけが効果的です。
相場が不安定なときほど、感情に流されず、静観するという判断が、長期的なリターンを守る鍵になることがあります。
2-2. SNSやニュースの情報に振り回される
もう一つの典型的な失敗は、「情報に振り回されること」です。株価が急落すると、SNSやニュースサイトでは「暴落の理由」や「次に上がる銘柄」などの情報が溢れかえります。
特にSNSでは、一部の有名投資家やインフルエンサーが自分の見解を即時発信するため、「この人が言うなら売った方が(買った方が)いいのでは」と動揺してしまうこともあるでしょう。
しかし、情報の多くは感情的・短期的な反応であることを忘れてはいけません。ある人にとっての「チャンス」は、別の人にとっての「リスク」になり得ます。投資スタイルやリスク許容度が異なる以上、他人の判断をそのまま真似してもうまくいくとは限りません。
また、ニュース記事の見出しは読者の関心を引くために誇張した表現を使う傾向があります。
「日経平均株価、暴落!」と報じられても、実際には数%の下落に過ぎないこともあります。見出しやSNS投稿だけで判断するのではなく、根拠となる数字や一次情報(公式発表・経済指標など)を確認する習慣を持つことが重要です。
投資家心理を冷静に保つためには、情報源を絞るのも有効です。たとえば、日経電子版やBloomberg、ロイターなど、信頼できる金融メディアのみに目を通し、それ以外のノイズ情報は意識的に遮断します。SNSから一時的に離れることも一つの方法です。
さらに、急落時こそ「自分の投資目的に立ち返る」ことも大切です。
・どのような目的の資金を運用しているのか(老後資金、教育資金など)
・どのくらいの期間でリターンを期待しているのか
・一時的な値動きで売るべき理由が本当にあるのか
こうした問いを自分に投げかけることで、様々な情報に翻弄されず、合理的な判断を下せるようになるでしょう。
3.株価急落時にできること
株価が急落すると、多くの投資家が感じるのは「このまま下がり続けるのでは」という不安です。しかし、市場は常に上がり下がりを繰り返すもの。短期的な値動きに一喜一憂するよりも、「今できること」に目を向けることが大切です。
ここでは、急落局面で冷静に行うべき2つの行動―「ポートフォリオの見直し」と「買い増し・リバランス」について解説します。
3-1. 落ち着いてポートフォリオを見直す
株価の急落局面では、慌てて売買をする前に、まずは現状のポートフォリオ(資産構成)を確認することが大切です。
投資を続けていると、株式市場の上昇局面では株の比率が自然に高まり、逆に下落局面では低下します。そのまま放置していると、自分が想定したリスク水準と実際のポートフォリオがずれてしまうことがあります。
たとえば、本来は「株6:債券4」で運用していたつもりが、株価上昇によって「株8:債券2」に偏っていた場合、急落時のダメージは想定以上に大きくなるでしょう。
急落時は、本来の目的に合ったポートフォリオを見直す絶好のタイミングです。
・現在の株式比率は適切か
・セクター(業種)や地域に偏りがないか
・ハイテクやAIなど、テーマ株に集中しすぎていないか
これらの点検ポイントを確認し、現在のポートフォリオが自分の投資目的とリスク許容度に合っているかを見直します。
また、含み損が出ている銘柄でも、必ずしも「下がったから売るべき」とは限りません。重要なのは「下落の理由」が一時的か構造的な問題かを判断することです。
たとえば、決算内容が悪化した企業と、世界的な地政学リスクから一時的に外部要因で下がった企業では、意味合いが異なります。業績や財務基盤が健全であれば、下落はむしろ長期投資のチャンスになることもあります。
さらに、ポートフォリオ全体を俯瞰することで、「次にどう動くか」の判断がしやすくなります。
現金(キャッシュポジション)の割合を確認し、生活資金を除いた余裕資金をどの程度確保しているか、今後の買い増し余力があるか、を冷静に把握することが重要です。
急落時は「資産の点検と見直し」の機会と捉えましょう。感情的な判断ではなく、数字に基づいて自分の資産状況を見直すことが、次の行動を決める上での出発点になります。
3-2. 状況に応じた買い増し・リバランスを検討する
株価が急落したとき、「今は静観すべきか、それとも買い増すべきか」と迷う方は多いでしょう。結論からいえば、答えは「状況に応じて慎重に判断する」ことです。
まず、短期的な値動きに翻弄されているだけの急落であれば、慌てて売る必要はありません。長期的に見て企業価値や経済の基盤が変わっていない場合、一時的な下落はむしろ「割安で買えるチャンス」になることがあります。
特に積立投資をしている場合は、“安く買える”タイミングと捉えることも可能です。ドルコスト平均法の効果によって、同じ金額でも多くの口数を購入でき、長期的なリターン向上につながります。
一方、構造的な変化が起きている場合は慎重な判断が必要です。例えば、金融引き締め局面で長期的な景気後退が予測されるときや、業界全体のビジネスモデルが転換期にある場合、安易な買い増しはリスクが高くなります。
その場合は、「どの銘柄・資産クラスを減らし、その分どこに資金を振り分けるか」というリバランスを行うことが有効です。
リバランスとは、上昇した資産を一部売却し、下落した資産に振り分けることで、本来の資産配分に戻す手法です。
たとえば、株式の比率が高くなりすぎていた場合、債券や現金の割合を増やし、逆に、株価が下落して目標比率を下回っている場合は、一定割合まで買い戻すといった形です。
この方法は、「安いときに買い、高いときに売る」という投資の基本を、感情ではなく仕組みとして実行できる点でとても有効です。
また、リバランスは年1回など定期的に行う方法もありますが、急落時に臨時で実施するのも効果的です。相場が大きく動いたときほど、ポートフォリオのバランスは崩れやすいため、定期見直しを兼ねて実施するとメリットも大きいと言えます。
さらに、買い増しを検討する際は、「一括」ではなく「分割」で行うのが基本です。市場の底値を完璧に見極めることはできません。たとえば「1週間ごと」「毎月一定額ずつ」といった形で段階的に買い増すことで、リスクを平準化できます。
4.過去の急落局面から学ぶ教訓
株価の急落は、決して珍しい現象ではありません。過去を振り返ると、世界経済は何度も危機的な局面を経験し、そのたびに市場は大きく揺れ動いてきました。
しかし、興味深いことに、どの局面も「急落が永遠に続くことはなかった」という共通点があります。
ここでは代表的な2つの事例―リーマンショック(2008年)とコロナショック(2020年)を振り返り、投資家が学ぶべきポイントを整理します。
4-1. リーマンショック(2008年)
2008年9月、米投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界の金融システムは連鎖的な混乱に陥りました。これがいわゆる「リーマンショック」です。
原因は、米国の住宅バブル崩壊と、それに関連する複雑な金融商品(サブプライムローン関連証券)の損失拡大でした。金融機関への不信が一気に広がり、世界的な信用収縮が発生したことで、株式市場は暴落しました。
当時、日経平均株価は2007年の18,000円台から、翌2008年には7,000円台まで下落。
およそ1年余りで6割以上の価値が失われ、投資家の多くが大きな損失を抱えました。
リーマンショックが特徴的だったのは、「実体経済よりも金融システムそのものが揺らいだ」点です。企業業績の悪化よりも、金融市場の信頼が失われたことで、世界同時不況が引き起こされました。
しかしその後、各国の中央銀行が一斉に大規模な金融緩和を実施し、企業の資金繰り支援や景気対策を行った結果、徐々に市場は安定を取り戻します。S&P500は2009年3月を底に上昇へ転じ、約10年近く続く「史上最長の強気相場」が始まりました。
この局面から得られる教訓は、「市場の恐怖が最も高まった時こそ、長期的な視点で見ると買い場となる可能性がある」ということです。
混乱期には「もう株式市場は終わった」といった悲観的な声があふれますが、そこがまさに転換点となることがあります。リーマンショック後も、冷静に積立や分散投資を続けた投資家は、その後10年で大きなリターンを得ることができました。
4-2. コロナショック(2020年)
2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済が同時に急停止しました。企業活動は制限され、世界中で外出禁止・生産停止が相次ぐ中、投資家心理は急速に冷え込み、株価は歴史的なスピードで下落しました。
日経平均株価はおよそ2か月の期間で2万4,000円台から1万6,000円台へ急落。S&P500も、史上最速のスピードで30%以上下落しました。この「コロナショック」は、経済の基盤が崩れたというよりも、「先の見えない不安」が主因の急落でした。
しかしその後、各国政府と中央銀行が前例のない規模の金融・財政政策を実施。ゼロ金利政策、量的緩和、現金給付などによって市場は急速に回復しました。
驚くべきことに、S&P500は2020年8月にはすでにコロナ前の水準を回復し、翌2021年には史上最高値を更新。日経平均株価も2021年2月に3万円台を突破し、V字回復を遂げました。
この経験が示したのは、「市場は想像以上に早く未来を織り込む」ということです。多くの投資家が「経済はまだ厳しいから株は買えない」と考えていた時期に、市場はすでに次の回復を見越して上昇を始めていました。
短期的な悪材料に囚われず、長期的な視点で積立投資や分散投資を継続していた投資家は、この上昇の恩恵を受けています。
また、コロナショックではテレワーク・デジタル化、AI化・半導体需要などの「新しい産業構造」が急速に浮上しました。危機の中で社会の仕組みが変化し、投資の主役が入れ替わることを体感した投資家も多かったでしょう。
つまり、急落は“リスク”であると同時に、“変化への入り口”でもあるということです。
4-3. その他の急落局面から学べること
リーマンショックやコロナショック以外にも、市場にはさまざまな急落局面がありました。
例えば、1990年代のバブル崩壊、2011年の東日本大震災、2018年の米中貿易摩擦など。いずれも市場心理が一時的に冷え込み、株価が急落しましたが、長期的にはいずれも回復を果たしています。
これらの共通点から導き出せる教訓は、次の3点です。
(1)「急落は必ず起こるもの」と受け入れる
市場は常に上下を繰り返します。どんなに堅調に見える相場でも、年に数回は調整局面があります。「想定外」ではなく「想定内」と考えておくことで、感情的な判断を防ぐことができます。
(2)「長期・積立・分散」が最大の防御策
一括投資よりも、時間を分散して定期的に積み立てることで、下落局面でも平均取得単価を下げることができます。また、国内外の株式や債券などに分散することで、特定市場の急落リスクを和らげることができます。
(3)「キャッシュ(現金)」を戦略的に持つ
急落時に買い増しができるよう、生活資金とは別に投資余力を確保しておくことが大切です。現金は「攻めの余地」を生み出す資産でもあります。
これらを実践していた投資家は、過去の急落でも致命的な損失を避け、むしろ回復局面で資産を増やすことができました。
5.将来の急落に備えるためにできること
株価の急落は、いつ、どのような形で訪れるかを正確に予測することはできません。金融政策の転換、地政学リスク、世界的な感染症など、引き金はさまざまです。
しかし「いずれ起こるもの」という前提で備えておけば、いざという時にも慌てずに対応できます。
市場の波を完全に避けることはできませんが、荒波に耐え、時にはその波をチャンスに変える可能性はあります。ここでは、将来の急落に備えるために投資家が実践すべき3つの基本戦略を紹介します。
5-1. 分散投資と長期目線
急落への最大の備えは、「分散」と「長期」という2つの原則を守ることです。
まず、分散投資とは「卵を一つのカゴに盛らない」こと。特定の銘柄や業種に集中すると、そこに悪材料が出たときに資産全体が大きく値下がりするリスクがあります。
たとえば、AI・半導体・自動車といった人気テーマに偏ると、業界固有のニュースに影響されやすくなります。
分散の例としては、
・国内株と外国株
・株式、債券、リート(不動産投資信託)、金(ゴールド)など異なる資産クラス
・米国、欧州、新興国など地域の分散
といった形で、値動きの異なる資産を組み合わせることが重要です。特に日本株だけに偏っているポートフォリオの場合、為替変動や国内景気に左右されやすくなります。
世界的な視野で分散することで、一方の市場が下落しても他方が支える「クッション効果」を得ることができます。
また、もう一つの柱が長期目線の維持です。短期の値動きに振り回されると、「急落したから売る」「上がったから買う」といった逆効果の行動を取りがちです。しかし、長期的に見れば、株式市場は企業の利益成長とともに右肩上がりで推移してきました。
特にリーマンショックやコロナショックのような歴史的急落の後でも、数年後には市場は回復・上昇している例が多く見られます。
この背景には、世界経済の拡大と企業の利益成長があります。短期の動揺を恐れるよりも、「10年後に成長しているであろう産業はどこか」に着目して投資を続けることが、結果的にリスクを軽減する最善の方法といえるでしょう。
長期目線を持つと、急落は「一時的なノイズ」に見えるようになります。焦らず、時間を味方につけること。それこそが、急落に最も強い投資スタイルです。
5-2. キャッシュポジションの重要性
どれほど分散していても、急落時にすべての資産が同時に下がることがあります。そんな時に頼りになるのが「キャッシュポジション(現金保有)」です。
キャッシュは「守り」の資産であると同時に、急落時に買い増しができる「攻め」の武器にもなります。市場が混乱しているときは、優良企業の株価も一時的に割安になることがあります。
キャッシュポジションを確保しておくことで、そうした場面の際に買い増しが可能となります。
つまり、急落時に行動できる“余力”を残しておくことが、結果的にリターンの最大化につながるのです。
一方で、現金を持ちすぎると、インフレによる実質的な価値の目減りが起きるため、バランスが大切です。
また、キャッシュを確保する方法として、日常的な積立の一部を現金ポジションに回すのも有効です。たとえば、「株式7:債券2:現金1」など、自分のライフステージやリスク許容度に応じて割合を設定しておきましょう。
ポイントは、急落が起きてから現金を作ろうとしないこと。含み損が出ているタイミングで資産を売却してキャッシュ化するのは、精神的負担が大きく、損失を確定させてしまいます。
「平時に備える」ことが、非常時に動ける最大の武器になるのです。
5-3. 売買ルールを事前に決める
株価が急落したとき、投資家を混乱させる最大の要因は「どう行動すべきか分からない」ことです。その場の感情で判断しないためにも、平時に売買ルールを明確にしておくことが重要です。
たとえば、次のような基準を設けておくと、冷静な判断がしやすくなります。
・株価が◯%下落したら「再検討」する
・含み損が◯万円を超えたら「損切り」する
・含み益が◯%になったら「半分売却して利益確定」する
・評価額が目標資産の比率から◯%以上ずれたら「リバランス」する
このようにルールを「数値」で定めておくことで、感情に左右されることなく投資判断ができるようになります。
また、ルールは一度作って終わりではありません。年1回など定期的に見直し、自分の収入・家計・投資経験の変化に合わせて柔軟に調整することが大切です。
加えて、売買ルールを支えるのが「投資目的の明確化」です。
・何のために投資しているのか(老後資金、教育資金、FIREなど)
・どのくらいの期間で資産を増やしたいのか
・どの程度のリスクを受け入れられるのか
これらを明文化しておくと、相場の急変時でも判断がぶれにくくなります。
たとえば、「老後まで20年以上運用する」と決めていれば、短期の急落に過剰反応する必要はありません。一方、「3年以内に使う予定の資金」なら、そもそも株式の比率を減らしておくのが合理的です。
つまり、ルールとは“自分を守るための仕組み”なのです。
6.まとめ
株価の急落は、投資の世界では避けられない現象です。
重要なのは「恐れず、慌てず、備える」こと。感情的な売買やSNS情報に流されるのではなく、冷静にポートフォリオを見直し、長期的な視点で判断することが成功の鍵です。
リーマンショックやコロナショックの通り、長期で見れば市場は回復します。
分散投資・キャッシュポジション・売買ルールという3つの軸を整えておけば、次の急落が訪れても落ち着いて対応できるでしょう。急落は恐れるものではなく、備えるものです。
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