
- 国内外のM&A市場規模について知りたい
- 2025年上半期、日本がアジアM&Aを牽引した理由を知りたい
- M&Aの具体的な事例を知りたい
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。本記事ではM&Aのプロが、国内外の市場規模と日本の動向について解説します。
この記事を読むことで、M&A市場の全体像を把握でき、御社のM&A戦略に役立つでしょう。
目次
1. 史上最大規模へ急加速!2,320億ドルの突破力
1-1. 前年同期比で3倍超の成長インパクト
1-2. 世界2.14兆ドル市場における日本のポジション
2. なぜ今?低金利×ガバナンス改革が巻き起こす“再編の嵐”
2-1. 超低金利が後押しするM&A戦略
2-2. 東証改革と投資家圧力が再編を加速
3. 巨象たちの再編ショー:巨額バイアウト・巨額資金の舞台裏
3-1. トヨタ・NTTのTake-Private事例
3-2. ソフトバンクの大型出資がもたらす市場変動
4. 海外進出&食ビッグチャンス!日本発“味のM&A革命”
4-1. 三菱商事のノルウェー鮭買収の狙い
4-2. 食品メーカー各社のグローバル展開事例
5. 成功と挫折から学ぶ、M&Aリアルストーリー
5-1. 成功事例:三菱商事の着実な戦略実行
5-2. 失敗事例:Seven & i買収提案が破談した背景
6. まとめ
1. 史上最大規模へ急加速!2,320億ドルの突破力
M&A市場の昨今の動向について、以下に沿って解説します。
・前年同期比で3倍超の成長インパクト
・世界2.14兆ドル市場における日本のポジション
1-1. 前年同期比で3倍超の成長インパクト
2025年上半期、日本発のM&Aは2,320億ドルに達し、前年同期比で3倍超という伸びを記録し、アジアの反騰を牽引したといえます。
具体的には、上場子会社の整理や親子上場の解消、アウトバウンド案件の増加、そしてPEファンドによる大型の非公開化が重なりました。銀行借入・社債の資金調達環境が相対的に良好で、意思決定が加速した点も追い風となりました。
背景として、(1)国内の低金利環境がレバレッジの効く案件を後押しし、(2)ガバナンス改革と投資家の圧力が「資本効率の悪い構造」を是正させ、(3)グローバルではメガディール回帰で「規模の論理」が働いた点が挙げられます。
加えて、日本は景気・地政学の不確実性に比較的耐性があり、取引継続性が保たれたことも後押ししました。
具体的な事例として、
・トヨタグループによるトヨタ自動織機の非公開化(約330億ドル規模)
・NTTによるNTTデータの完全子会社化(約164億ドル)
が象徴的です。
いずれも親子上場の解消と事業再編の同時達成を狙うケースが考えられます。両案件はいずれも2025年上半期の“値幅”を押し上げ、下半期以降の案件パイプラインへの期待感を高め象徴的なディールとなりました。
1-2. 世界2.14兆ドル市場における日本のポジション
2025年上半期、世界のM&Aは約2.14兆ドルに達し、前年から持ち直しました。アジア市場は約6,540億ドルと倍増し、そのうち日本が占める金額は2,320億ドル(おおよそ4割)となります。
つまり、日本は件数ベースではなく金額ベースでアジアの主役に回帰したのです。大型化の波に乗り、案件の「一発の大きさ」で存在感を示したといえます。
要因としては、北米中心のメガディール回復が世界の“天井”を支え、アジアでは日本が“梁”の役割を果たした点が挙げられます。国内では低金利と改革ドライブ、国外では成長市場への展開ニーズが同時進行しました。
これらは、ディール規模の拡大や手数料・意思決定のプロセスを洗練させたケースが想定されます。投資銀行側のリスク選好も戻り、グローバル・スポンサーや事業会社の協調で一気にクロージングまで持ち込む動きが増えました。こうした地合いは下期にも続く可能性が高いでしょう。
2. なぜ今?低金利×ガバナンス改革が巻き起こす“再編の嵐”
M&A再編について、以下に沿って解説します。
・超低金利が後押しするM&A戦略
・東証改革と投資家圧力が再編を加速