
プレビルド投資とは、pre(前に) + build(建てる)という名前の通り、物件が完成する前に購入し、物件完成までに転売する、もしくは完成後に売却、賃貸運用する投資方法のことを指します。
特に発展途上国などではデベロッパーとしても完成前に販売をすることで、資金を得られることもあり、投資家としては割安で購入することができるということもあり、デベロッパーとしても投資家としてもメリットのある投資と言えるでしょう。
このプレビルド投資は現在、日本国内物件では禁止されておりますが、海外での物件では可能であるため、近年日本の富裕層を中心に注目され始めています。
そんなプレビルド投資のメリット・デメリットを今回は書いていきたいと思います。
1.プレビルド投資のメリット
- 割安で不動産を購入できる
- 高い売却益を狙える
1-1.割安で不動産を購入できる
プレビルド投資の大きなメリットの一つとして「安い金額で不動産を購入できること」が挙げられます。不動産購入といえば、何千万円もの買い物であり、慎重にならざるを得ません。
しかし、プレビルド投資においては、一度に何千万円も支払う必要はなく、基本的には「ダウンペイメント」と呼ばれる方式で、全額を一気に支払うのではなく、全額の一部を先に支払う方式で、残りの金額は分割で支払われ、最終的に物件完成時に全額支払う方式です。
これによりリスク分散ができることと、完成前でデベロッパーも資金が欲しいためプレビルド案件に関してはマーケットの相場より安く販売することがあります。ここに大きなメリットが発生します。
さらにダウンペイメント方式により、大きな金額は最初に必要としないため、個人でも手軽に参入できるという点も魅力的です。
1-2.高い売却益を狙える
株式や不動産を売却することで得られる利益をキャピタルゲインと言いますが、プレビルド投資はキャピタルゲインが大きくなりやすい投資です。
その理由は2つあります。
① 割安で購入しているため、価格の上昇幅が見込める
② ダウンペイメントにより、少ない投資額でレバレッジが効きやすい
特に今後の経済発展が見込めるエリアであれば、割安で不動産を購入できればその後の発展度合いによって大きく成長する可能性があります。
それよりも日本の投資家が熱視線を送っているのは②の理由だと言われています。仮に3,000万円でコンドミニアムを購入したケースで説明します。
購入時に必要な頭金は物件によっても違いがありますが、大体20%-30%です。ここでは30%の頭金、つまり900万円を支払ったとします。そして、タイの不動産マーケットにおいてはこれも物件によって違いがありますが、大体平均して毎年5%-10%の価格上昇が見込まれています。
つまり、3,000万円で購入したものが翌年には5%上昇したとすると、3,150万円になっているという計算です。そして、このタイミングで売却をしたら、900万円の投資で150万円の利益が得られるという話です。
同様に2年後であれば、さらに5%の上昇が見込めるのであれば、物件価格は3,307万円であり、仮にダウンペイメントとして追加で100万円を支払っていたとしても、1,000万円の投資に対して307万円の利益が得られるという話です。
図1をご覧ください。要は「支払い金額以上の値上がりが発生すれば利回りが非常に良い投資」であるということがわかるかと思います。
図1

この図を見ると非常に期待度の高い投資で、人気が出るのもわかります。
2.プレビルド投資のデメリット
では、一方でプレビルド投資のデメリットはなんでしょうか?デメリットをきちんと知ることでリスク回避することができます。
ここでも2つのデメリットを挙げます。
- 物件の未完成リスク
- 売却益・賃貸需要が見込めないリスク
2-1.物件の未完成リスク
日本ではほとんど発生しませんが、発展途上国では物件が完成せずに終わってしまうケースがあります。タイでも近年未完成リスクは減ってきていますが、ゼロではありません。
また物件が完成しないだけの場合、購入時の契約内容によっては返金してもらえる可能性もありますが、デベロッパーが倒産した場合は全て失うことになりますので注意が必要です。
特にデベロッパーが未上場企業で、小さい会社の場合、物件が完成したとしても建設計画から大幅に遅れたり、クオリティが建設計画から大きく下がったりすることもあるので注意してください。
2-2.売却益・賃貸需要が見込めないリスク
プレビルド投資は物件完成前に割安で購入し、建設中もしくは物件完成後の価格が上昇した時点で売却する投資手法ですが、物件価格が思うように上がらない場合があります。
これは、マーケット状況にもよりますし、すぐ近くでより良い物件が販売されたり、その物件の質が予想より低くなってしまったり、デベロッパーの値付けが違っていたり、と原因は様々ですが、いずれにせよ、短期決戦で売却益を狙うというのはリスクも当然ながらあります。
上述した通り、毎年5%ずつ物件価格が上がっていけば理想的な投資になりますが、そんなに簡単に上がるものでもありません。またその上昇した価格で売れるとは限りません。不動産ですから、「買ってくれる人」がいないと売却できませんので、これも大きなリスク要因となっています。
また、プレビルド投資は建設前ですから、その周辺エリアが将来どうなるか?というのが読みにくいケースがあります。いくら高品質な物件を購入できたとしても、そもそもその物件があるエリアに売買需要や賃貸需要が無い可能性があります。これは現地に行って実際に見てみることをお勧めします。
この通り、プレビルド投資に関しては、メリットもデメリットもあります。最後にプレビルド投資で失敗しないための方法をお伝えします。
- 現地に行き、エリア、周辺環境を徹底的に調べる
- 賃貸運用ができるかを徹底的に調べておく
- 信用できる不動産仲介・管理会社を見つけておく
- 上場しているデベロッパーの物件を購入する
物件やそのエリア、周辺環境についてよく調べることは大前提として、賃貸運用ができるかどうか?は非常に重要です。キャピタルゲインが得られそうにない、ということであれば「時間」を味方につけて賃貸で運用する必要があります。その賃貸マーケットを調べておくのは非常に大切です。
賃貸マーケットが必要ということであれば、同時に信用できる不動産会社を選定しておくことが重要になってきます。特にプレビルド投資をするにあたって最も重要になるのが「信用できる不動産会社を選ぶこと」です。
プレビルド投資において、信用できる不動産仲介・管理会社で知っておきたいことは、「過去のプレビルド投資で成功例が多数ある会社」です。つまり経験と実績のある会社を選ぶようにしてください。
その上で、上場しているデベロッパーの物件を購入することで、未完成リスクを避けることができます。もちろん上場していても未完成リスクは残りますが、限りなく低くなると思います。
これらのメリット・デメリット、そしてリスク回避をした上で、プレビルド投資に挑戦してみてください。