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タイの不動産を買った人のリアル|成功&失敗談から学ぶ

今回は実際にタイの不動産を購入された方の成功&失敗談から、タイ不動産のリアルな実情を書いていきます。特にこれからタイの不動産を購入してみたい、と思う方はぜひ読んでください。

1.何を持って成功とするか?

不動産投資において「成功」や「失敗」という定義は、「購入した物件が購入した金額以上に売却ができて利益を得る、もしくは損失を出すこと」だと考えます。

至極シンプルなことですが、不動産の場合は「売却」をしない限り利益確定・損失確定となりません。そこだけは注意をしてください。

今回の成功&失敗事例の中では、売却まで至っていない事例もありますが、現実を知る上で参考になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

1-1.成功例:その1

A氏(50代男性)

<購入時>
2014年:バンコク中心部のコンドミニアム購入(プレビルド)
購入金額:約2,000万円(1bedroom)
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=3.2JPY
<賃貸時>
2016年竣工
2016年〜2022年まで賃貸:月額約8万円
<売却時>
2023年:約2,600万円で売却
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=3.9JPY

Aさんはプレビルドと呼ばれる「竣工前」時点での販売でバンコク中心部の1bedroomを購入されました。

プレビルドで購入するということは、当該物件を最安値で購入することがメリットとしてあります。多くのデベロッパーはプレビルド時の価格が1番安く、物件が完成するにつれて徐々に価格を上げていくことが多いです。

Aさんが購入されたのは2014年で、コンドミニアムが完成したのは2016年です。購入時の価格は約2,000万円。当時の価格としては少し高いと思われていましたが、駅からも近く大手デベロッパーの物件であったことが決め手となり契約をされました。

そして竣工してからすぐに賃貸がつき、月額8万円前後の賃料が入るようになりました。Aさんは現地の日系不動産会社に賃貸仲介・管理を全て丸投げしていたため、管理費用や細々した経費などを差し引けば、実質の手取りとしては月額7万円程度でした。

また多くの不動産オーナーは人気の物件であれば、毎年賃料を上げていく人もいますが、Aさんは「少し値段を上げるよりも長く住んでほしい」という想いもあったため、家賃はずっと固定し、結果的に同じ方が6年間住んだそうです。

そして、この入居人の方が退去したタイミングで円安もあり、売却活動をした結果、約2,600万円で売却することができました。

レートや細かい数字の問題はありますが、概算で計算すると以下のような結果となりました。

■Aさんの収支結果(2014年〜2023年)
概算費用 物件価格 ¥20,000,000
購入時の税金+手数料等(約6%) ¥1,200,000
家具・家電費用 ¥1,000,000
管理費用(7年間) ¥700,000
売却時の税金+手数料(約6%) ¥1,200,000
概算費用の合計 ¥24,100,000
概算収入 賃料(6年間) ¥5,000,000
売却価格 ¥26,000,000
概算収入の合計 ¥31,000,000
収入-費用 ¥6,900,000

Aさんが上記のような結果を得られたのは、投資されたタイミングも購入された物件も非常に良かったというのが大きな要因です。

そして、これは結果論かもしれませんが、Aさんは「家賃の値上げはしない」という考えでした。経済合理性を考えると非常にもったいない話ですが、その代わり入居者の心は掴んだわけです。

コロナ禍の時に多くの入居者は退去せざるを得ない状況に追い込まれましたが、Aさんの物件を借りていた方はそのまま住み続け、6年もの間、Aさんに家賃を支払ってくれたのです。

1-2.成功例:その2

B氏(60代男性)

<購入時>
2017年:バンコク中心部のコンドミニアム購入(プレビルド)
購入金額:約5,000万円(2bedroom)
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=3.3JPY
<2025年現在の価値>
約5,500万円〜約6,000万円前後
*税金・手数料等は省く。
*現在のタイバーツレート:1THB=4.4JPY

Bさんはセカンドハウスとして、バンコクにコンドミニアムを購入されました。

そのため賃貸に出すという発想はなく、定期的にバンコクに来た時にホテル代を払うくらいなら、自分好みの部屋にして自由に家族や友人を招きたいという思いで購入されました。

この場合、厳密には「成功」とは正直言えませんが、Bさんは「バンコクにコンドミニアムを購入してよかった」と言われています。金銭的な成功というよりも、バンコクにセカンドハウスを保有したことにより、現地で多くの方と知り合い、家族や友人が喜んでくれている姿を見ることがBさんにとっての成功なのかもしれません。

また物件がいくらで売れるかは分かりませんが、少なくとも現段階でもし売却したとしても「為替レート」だけで利益は確保できると思います。それも購入タイミングが良かったという話だと思います。

為替に関しては自分でコントロールできないので、あまり考えても仕方ありません。ただAさん、Bさんお二人に共通しているのは、「都心の駅近物件であり、大手上場企業が作っているブランド物件」ということです。

短期的に見ると「高い」かもしれません。しかし、5年や10年という長期で見た時に価値があるのは、やはり中心部のブランド物件です。この鉄則は日本でも同じことが起きているのでご理解していただきやすいかもしれません。

それでは失敗例を見ていきましょう。
成功例が中心部のブランド物件であれば、失敗例はその反対の物件ということです。

1-3.失敗例:その1

C氏(30代男性)

<購入時>
2015年:パタヤ郊外のコンドミニアム購入(プレビルド)
購入金額:約1,200万円(1bedroom)
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=3.5JPY
<賃貸時:家賃保証>
2017年竣工
2017年〜2019年まで:月額約6万円
*2020年に管理会社が倒産
<売却時>
2024年:約200万円で売却
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=4.0JPY

CさんもAさん同様、2015年にプレビルドで購入されたそうです。その時の謳い文句が「5年間7%の家賃保証」で、金額も日本円で約1,200万円程度ということで、現地の物件も見ずに気軽に購入を決めたそうです。

そして2017年に竣工し、家賃保証だったため定期的に3ヶ月に1回、口座にお金が振り込まれていたそうです。この時までは「良い投資をした」とCさんも思っていたそうです。

しかし2019年になって事態が急変します。いつも3ヶ月周期で振り込まれていた家賃が急に滞りました。私もCさんから相談を受け、メール、電話などでとにかく確認をすること、どうしようもない場合は弁護士と相談をして、日本にある会社に内容証明を送ってくださいと話をしました。

しかし結果的にお金が払われることはなく、このコンドミニアムを販売&管理をしていた会社は倒産しました。この後、私はCさんを含め被害に遭われた方と一緒に物件の整理を行い、売却活動を行いました。

そして、コロナもあって物件は完全放置状態になってしまい、5年後にようやく現地のタイ人が購入してくれることになり売却することができました。

本来であれば永遠に放置されてしまうような物件でしたが、なんとか売却することができてCさんは大きな勉強代を支払った結果となりました。

■Cさんの収支結果(2015年〜2024年)
概算費用 物件価格 ¥12,000,000
購入時の税金+手数料等(約6%) ¥700,000
管理費用(7年間) ¥500,000
売却時の税金+手数料(約6%) ¥1,000,000
概算費用の合計 ¥14,200,000
概算収入 賃料(2年間) ¥1,400,000
売却価格 ¥2,000,000
概算収入の合計 ¥3,400,000
収入-費用 ¥-10,800,000

金額的には約1,000万円の損失ですが、それ以上に時間的・精神的・体力的に削られてしまった10年間だったとCさんは言われていました。

私もお手伝いをさせていただきましたが、本当に長い戦いでした。ただ、まだ他にも同じような方がいらっしゃいます。このような物件を買ってしまうと後々本当に苦労してしまうという事例です。

1-4.失敗例:その2

D氏(50代男性)

<購入時>
2013年:バンコク郊外のコンドミニアム購入(プレビルド)
購入金額:約600万円(1bedroom)
*税金・手数料等は省く。
*当時のタイバーツレート:1THB=3.1JPY
<賃貸時>
2015年竣工以降、賃貸は付かず。
<2025年現在>
放置状態

Dさんは2013年当時、バンコク中心地が少しずつ高くなっている状況から、「今後は郊外物件に妙味があるのではないか?」ということで、郊外で開発をしている物件を購入されました。

価格を見ていただいても分かる通り、600万円程度ですから非常に安く仕入れることができています。しかし、ここで大きな誤算が生まれます。確かに2025年現在、バンコクは郊外にもコンドミニアムや戸建てができて、街が大きくなっています。そして、インフラも徐々に整備されて電車も延伸し、郊外の価値も高くなってきています。

ただ、Dさんが購入された物件はインフラ整備が遅れたエリアでした。バンコクから車で30分程度、現在は電車も延伸して少しだけ便利にはなりましたが、それでもローカルエリアです。

ここでDさんの1番の失敗は「日本語、もしくは英語を話してくれる不動産エージェントが存在しないエリアで物件を購入した」ということです。Dさんの物件を私も見ましたが、決して悪い物件ではありません。

単純に「誰がDさんの物件を管理して、誰がDさんの部屋の賃貸をつけてくれるのか?」が見えない物件でして、Dさんも竣工当時は色々と動いたそうですが、当時は周辺にも多くの物件が竣工を迎えたそうで、Dさんの物件に動いてくれるエージェントはいなかったそうで、そのまま現在まで放置してしまったということです。

現在、Dさんは「売却」前提で動いており、日系不動産会社に依頼をしているそうです。おそらく300万円前後では売却できると思いますので、そこまで大きな損失にはならないかもしれませんが、これからバンコクの不動産を購入される方は気をつけていただきたい部分です。

今回は少し長くなりましたが、それぞれの事例を見ていただき、ご自身にあったタイの不動産投資をしていただければ幸いです。

心友不動産

タイ・バンコクを拠点に、日本人向けの不動産購入・管理・売却支援を行う不動産会社。
日系大手デベロッパーとの提携を活かし、現地の優良物件を特別条件で紹介するほか、移住支援やビザ取得、賃貸運用などをワンストップでサポート。専門コンサルタントによる丁寧なヒアリングと透明性の高い対応に定評があり、日本とタイをつなぐ“不動産の架け橋”として信頼を集めている。

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