
(画像=SBI証券)
| この記事は2025年12月1日にSBI証券で公開された「1分でチェック!今週の米国株式 」を転載したものです。 掲載記事(最新版):1分でチェック!今週の米国株式 |
今週はADP雇用統計やチャレンジャー人員削減数のほか、PCE価格指数がポイント
先週の振り返り
- 先週の米国株は利下げ観測の高まりを材料視して堅調な動きとなりました。新型AIモデル「ジェミニ3」への好評価を背景にアルファベット A(GOOGL)がマーケット上昇を牽引したほか、ブロードコム(AVGO)などのAI関連株が切り返す展開でした。12月FOMCにおける利下げ観測は8割強と利下げ観測が再燃しています。VIX指数が16.35と20を下回るほか、これまで下げが目立っていたビットコインも9万ドルを回復して、リスクセンチメントが改善しています。週間ベースではNYダウとS&P500指数が反発、ナスダックが4週ぶり反発でした。月間ベースではNYダウとS&P500指数が7カ月続伸、ナスダックは8カ月ぶり反落となり、セクターローテーションの動きが目立ちました。S&P500セクター別(11業種)パフォーマンスはコミュニケーション・サービスや一般消費財・サービス、情報技術などが上げました。個別株では、アルファベット A(GOOGL)やウォルマート インク(WMT)、ブロードコム(AVGO)などが史上最高値圏で推移しています。このほか、ラスベガス サンズ(LVS)やメドトロニック(MDT)などが52週高値圏です。S&P500指数採用銘柄で200日移動平均を超える比率は60%へ改善しています。年初来のファクターリターンではEPS修正や時価総額、流動性などのファクターがアウトパフォームしています。
- 個別株ではテスラ(TSLA)はイーロン・マスクCEOがAIチップA15が最終段階にあり、A16も開発開始と明らかにしたことで、大幅高となりました。デル テクノロジーズ C(DELL)はAIサーバー出荷見通しの引き上げを好感して、大幅高となりました。アバークロンビー アンド フィッチ A(ANF)はホリスターの既存店売上高が伸びたことなどで売上高とEPSが市場予想を上回り、急騰しました。一方、エヌビディア(NVDA)はメタ プラットフォームズ A(META)がアルファベット A(GOOGL)の新型チップを採用するとの観測から競争激化懸念を背景に、まちまちな展開でした。今週はマーベルテクノロジーグループ(MRVL)やセールスフォース(CRM)、クラウド ストライク ホールディングス A(CRWD)などが決算発表を予定しています。S&P500指数採用銘柄のうち485社が決算発表済みで、EPSが市場予想を上回るポジティブサプライズ比率は約82%とヒストリカルで見ても堅調です。
今週の見通しと注目セクター・テーマ
- 今週はADP雇用統計やチャレンジャー人員削減数のほか、PCE価格指数がポイントです。雇用統計が12月FOMC前までに発表されないことを考慮すると、金融政策決定の観点ではADP雇用統計やチャレンジャー人員削減数、PCE価格指数は重要度が高そうです。雇用が軟化する中、インフレが市場予想の範囲内に収まれば、利下げ観測をサポートすると考えられますが、一方でインフレが上振れると利下げ観測にブレーキがかかるリスクもあります。今週も引き続きマーケットの利下げ観測が焦点になりそうです。なお、個別企業ではマーベルテクノロジーグループ(MRVL)の決算発表が注目されそうです。特にデータセンター向けが好調を示せるかどうかがポイントで、AI関連株に影響を与える可能性があります。
注目セクター・テーマとしては下記を考えています。
- インドとブラジル関連:国際分散投資の観点から米国株との相関が低いマーケットやバリュエーション面で割安感の見られるマーケットは投資家の注目を集めやすいと考えられます。例えば米国株との相関が相対的に低いインドのSENSEX指数は史上最高値圏で推移しており、堅調な推移が見られます。また、ブラジルのボベスパ指数は12カ月先予想PERが約9倍と割安感があると考えられます。ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)、ICICI 銀行 ADR(IBN)、HDFC銀行 ADR(HDB)、iシェアーズ MSCI ブラジル ETF(EWZ)
- ヘルスケア関連:これまでのセクターローテーションの流れを受けて、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)やイーライ リリィ(LLY)、ギリアド サイエンシズ(GILD)などのヘルスケア関連株が強含みの動きを示しています。特にイーライ リリィ(LLY)は時価総額が1兆ドルを超え、株式市場での評価が高まりつつあります。代表的な関連ETFへの資金フロー改善もサポート材料として期待されることから、引き続き投資家の関心を集めそうです。ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、イーライ リリィ(LLY)、ギリアド サイエンシズ(GILD)、ヘルスケアセレクトセクターSPDRファンド(XLV)
- 金関連:NY金先物価格は一時4,000ドルを下回る軟調な動きが見られましたが、利下げ観測などを背景に再び4,200ドル台を回復しています。月次ベースでは4カ月上昇で金への資金流入を示唆しており、引き続き投資家の注目を集めやすいと考えられます。SPDR ゴールド シェア(GLD)、SPDRゴールド ミニシェアーズ トラスト(GLDM)、バリック マイニング(B)、ニューモント(NEM)
重要イベント・主な経済指標

※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
(画像=SBI証券)
| 著者プロフィール 齊木 良 (さいき りょう) シニア・マーケットアナリスト(米国株担当) (日本証券アナリスト協会 認定アナリスト) 名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から独自の視点で米国株を分析する。初心者向けやETFなど幅広いコンテンツも作成している。各種メディアでマーケットや個別銘柄に関するコメントも行う。毎週3Km泳ぐことをルーティンとしているほか、プロ野球やバレーボール等のスポーツ観戦のため野球場やドーム、アリーナによく通っている。 |
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