
気づいたら資産が増えているが、自分がどの層に入るのか分からない
給与だけでどうして富裕層になれるのか仕組みが知りたい
資産が増えたものの、これからどう守り・増やすべきか迷っている
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
資産運用のプロが、“いつの間にか富裕層”と呼ばれる現象の実態と背景をわかりやすく解説します。
本記事を読むと、給与所得者が資産1億円を突破する仕組みや、富裕層としての新しいマネー戦略を理解でき、今後の資産形成やライフプラン設計に役立つでしょう。
1.「いつの間にか富裕層」現象とは?
「いつの間にか富裕層」現象について、以下で解説します。
1-1. 富裕層・準富裕層の定義(金融資産1億円・5,000万円以上)
日本では、純金融資産1億円以上が「富裕層」、5,000万円以上1億円未満が「準富裕層」と整理されるのが一般的です。
野村総合研究所(NRI)の定義によると、世帯の純金融資産額を5階層に分類しており、富裕層を1億円〜5億円、超富裕層を5億円以上という区分にしています。
この推計によると、2023年時点の富裕層+超富裕層の合計は165.3万世帯に達し、富裕層以上の階層の厚みが増していることが示されています。
このように定義が明確なため、自身がどの階層に該当しているのかを客観的に把握しやすく、将来の到達目標も設定しやすくなります。
例えば、投資信託や株式、預貯金を組み合わせて純金融資産を積み上げ、負債を差し引いたうえで1億円に到達するというケースが考えられます。
NRIの区分は負債控除後の「純金融資産」を基準にしているため、住宅ローンなどの影響も加味したうえでの到達可否を判断できます。
家計は自分の資産構成(現金・投信・株式・保険など)を棚卸して、どの資産が増減に寄与しているかを点検しやすくなります。
統計区分を活用することで、準富裕層から富裕層への移行がどの程度現実的なのか、時系列での進捗や相場環境の影響も比較しつつ、整理することができるのです。
1-2. 給与所得者が資産家に加わる新しい動き
最近は、事業所得者や相続、事業承継に起因した資産家だけでなく、給与所得者が制度と市場の追い風を活用して資産を積み上げる動きが目立ちます。
その背景として、2024年に刷新された新NISAの制度の存在があります。非課税で運用できる「生涯保有限度額」が1,800万円に拡大し、さらに売却後に非課税枠が復活して再利用できる等の仕組みが導入されました。
これにより、長期の積立運用を継続しやすい環境になりました。
加えて、近年の株式市場の上昇局面が評価益の押し上げにつながり、積立運用の成果が大きく表れる投資家が増えています。こうした制度と市場の相乗効果により、給与を原資とした積立でも、時間の経過とともに階層移動が起こる可能性が高まっています。
例えば、つみたて投資枠と成長投資枠を併用し、家計の余剰資金を自動積立に充てるケースでは、相場が軟調なときも積立を続けることで平均取得単価を引き下げ、上昇局面では利益を享受しやすくなります。
売却が必要になった際も、翌年以降に簿価相当で非課税枠が復活するため、長期的に非課税運用のメリットを維持しやすくなります。このように、給与所得者でも制度の継続利用と市場局面の重なりで「気づけば準富裕層→富裕層」という展開が起こり得るでしょう。
1-3. 相続や事業中心の「伝統的富裕層」との違い
「いつの間にか富裕層」は、事業所得者や相続・事業承継を主因とする従来像の資産家と違い、積立投資の継続と市場の追い風の組み合わせで到達することが可能な点が特徴です。
制度面の整備(新NISA)によって、非課税で長期投資がしやすい環境が整い、給与所得者でも資産形成の再現性が高まりました。
市場環境が良好な年には評価益が急伸し、短期間で階層をまたぐこともありますが、相場は循環するため、分散や見直しのルール化といった「守る仕組み」も重要になります。
たとえば、長期のインデックス投信を積み上げてきた家計に、株価が大きく上振れする局面が重なると、想定外のスピードで含み益が膨らむ一方で、のちに調整局面が来る可能性もあります。
その際には、非課税枠の再配分や現金比率の調整などでリスクを制御することが大切です。
事業収益や相続を主としていた伝統的富裕層と比べ、現代の新富裕層は、収入源が給与中心でも「制度×時間×分散」に支えられ時間をかけて資産形成が実現されるのが相違点です。
統計的に裏づけられた方法で、計画の実効性を高めながら、給与所得者でも着実に資産を増やしていけるのではないでしょうか。
2. 資産を押し上げる3つの追い風
資産を押し上げやすくする要因について、以下で解説します。
2-1. 株高と世界的金融相場の恩恵
日本株の上昇が家計の資産評価額を押し上げ、準富裕層から富裕層への“階層移動”を後押ししやすい状況があります。
背景には、2025年8月にTOPIXが史上初の3,000超を記録するなど、株式市場が高値圏で推移した事実があります。
相場の地合いが良いと、投資信託や株式の含み益が膨らみ、長年の積立運用の成果が大きく表れやすくなります。さらに大型企業の好決算やガバナンス強化の流れが投資家の株価上昇に対する期待感を高め、幅広いセクターに投資資金が流入しました。
結果として、給与所得者でも“いつの間にか”評価額が、富裕層に該当する節目に近づくケースが出てきています。
例えば、インデックス連動の投資信託を長期積立している家計に、指数の上振れが重なるケースが考えられます。
積立の買付単価が平準化されているほど、上昇局面での評価益が伸びやすくなります。
好材料が連鎖し株価が大きく上昇する局面では、想定より早く純金融資産が節目に達する事例もあります。短期の相場変動を意識した運用はリスクもある一方で、株価が大きく上昇する局面での資産増の恩恵は無視できません。
意識したいのは、相場の追い風は“結果の前倒し”をもたらす可能性があるということです。
2-2. NISA・iDeCoなど制度の浸透効果
新NISAの運用期間恒久化や非課税保有限度額(生涯投資枠)1,800万円、売却後の枠再利用といった制度設計は、長期・積立・分散投資の定着を後押ししています。
さらにiDeCoは掛金の全額が所得控除となり、可処分所得ベースの資産形成効率を高めます。これらの制度の普及は口座数・購入額の増加としても確認され、多くの家計に浸透してきました。
非課税や控除の効果が複利と組み合わさることで、時間の経過がもたらす差が大きくなります。結果として、制度活用の有無が階層移動のスピードに影響しやすくなります。
例えば、つみたて投資枠で長期積立を継続し、必要に応じて成長投資枠を併用するケースが考えられます。売却が生じても翌年以降に簿価相当で非課税枠が復活するため、保有資産の組み替えが柔軟に行えます。
iDeCoの所得控除と併用すれば、税負担の軽減が余裕資金を生み、積立投資の維持につながります。これにより、同じ利回りでも制度を活用した家計の方がゴール到達への確率が高まりやすいと言えるでしょう。
つまり、制度活用の有無こそが「いつの間にか」の差となって表れます。
2-3. 不動産価格上昇による資産評価益の拡大
国土交通省が毎月公表する不動産価格指数(住宅)では、上昇基調を示す月が続き、特にマンション指数の強さが家計のバランスシートを押し上げています。
評価益は直接の現金収入ではないものの、総資産額に影響し、将来の売却・住み替え・担保活用など選択肢が広がります。結果として、不動産価格の上昇が“富裕層”への到達を早める要因となることがあります。
例えば、首都圏のマンションを長期保有している世帯に、指数の押し上げが続くケースが考えられます。家計はローン残債の減少と評価額の上昇が同時進行するため、純資産の伸びが加速します。
売却や住み替えを行わなくても、資産評価額の向上が心理的安心感につながることもあります。ただし、評価は将来の金利動向や景気に左右されるため、リスクも併せて意識する必要があります。
以上を踏まえると、不動産評価額の動向は「いつの間にか富裕層」へ到達するための“追い風”になり得ます。
3. 給与所得者が“1億円突破”する仕組み
給与所得者が1億円に到達しやすいメカニズムについて、以下で解説します。
3-1. 給与+積立投資が生む複利効果
安定した給与収入は積立投資の原資となり、非課税制度と組み合わせることで複利効果が現れやすくなります。新NISAは生涯1,800万円の非課税保有限度額と枠の再利用が可能という仕組みを備え、長期・分散・積立運用に向いた制度です。
積立運用は価格変動リスクを時間分散で逓減し、長期の株価上昇局面で成果を得やすくなります。口座数や購入額の増加も制度の定着を裏づける材料です。
結果として、給与収入+積立投資のシンプルな組み合わせが「いつの間にか富裕層」への到達を現実的なものにしています。
例えば、毎月一定額をつみたて投資枠で自動購入し、必要に応じて成長投資枠で配分を調整するケースが考えられます。相場が下落する月も積立を続けることで、平均取得単価が平準化されます。
売却をすると翌年に簿価分の枠が復活するため、リバランスや銘柄入替を柔軟にすることが可能です。時間分散と制度設計の相乗効果で、積立の“実質利回り”が改善する可能性があります。
以上を踏まえると、給与×制度活用×時間の三位一体が重要になります。
3-2. 退職金・企業年金という上乗せ要因
退職給付制度(退職一時金・企業年金)がある企業は多数派であり、老後にまとまった資金が上乗せされる仕組みが一般的です。厚生労働省の資料や政府統計(就労条件総合調査)によれば、退職給付制度の普及率は依然として高く、勤続年数に応じて受給額も増加します。
長期の積立資産に退職給付が重なると、資産1億円といった節目到達の実現度が増します。加えて、企業型DCやiDeCoとの併用で、拠出・控除・運用の一体化が可能です。
結果として、給与収入からの積立運用だけでは届かない差分を“退職時の資金流入”が埋める構造になります。
例えば、企業型DCを活用しながら、定年時に退職一時金を受け取るケースが考えられます。長期の投資信託や株式の評価益に、この上乗せが加わると、純金融資産が節目を超える事例も想定されます。
制度の有無や勤続年数によって金額は変動しますが、資産計画上は“第二の資金流入”と位置づけられます。受給時期や税制の扱いは個別に確認し、最適な受取方法を検討することが重要です。
以上を踏まえると、退職給付は「いつの間にか富裕層」へ到達するための“最後のひと押し”になり得ます。
3-3. 相場上昇局面で一気に膨らむ評価益
上昇相場は、長年の積立や保有資産の評価益を短期間で押し上げることがあります。2025年8月のTOPIXが3,000超となった局面はその象徴で、家計の投信・株式の評価額にポジティブな影響を与えました。
積立運用をすることで、株価が低い時期に買付をした資産に含み益が乗り、資産曲線が非線形に跳ねる瞬間が生じます。もっとも、相場は好・不調を循環するため、過度なリスクテイクは避けるべきです。
上昇の恩恵を享受しつつも“守りのルール”を併走させる姿勢が重要になります。
例えば、NISA枠でインデックス投信を10年以上積み立ててきた家計に、指数が節目を突破する局面が重なるケースが考えられます。
評価益が短期で膨らむ一方、急な調整も起こり得るため、非課税枠の再配分や現金比率の見直しをあらかじめルール化しておくといいでしょう。
売却後にNISA非課税枠が翌年復活する仕組みは、機械的なリバランスを支えます。NISA制度の詳細は、金融庁サイトを参照ください。
以上を踏まえると、“跳ねた後の手順”を準備しておくことが、上昇相場を味方につける鍵になるでしょう。
金融庁:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html)
4. 新富裕層の特徴と価値観
新富裕層の価値観や行動特性について、以下で解説します。
4-1. 消費よりも「守る」「増やす」を優先
相場の追い風で資産が増えても、リスク管理と資産防衛を重視する行動が選ばれやすくなっています。富裕層・超富裕層世帯の増加は、保有資産の厚みの拡大を示します。
非課税枠や現金比率、投信・株式・債券の配分を定期的に見直すルール運用は、変動に対する抵抗力を高めるうえで有効です。市場の短期的変動に左右されず、計画どおりに再配分する姿勢が長期的な資産の安定に寄与します。
結果として、“守りながら増やす”設計が選好されています。
例えば、四半期ごとにアセットアロケーションを点検し、一定の乖離幅で自動的にリバランスするケースが考えられます。上昇局面では利益の一部を現金やMRFに振り分け、次回の下落局面に備えてリスクテイク余力を確保する方法があります。
また、非課税枠の復活を利用して、リスク資産の入替を計画的に行う方法も有効です。以上を踏まえると、規律ある“守りのプロセス”が資産防衛の実効性を高めるといえます。
4-2. デジタル活用と金融リテラシーの高まり
オンライン証券や投資アプリの普及が進んだことで、デジタル前提の投資行動を広げています。日本証券業協会の最新調査では、個人の有価証券保有や属性分布の実態を確認できます。
これにより、給与所得者の間で資産形成の裾野が広がっていると考えられます。さらに、情報取得・金融学習のハードルが下がったことも追い風となっています。結果として、デジタルを軸とした“自走型”の家計が増えています。
例えば、ネット証券で新NISAのつみたて設定を行い、家計アプリで資産推移を可視化するケースが考えられます。勤務先の企業型DCとiDeCoを併用し、アプリで拠出状況や手数料を点検する事例が想定されます。
統計や一次資料へのアクセスが容易になり、意思決定の根拠が明確になりました。以上を踏まえると、デジタル基盤は“学びながら運用する”環境を後押しします。
4-3. 社会貢献・教育投資への積極姿勢
資産形成の進展は、教育・地域・寄付といった社会的分野への支出拡大にもつながります。富裕層の厚みが増す中で、家計の価値観が“消費中心”から“持続可能性”へ広がる動きが見られます。
長期的な家計運営においては、人的資本や次世代投資の優先度が上がります。また、相続や贈与の計画と併せて、教育費・寄付の配分を決める世帯も増えています。結果として、“社会と自分の両立”を意識した資産活用が広がっています。
例えば、子どもの教育費を早期から準備しつつ、地域の文化・スポーツ支援への少額寄付を並行するケースが考えられます。相続・贈与の枠組みを活用して、教育資金の手当てを計画的に進める事例も想定されます。
こうした支出は短期の収益には直結しないものの、長期のウェルビーイングに寄与します。以上を踏まえると、資産の増加と社会性の両立は可能と言えるでしょう。
5. 金融機関・アドバイザーに求められる対応
1億円前後の層に対する提供価値について、以下で解説します。
5-1. 資産1億円層への特有の提案・サービス設計
この層には、非課税枠・現金比率・年金・保険・老後支出を含めた全体最適設計が求められます。
新NISAの1,800万円や枠の再利用、iDeCoの所得控除は、計画の要です。顧客の目標・リスク許容度・キャッシュフローを踏まえ、積立と再配分のルール化を行うと、実行力が高まります。
市場環境に左右されず、やることリストを事前に合意しておくことも有効です。結果として、短期の成績ではなく長期の運用目標の達成確率を高める支援が評価されます。
例えば、年間のつみたて上限設定、暴落時の追加買付基準、利益確定と再投資の手順をNISAの枠復活と整合させるケースが考えられます。iDeCoの掛金上限や企業型DCとの関係を整理し、家計キャッシュフローに無理のないプランに落とし込みます。
四半期ごとにアロケーション点検と、自動リバランスを徹底することで、制度×ルール×伴走が機能する体制が構築できるでしょう。
5-2. 税務・相続・不動産を含むトータルソリューション
資産1億円前後の層は、不動産・相続/贈与・金融資産が相互に影響します。公的な不動産価格指数は評価の基準を提供し、出口戦略や相続計画の前提条件になります。
家計は総資産のバランスを見て意思決定するため、部分的な最適化では限界があります。公的データと制度理解に基づき、分野横断で統合的に助言することが信頼につながります。結果として、点ではなく“面”での提案が選ばれています。
例えば、保有マンションの評価とローン残債、相続時の分割方針、NISA・iDeCoの資産配分を同一シートで管理するケースが考えられます。
住み替え・売却・賃貸化などの選択肢と税の影響を比較し、非課税枠や退職給付の受取時期と合わせて計画することで、資産全体の“流れ”が可視化され、納得度が高まります。以上を踏まえると、トータル設計が効果的です。
5-3. 「パーソナライズされたリレーション」が選ばれる時代
市場や制度が更新されるなか、個別事情に沿う助言と継続的なアップデートが差別化要因になります。NISAの非課税枠やiDeCoの税制、相場変動の対応などを、“定例点検”で調整する仕組みが有効です。
教育・住宅・転職・退職といったライフイベントと投資計画の連携が重要になります。データ連携やダッシュボードを活用すれば、意思決定の透明性が増します。結果として、パーソナライズされた伴走が“選ばれる理由”になります。
例えば、四半期レビューでNISAの利用状況、iDeCoの拠出、アロケーション、ライフイベントの予定を同時確認するケースが考えられます。目標からの乖離を数値で示し、必要な調整をこまめに実行するといいでしょう。
変化が起きたときは、非課税枠の復活や入替の優先順位をあらかじめ決めておくことで、機動的な対応が可能です。以上を踏まえると、長く続く関係性が提供価値の必要条件となります。
6. まとめ
給与所得者の「いつの間にか富裕層」は、株高や、新NISA・iDeCoといった制度の後押し、そして不動産価格指数の上昇が重なった結果として説明できます。
さらに退職給付という上乗せ要因が節目到達を助け、上昇相場では評価益が大きく膨らむこともあります。
市場は変動し続けるため、長期・分散・非課税枠の活用・定期見直しをルール化する姿勢が重要です。相続・不動産を含む全体最適設計と、パーソナライズされた伴走が、到達後の安定にも寄与します。
一次情報を基に自分の家計に合った計画を更新し続けるのが有効でしょう。
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