資産運用

各国のプライベートバンクの運用期待利回り徹底解説!

プライベートバンキングとは、一定額以上の資産を持つ富裕層を対象に、総合的な資産管理を行う金融サービスを指します。このプライベートバンキングを行う機関、いわゆるプライベートバンクは、銀行と証券会社の機能を併せ持ち、資産運用だけでなく税務アドバイスや資産承継など、金融や法律などの専門家に個別の相談ができます。

プライベートバンキングは、あくまでも目安ですが、金融資産として1億円以上を保有している方が利用する専門サービスと言えます。
とはいえ、日本では3,000万円から5,000万円の資産保有者を対象とした、比較的ハードルの低いプライベートバンクのサービスも提供されています。

ここでは日本と各国のプライベートバンクで運用した際の運用期待利回りを詳細に解説します。

プライベートバンクはいくらから開設できる?については以下の記事をご参考ください。

1.プライベートバンクの運用期待利回り

プライベートバンクの資産運用で期待できる運用期待利回り(ここでは、運用期待利回りとは「目標とする年間リターン」を指します)は、顧客のニーズや運用スタイルによりそれぞれ異なるものの、一般的な金融機関(銀行、証券会社など)よりも高い傾向にあります。

プライベートバンクでの取扱商品による運用期待利回り

プライベートバンクでの取扱商品による運用期待利回り一般的な金融機関での取扱商品による運用期待利回り
日系証券:年5%~10%前後
日系銀行:年5%~10%前後
年2~8%前後(投資信託の場合)

※自社調べ
プライベートバンクの場合、一般的な金融機関では購入できない金融商品を取り扱っていることもあります。

中にはハイリスクなものや最低投資金額が5,000万円や1億円などまとまった金額でないと投資出来ないものも含まれますが、その分高いリターンが期待できる点や、投資先の分散が出来る点などが魅力です。

プライベートバンク一般的な金融機関
代表的な手数料〇売買手数料:購入時。金融商品の売買金額に対して0.1-1.5%程度。
〇資産基準手数料:預託資産残高による。預かり資産額に対して1.5%前後が相場。
〇固定報酬:定額
〇成功報酬:運用成果にもとづく。資産の増加額に対して15-20%前後。
〇株式売買手数料:株購入時、売却時
〇売買販売手数料:投資信託購入時
〇信託報酬:投資商品が定めている利率投資信託の運用期間中に継続的に発生する費用
〇信託財産留保額:投資信託解約時

2.プライベートバンク別の利回り

運用期待利回りを金融機関や国別に分けて詳しく見ていきましょう。
※以下利回りの目安については全て自社調べによる

2-1.日系証券

日系証券:年5%~10%前後 

顧客層は上場会社のオーナー一族が中心で、上場会社の主幹事証券会社がオーナーのプライベートバンキング業務も担っているケースが多いです。

日系証券の場合、海外のプライベートバンクに対して、期待する運用利回りは少し抑えられています。日本はアメリカなど諸外国に比べて市場金利が低いことが主な原因と考えられます。とはいえ2024年12月現在、アメリカやヨーロッパ(の中央銀行)は政策金利を引き下げる方針を出しているのに対し、日本の中央銀行である日銀は金利を引き上げる方針にあります。

日本のプライベートバンクが日本を投資対象とする投資商品だけで運用するわけではありませんが、今後日本の市場金利の動きによっては、組入商品次第で日系証券の今後の運用期待利回り上昇の期待があるとも考えられます。

2-2.日系銀行

日系銀行:年5%~10%前後

日系銀行のプライベートバンキングの運用期待利回りは日系証券とあまり変わらず、一般的に年5~10%前後とされています。

日本において銀行は証券よりも幅広いサービスを提供していることもあり、運用においては安定性を重視している印象を受けます。

ただ日系証券と同様、日銀の利上げ方針を踏まえると、今後の運用期待利回りは高まってくると考えられるでしょう。

2-3.スイス系商業銀行

スイス系商業銀行:年5%~10%前後

一方で海外においては、スイスの銀行の存在感が際立っています。
スイス系商業銀行とは、グローバルに金融サービスを取り扱っている銀行で、UBSやクレディ・スイスなどが挙げられます。日本でも展開されていて、富裕層にとっては聞き馴染みのある金融機関です。

・世界のプライベートバンク預かり資産上位ランキング(2024年度)

順位会社名本社所在地預かり資産(USD)
UBSグローバルウェルスマネジメントスイス2兆5,900億ドル
エドワード・ジョーンズアメリカ1兆3,050億ドル
クレディ・スイススイス1兆2,500億ドル
モルガン・スタンレー・ウェルスマネジメントアメリカ1兆2,360億ドル
バンク・オブ・アメリカGWIMアメリカ1兆2,200億ドル
J.P.モルガン・プライベートバンクアメリカ6,770億ドル
ゴールドマン・サックス・ウェルスマネジメントアメリカ5,580億ドル
チャールズ・シュワブアメリカ5,063億ドル
シティ・プライベートバンクアメリカ5,000億ドル
BNPパリバ・プライベートバンクフランス4,240億ドル

引用:ADV RATINGS 

世界におけるプライベートバンクの預かり残高上位を見ると、経済大国であるアメリカのほかに、スイスがプライベートバンク大国であることがわかります。

この背景には世界経済におけるスイスの立ち位置があります。従来より国際的な立場として、スイスは中立国の立場を確立しています。1934年のスイス銀行法により、口座名義人の情報を第三者に開示することを禁止する法律が制定されました。これにより、スイスの銀行は「秘密銀行」としての側面を強化しました。

2-4.スイス系老舗銀行

スイス系老舗銀行:年2%~5%前後

スイス系老舗銀行とは、投資銀行部門を持たず、富裕層の資産管理を専業とした(プライベートバンキングビジネスに特化した)プライベートバンクを指します。
具体的な会社としては、ジュリアス・ベア、ピクテ、ロンバー・オディエなどが挙げられ、世界的に有名なプライベートバンクではありますが、富裕層の中でも知る人ぞ知る銀行と言えるでしょう。

預かり資産のランキングにおける首位は「UBSグローバルマネジメント」です。

同社は160年を超える歴史を持つ、まさに「スイス系老舗銀行」です。ウェルス・マネジメントを軸に投資銀行・証券・資産運用業務を展開しています。

知名度の面においても、海外プライベートバンクの代表格といえるでしょう。金融機関としても、スイスで最大手です。

2-5.シンガポール系銀行

スイス系老舗銀行:年5%~17.5%前後

スイスのプライベートバンクに代わり存在感を増しているのがシンガポール系の銀行です。

シンガポールも東南アジアにおける資産運用ビジネスの盛んな国であり、プライベートバンクはアジア圏でも注目されています。

シンガポールは日本人の在住者も多く、経済や防衛面の視点でも日本との親和性も高い国です。また税制面でのメリットが大きいこともあり、シンガポールのプライベートバンクを優先的に検討する富裕層も多いです。
シンガポールのプライベートバンクとしては、シンガポール銀行(BOS)、UOB銀行、DBS銀行が有名です。

シンガポールのプライベートバンクの運用期待利回りが高い理由は、「レバレッジ」を使った運用が可能だからです。レバレッジとは、元本以上の金額で取引を行うことで、通常に比べて数倍の金額で取引できる分リターンは高くなりますが、その分リスクも高まります。

この仕組みは投資初心者向けの運用手法ではありません。金融商品の仕組みをよく理解した上で検討ください。

3.プライベートバンクの運用期待利回り以外のメリット

プライベートバンクには運用期待利回り以外に、どのようなサービスが期待できるのでしょうか。

3-1.自分に合うオーダーメイドの資産運用が行える

プライベートバンクでは、主に以下のサービスが受けられます。

プライベートバンクの主なサービス
・金融機関を横断した資産運用
・税務面のアドバイス
・海外生活のサポート
・資産承継や事業承継、相続などのサポート
・不動産の管理や売却    など

プライベートバンクの特徴として、銀行や証券会社の中でもより手厚いオーダーメイド型の資産管理や資産運用などの金融サポートのほか、クレジットカードの管理や不動産に至るまで総合的なサポートをしてくれます。

またプライベートバンクを通して金融や法律などの専門家に個別の相談ができるため、投資に最適な商品の紹介だけでなく、税金面も相談をすることができます。

3-2.投資の選択肢が広がる

プライベートバンクの幅広いサービスにより、利用する富裕層の投資の選択肢が広がります。

残念ながら世界中のすべての投資商品が、不特定の投資家に公開されているわけではありません。いわゆる「クローズの投資商品」も世の中には数多く存在し、限定的なコミュニティや専門業者のなかで取引されます。

プライベートバンクはそのクローズの情報を得やすい立ち位置であり、プライベートバンクからの紹介によって、クローズの投資商品を知ることもあるでしょう。

4.プライベートバンクはいくらから利用できるか

プライベートバンクで口座を開設するための最低預金額は、明示されていないところが多いですが一般的な目安としては、1億円の総資産額が必要になるといわれています。

4-1.日本は資産額3,000万円〜5,000万円が目安

日本国内には、3,000万円から5,000万円前後の資産で利用可能な、比較的ハードルの低いプライベートバンクもあります。ただし、一概にプライベートバンクといっても、所有している資産額により受けられるサービスは大きく異なるでしょう。

預金額が低い場合は、一般的な銀行とプライベートバンクの「中間に位置するサービス」も提供されています。

プライベートバンクのように「すべてお任せ」とはならないものの、専門知識を持った担当者に相談ができるという立ち位置です。

4-2.海外のプライベートバンクは資産額1億円以上が目安

海外では、5,000万円前後で受けられるプライベートバンクはほとんどありません。
最低でも1億円以上の資産が必要といわれています。
銀行によっては5億円以上の預金額が最低ラインといわれているところもあります。

注意したいのは、資産額が1億円に到達したからといって、必ずしもプライベートバンクの利用ができるわけではない点です
さらに、残高に応じて手数料がかかることにも注意しましょう。運用に充てる金額によっては、手数料以上の利益が得られない可能性も存在します。

プライベートバンクの利用にあたっては、自分の資産額と要望を鑑みて、十分なリターンが得られるかを確認することが大切です。

5.IFAに相談するならファーストパートナーズへ

IFAに相談するなら株式会社ファーストパートナーズをおすすめします。

〈ファーストパートナーズの強み〉
①証券会社や銀行など金融機関出身者が多く在籍しており、豊富な知識と経験を活かして顧客に対する的確なアドバイスをご提供します
②資産運用のみならず、事業承継、M&A、不動産など多岐にわたる金融サービスをご提供しています
③ヘッジファンドや外資系プライベートバンクと提携し、幅広い選択肢をご提供可能です

6.まとめ

プライベートバンクは日本、海外で広く展開していますが、金融機関によって期待できる運用利回りや、サービスを受けるのに必要な資産額が異なります。日系、スイス系、シンガポール系などそれぞれの金融機関で異なる条件をしっかりと確認しましょう。

プライベートバンクのメリットとしては、運用期待利回り以外にも、オーダーメイド性が高く、投資の選択肢が広がる点です。また、担当者とは長期的に信頼関係を構築することができるでしょう。

プライベートバンクの特徴を生かし、資産管理と円滑な運用のため上手に活用するようにしましょう。

FPメディア編集部

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