資産運用

ETFと投資信託の違いを7項目で比較|NISAではどっち?ケース別の選び方

「ETFと投資信託、どちらを選べばよいのか」は、投資を始める方からまとまった資金の運用先を考える方まで、多くの人が抱く疑問ではないでしょうか。どちらも複数の資産に分散投資できる商品ですが、買い方、コスト、分配金の扱い、NISAでの使いやすさに違いがあります。

どちらか一方が優れているということはありません。運用資金の額、運用目的、手間をどこまでかけられるかによって、一人ひとり合う商品は変わります。

本記事では、ETFと投資信託の違いを7項目で比較し、ETF特有の注意点、ケース別の選び方までを整理します。なお、本記事は特定の金融商品の売買や特定の投資行動を推奨・勧誘するものではありません。ご自身で冷静に判断するための材料としてお役立てください。

目次

1. 投資信託かETFか、選択時のポイント

ETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)は、証券取引所に上場し、株式と同じように市場で売買できる投資信託です。投資家から集めた資金を、専門家(プロ)が株式や債券などで運用する基本的な仕組みは、投資信託と同じです。

本記事では、上場していない一般的な投資信託を「投資信託」と呼び、ETFと比較していきます。まず、両者を選ぶときに確認しておきたい3つのポイントを整理しておきましょう。

表1:ETFと投資信託を選ぶときの3つのポイント

ポイント確認すること関係する章
買い方と手間自分で売買のタイミングを決めたいか、自動で積み立てたいか第2章
コストと税金保有コスト(信託報酬)、売買手数料、分配金の受け取り方、税金第2章・第3章
資金の性格毎月の積立か、まとまった資金の運用か、分配金を受け取りたいか第4章

どちらか一方に決める必要はありません。「毎月の積立は投資信託、まとまった資金はETF」というように、目的ごとに使い分ける方法もあります。次章から、具体的な7つの項目で違いを比べていきましょう。

2. ETFと投資信託の違いを7項目で徹底比較

まずはETFと投資信託の主な違いを7つの項目で整理し、それぞれの特徴を押さえていきましょう。

表2:ETFと投資信託の違い(7項目)

項目ETF投資信託
取引方法取引時間中にリアルタイムで売買1日1回決まる基準価額で取引
コスト保有コスト(信託報酬)は低めの傾向、売買手数料がかかる場合あり保有コスト(信託報酬)はETFより高めの傾向、購入時手数料がかかる場合あり
購入単位価格×売買単位(口数指定)金額指定で少額から可能
分配金現金で受け取る自動で再投資するコースを選べる
税金・為替コスト米国ETFは現地で課税、為替手数料あり国内籍なら現地課税は商品内で自動処理
NISA適性成長投資枠が中心つみたて投資枠・成長投資枠の両方
商品ラインナップ指数連動型(インデックス)が中心指数連動型・アクティブ型ともに多数

2-1. 【取引方法】「リアルタイム売買」のETF vs 「1日1つの基準価額」の投資信託

ETFは株式と同じように、取引時間中に市場で変動する価格を見ながらリアルタイムで売買できます。価格を指定する指値注文も可能です。

一方、投資信託は1日1回算出される「基準価額」で取引されます。注文時点では購入・売却の価格は分からず、後日算出・公表される基準価額で確定します。

一般的には、市場価格を見ながら売買したい方はETF、日々の値動きを気にせず定期的に買いたい方は投資信託が向いているといえます。

2-2. 【コスト】信託報酬(保有コスト) vs 売買手数料

どちらの商品も保有中に「信託報酬(運用管理費用)」がかかります。同じ指数に連動する商品で比べると、ETFのほうが信託報酬は低い傾向にあります。ただし、近年は信託報酬の低い投資信託も増えているため、個別の商品ごとに比較することが重要です。

一方、ETFは売買のたびに取引手数料がかかる場合があります。投資信託は購入時手数料がかかる商品と、かからない商品(ノーロード)があります。

コストを比較する際は、「保有期間」と「売買回数」を踏まえた合計コストで判断することが大切です。長期保有するほど信託報酬の低さが活き、頻繁に売買するほど売買手数料の影響が大きくなります。

2-3. 【購入単位】最低投資金額と積立のしやすさ

ETFは「1口あたりの価格×売買単位」で購入するため、価格は日々変動しますが、最低投資金額は銘柄や売買単位ごとに異なり、数千円から数万円になることがあります。そのため、金額を指定して端数なく「ちょうど〇万円分買う」というような取引は難しくなります。

投資信託は100円や1,000円といった金額指定で購入できる商品が多く、毎月の積立額を予算に合わせて自由に決められます。無駄なく資金を使い切りたい初心者には投資信託が便利でしょう。

2-4. 【分配金】「自動再投資」できる投資信託 vs 「直接受け取る」ETF

投資信託には、分配金が出た場合にそれを自動で再投資するコースを選べる商品があります。税引き後の分配金を受け取らずにそのまま運用に回すことで、再投資分にも運用益がつくため、長期の資産形成では複利の効果を得やすくなります。

ETFの分配金は、現金で指定した口座に支払われます。再投資したい場合は、自分で買い付ける必要がありますが、「定期的に現金を受け取りたい方」には、ETFの仕組みが合うでしょう。

2-5. 【税金・為替】米国ETFで発生する二重課税と為替手数料の仕組み

米国に上場するETFの分配金には、まず米国で10%が源泉徴収されます。そのうえで、日本でも20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。

この二重課税は、確定申告で「外国税額控除」を申請することで一部を取り戻せます。ただし、NISA口座では日本の課税がそもそもゼロになるため二重課税にならず、外国税額控除は使えません。米国での10%課税分はそのまま引かれます。

また、米国ETFの売買時には円とドルを交換する為替取引をし、為替手数料がかかります。一方、国内籍の投資信託で米国株に投資する場合は、為替取引や現地課税の手続きが商品の中で行われるため、投資家ご自身で為替取引を行う必要はありません(これらのコストは商品内で負担されます)。ただし、為替変動により評価額が変動します。

※出典:国税庁「日米租税条約の改正議定書」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0014688-73.pdf)
国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1331.htm)

2-6. 【NISA適性】つみたて投資枠・成長投資枠での使いやすさの違い

NISAの「つみたて投資枠」で買える商品は、一定の基準を満たしたものに限られます。この基準を満たすETFは少なく、ETFは主に「成長投資枠」での利用が中心になります。

投資信託は、「つみたて投資枠」「成長投資枠」の両方で使える商品が多く、毎月の自動積立と組み合わせやすくなっています。

「つみたて投資枠」を活用して自動で長期積立をしたいなら投資信託、「成長投資枠」を使って自由度の高い売買をしたいならETFが適しているといえるでしょう。

2-7. 【商品ラインナップ】選択肢の広さ

投資信託は、指数に連動する「インデックス型」と、指数を上回る成果を目指す「アクティブ型」の両方があり、商品数が多くなっています。

ETFは指数に連動する「インデックス型」が中心であり、商品数は投資信託より少なくなっています。選択肢は限られますが、「何に投資しているか」を把握しやすいというメリットがあります。

ここまでの違いを踏まえると、一見すると手間が少ない投資信託のほうが魅力的に思えるかもしれません。しかし、ETFには投資信託にはない特有の注意点があります。次の章で、ETFを選ぶ際に知っておくべきポイントを確認しましょう。

3. ETFのデメリット|投資信託にはない5つの注意点

第2章の比較を踏まえ、ETFを選ぶ場合に特に気を付けておきたい5つの注意点と、それぞれの対処法を整理します。

表3:ETF特有の5つの注意点と対処法

注意点影響対処法
分配金の自動再投資ができない複利効果を得るには自分で買い付けが必要再投資の頻度をあらかじめ決める
米国ETFの現地課税NISAでも米国での10%課税分は戻らない(国内籍の投資信託でも、商品内で同様に現地課税されます)国内籍の投資信託や国内ETFとのコスト比較を行う
金額指定で買いにくい端数資金が残りやすい端数の扱いを事前に決める
スプレッドと価格乖離想定より不利な価格で約定することがある出来高(売買量)の多い銘柄・時間帯を選んで注文する
自動積立設定ができる証券会社が限られる積立の手間が増える対応している証券会社を事前に確認する

3-1. 分配金を自動で再投資できない

ETFの分配金は現金で支払われるため、再投資して運用額を増やすには自分で手動で買い付ける必要があります。買い付けを忘れて現金を放置すると、複利の効果が薄れてしまいかねません。

【対処法】「分配金が〇〇円たまったら買う」「年に〇回再投資する」といったルールをあらかじめ決めておくことです。ただし、ETFには売買単位があるため、分配金だけでは1口分の価格に満たないこともある点に留意が必要です。

3-2. 米国ETFの分配金には「現地での10%課税」がかかる

第2章で見たとおり、米国ETFの分配金には米国で10%が源泉徴収されます。NISA口座では日本の課税はありませんが、米国での課税分は戻りません。

【対処法】同じ指数に投資できる「国内籍の投資信託」と比較しましょう。国内籍の投資信託でも米国株への投資には現地課税がかかりますが、手続きは商品内で処理されるため、投資家が確定申告をする必要はありません。分配金を受け取る目的がなければ、税務の手間も含めて比較すると良いでしょう。

3-3. 金額指定で買いにくく、「端数資金」が発生しやすい

ETFは口数単位で買うため、用意した資金をぴったり使い切ることが難しく、端数が残ります。例えば10万円で1口3万円のETFを買うと、3口で9万円を使い、1万円が残ります。

【対処法】端数資金は「次の買い付けまでプールしておく」か、「少額から買える投資信託の購入に回す」かを事前に決めておくと良いでしょう。ETFと投資信託を併用することで、資金を無駄なく活用できます。

3-4. スプレッド(買値と売値の差)と価格乖離のリスク

ETFの市場価格には、買値と売値の差(スプレッド)があります。売買が少ない(出来高の小さい)銘柄ではスプレッドが広がりやすく、売買のたびにコストが発生しやすくなります。

また、ETFの市場価格は、実際の価値(基準価額)から一時的にずれる「価格乖離」が起こることもあります。特に取引が少ない時間帯や、相場が急変した場面で起こりやすくなります。

【対処法】出来高(売買の量)が多い銘柄を選び、取引が活発な時間帯に売買すると良いでしょう。「成行注文」ではなく「指値注文」を活用すると、想定外の価格での約定を避けやすくなります。

3-5. 自動積立設定できる証券会社が限られる

投資信託は多くの金融機関で自動積立を設定できますが、現状ではETFの自動積立(定期買付)に対応している証券会社は限られています。また、対応していても対象銘柄や積立の条件が絞られていることがあります。

【対処法】積立でETFを買いたい場合は、口座を開く前にその証券会社が「ETFの定期買付サービス」に対応しているか確認しましょう。対応していない場合は、自分で手動で買い付ける手間が発生します。

4. 【ケース別】自分にはどっちが合う?ETFと投資信託の選び方

ここまでの比較を踏まえ、資金の使い方や運用目的に応じて、ETFと投資信託のどちらが選択肢になりやすいかを整理します。

表4:ケース別の整理

ケース選択肢になりやすい商品主な理由
毎月一定額を積み立てたい投資信託金額指定・自動積立・分配金の自動再投資ができるため
まとまった資金で分配金を受け取りたいETF分配金が現金で入り、信託報酬が低めの傾向があるため
同じ指数に長期投資したいどちらも候補口座の種類(NISAか課税か)や分配金の扱いで差が出るため

4-1. NISAで毎月積み立てる場合

毎月一定額を積み立てる場合は、「投資信託」が選択肢になりやすいといえます。理由は以下の3点です。

・つみたて投資枠で買える商品が豊富
・金額指定で端数なく買え、自動積立の設定が簡単
・分配金を自動で再投資するコースを選べるため、複利効果を高めやすい

ETFは成長投資枠が中心で、口数単位の購入になるため毎月ぴったりの額を積み立てるには工夫が必要です。積立を続ける手間を考えると、投資信託のほうが仕組みとして合いやすいといえます。

4-2. 退職金等まとまった資金を運用しつつ、分配金の受け取りも検討する場合

退職金などのまとまった資金を運用し、定期的に現金を受け取りたい場合は、「ETF」が選択肢になりやすいといえます。ETFは分配金が現金で支払われるため、「運用しながら定期的にお金を受け取る」という目的に合うためです。また、信託報酬が低めの傾向がある点も、長期保有でのコストを抑える助けになります。

ただし、第3章で見たとおり、米国ETFの分配金には現地での課税がかかる点に注意が必要です。また、価格変動により投資元本を割り込む可能性があります。

分配金の額は運用状況によって変動し、一定額が保証されるものではありません。分配金だけに頼らず、預金など安全な資産と組み合わせて計画的に運用することが大切です。

4-3. 同じ指数(S&P500・全世界株式など)を投信とETFで持った場合の10年シミュレーション

同じ指数に連動する投資信託とETFを10年保有した場合、どれくらいの差が出るかを試算します。

【試算の前提条件】

・当初の投資額:1,000万円(追加投資・出金なし)
・運用利回り(コスト差し引き前):比較のための仮定として、年5%(うち値上がり3%、分配金相当2%)とする
・信託報酬:投資信託は年0.1%、ETFは年0.05%
・投資信託は分配金を出さず、商品内で再投資する
・ETFは分配金を受け取り、課税後に全額を再投資する(端数は考慮しない)
・課税口座の税率は20.315%。投資信託・ETFとも、売却時の譲渡益への課税は考慮しない

表5:1,000万円を10年保有した場合の試算(概算)

保有方法10年後の資産額
投資信託(課税口座、分配金なし)約1,613万円
ETF(課税口座、分配金は課税後に再投資)約1,559万円

※上記の前提に基づく試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

【シミュレーションからの学び】試算結果から見えてくるポイント

・課税口座では、分配金に課税されるETFより、商品内で再投資する投資信託のほうが資産額は大きくなりやすい。信託報酬の差よりも、分配金への課税の影響が大きく出ています。

5. まとめ

ETFと投資信託は、どちらも複数の資産に分散投資できる商品が中心ですが、買い方、コスト、分配金の扱い、NISAでの使いやすさに違いがあります。どちらが優れているという答えはなく、資金の性格と運用の目的で選ぶことが必要です。

表6:判断の目安

確認すること投資信託が合いやすい方ETFが合いやすい方
買い方・手間金額指定で自動積立したい価格を見て自分のタイミングで売買したい
分配金自動で再投資したい現金で定期的にお金を受け取りたい
利用したいNISA枠・口座つみたて投資枠を使いたい成長投資枠・課税口座で運用したい
資金の性質毎月の積立まとまった資金の運用

今すぐできる3つのアクションステップ

自分に合った運用を始めるために、まずは以下のステップで進めてみましょう。

1. 運用目的を決める:「将来のための資産形成(積立)」か「現在のお小遣い・生活費の補填(分配金)」かを明確にする。
2. 使うNISA枠を確認する:「つみたて投資枠」でコツコツ始めるか、「成長投資枠」を併用するかを決める。
3. 証券口座の機能を確認する:ETFの定期買付サービスがあるか、欲しい投資信託の取扱いがあるかを自分の利用している証券会社で調べる。

既存の資産を乗り換える場合は、売却時の課税やNISA枠の再利用ルールを確認しましょう。迷ったときは、投資信託とETFを無理に1つに絞らず、価格変動リスクや費用を確認したうえで、目的に応じて組み合わせる方法もあります。

ご留意事項

本記事を執筆した株式会社ファーストパートナーズは、金融商品仲介業者として投資信託やETFを取り扱っておりますが、本記事は、ETFと投資信託の違いについて、情報提供を目的として作成したものです。特定の金融商品の売買や、特定の投資行動を推奨・勧誘するものではありません。

記事中の試算は一定の前提に基づくもので、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。ETF・投資信託はいずれも、価格変動や為替変動により元本割れのリスクがあります。分配金の額は運用状況により変動し、保証されるものではありません。

税制は将来変更される可能性があります。手数料や取扱条件は各金融機関・商品によって異なります。ご利用の際は、目論見書などで内容をご確認のうえ、ご自身の判断でお決めください。

ファーストパートナーズでは、富裕層・資産形成層の方々に対して、ニーズに寄り添ったさまざまなサービスのご提案を行っております。

※ご相談は無料で承っておりますが、その内容により、個別の商品・銘柄・売買の方法・時期等に言及する場合があります。

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流石 一弘

みずほ証券入社・所沢支店、自由が丘支店に在籍後、ファーストパートナーズに転職。みずほ証券では、社長賞受賞・コンテスト多数受賞し海外研修に参加、みずほ証券従業員組合中央執行委員に選出。
お客様に寄り添った資産運用のアドバイスを心掛け、商品ありきの提案ではなく真のニーズを把握することに努め仕事に取り組んできました。今後はワンストップで様々なサービスを提供できるファーストパートナーズでより幅広いお客様の運用以外のニーズにも応えられるように取り組んでいきたいと思います。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

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