
(画像=SBI証券)
| この記事は2026年6月1日にSBI証券で公開された「AI半導体株の上昇で変わる新興国株式 1年好成績ファンドの特徴は?」を転載したものです。 掲載記事:AI半導体株の上昇で変わる新興国株式 1年好成績ファンドの特徴は? |
新興国株式の構成比が変化 台湾・韓国の存在感が拡大
近年、AI需要の拡大を背景に半導体関連株の上昇が続いています。この動きは米国や日本にとどまらず新興国株式にも波及しており、特に半導体の製造・供給網を担う台湾や韓国の企業が恩恵を受けています。その結果、新興国株式のパフォーマンスや市場構造にも変化が見られています。
図表1では、新興国株式の代表的な指数であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスにおける主要国・地域の約1年間のパフォーマンスを比較していますが、台湾・韓国の株価指数が他の主要国・地域を大きく上回っています。
こうした動きもあり、新興国株式の中でも、国・地域間で強弱の変化が見られています。
従来、新興国株式は中国の影響が大きい市場とされてきましたが、足元では国・地域別のバランスに変化が生じています。
図表2に示す2026年4月末時点の構成比では、台湾が中国を上回る水準となっており、韓国もインドを上回るなど存在感を高めています。
この背景には、AI半導体需要の拡大を受け、台湾ではTSMCに加え、鴻海やメディアテックなど幅広いテクノロジー企業で株価上昇がみられたこと、さらに韓国でもサムスン電子やSKハイニックスといった企業の株価上昇が寄与した、といった要因が挙げられます。
こうしたサプライチェーン全体の上昇が、新興国株式インデックスの構成比変化につながっていると考えられます。
ただし、新興国株式の構成は採用する指数によって異なります。
代表的な指数としてMSCIのほかにFTSEエマージング・インデックスがありますが、特に重要なのが韓国の取り扱いです。
MSCIでは韓国が新興国として組み入れられている一方、FTSEでは先進国に分類されており原則として含まれていません。
このため、MSCI連動ファンドには韓国が含まれるのに対し、FTSE連動ファンドでは韓国が除かれ、その分他国の比率が相対的に高まります。
足元では韓国の半導体関連株が上昇基調にあることから、この違いはパフォーマンスにも影響します。
また、MSCIとFTSEでは中国株の組入比率や銘柄選定ルールにも差があるため、同じ新興国株式でも実際の投資対象や値動きには違いが生じます。
このように、新興国株式ファンドを検討する際には、指数の違い、特に韓国の有無を含めた国別構成に注目することが重要です。
こうした点を踏まえ、本稿では新興国株式市場の変化が大きかった直近1年に焦点を当て、好成績を収めた新興国株式ファンドの特徴を整理します。NISAで買える1年好成績 新興国株式ファンドの一覧が図表3となります。
なお、新興国株式ファンドの選び方については、以下の動画でも解説していますので、あわせてご参照ください。
【ファンドアナリスト川上が伝える これからの投資信託との付き合い方 】 オルカン+α 攻めと守りの分散投資 組み合わせで結果はどう変わる? ※YouTubeチャンネルに遷移します
図表1 主な新興国・地域の株価指数 パフォーマンスの比較 (2025年4月末=100、2026/5/26まで)

※ QUICKのデータをもとにSBI証券作成
(画像=SBI証券)
図表2 MSCIエマージング・マーケット・インデックス 国・地域別構成比 (2026年4月末)

※ MSCIのデータをもとにSBI証券作成
(画像=SBI証券)
図表3 NISAで買える1年好成績 新興国株式ファンド

※ウエルスアドバイザーのデータをもとにSBI証券作成(2026年4月末基準)
※SBI証券で購入可能なNISA・成長投資枠対象で新興国株式を投資対象とする運用期間5年以上のファンドを1年リターン順に表示
※参考としてMSCI、FTSEの新興国株式インデックスへの連動を目指すファンド、同一のインデックスで1年リターン最上位ファンドを表示
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
(画像=SBI証券)
新興国株式 1年リターン上位ファンドの特徴
以下では、こうした市場環境のもとで好成績となったファンドの特徴を見ていきます。
1年リターン1位の深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)は、中国のシリコンバレーとして知られる深センに着目し、イノベーション企業に投資を行うファンドです。韓国や台湾と同様に半導体関連分野の伸びも見られた一方、中国では通信や次世代エネルギー関連などイノベーション企業全体の株価上昇が寄与し、好パフォーマンスとなりました。ただし、値動きの振れ幅を示す標準偏差(5年)はかなり大きいファンドといえます。
2位のアジア未来成長株式ファンドおよび3位のアジア未来成長株式ファンド(3ヵ月決算型)は、成長性に着目してアジア株式に分散投資するファンドです。国・地域別構成比では、台湾(31.5%)と韓国(30.9%)の比率が高く、半導体を中心としたテクノロジー株の上昇を背景に好成績となりました。
4位の中国A株ファンド(愛称:黄河)は、資本財や素材といった景気敏感株に加え、テクノロジーや半導体にも分散投資している点が特徴です。資源・インフラ関連の回復に加え、電池や半導体など成長分野の上昇も取り込み、高いパフォーマンスにつながりました。
5位のJPM アジア株・アクティブ・オープンは、中国株(34.5%)を一定程度組み入れつつ、台湾・韓国の半導体株にも分散投資しており、中国株の持ち直しと半導体株の上昇の双方を取り込んだことが、好成績の要因となりました。
6位のシュローダー・エマージング株式ファンド(1年決算型)および7位のシュローダー・エマージング株式ファンド(3ヵ月決算型)は、新興国全体に分散投資しつつもアジア比率が高く、台湾・韓国の半導体関連株の上昇を取り込んだことに加え、中国株の持ち直しも寄与し、好成績となりました。
8位のエマージング株式オープンは、主要国に分散投資しながら、半導体株の上昇と中国株の持ち直しを取り込んだことが安定した好成績につながりました。
9位のeMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックスは、台湾(28.2%)や韓国(20.8%)といった半導体関連株の比率が高く、中国比率が相対的に抑えられている点が特徴です。これによりAI半導体株の上昇をより大きく取り込むことができ、参考で示した新興国インデックスファンド対比での好成績につながりました。
なお、各ファンドの分析は直近のポートフォリオを基に整理したものであり、実際の運用過程すべてを反映したものではありません。
このように、新興国株式市場では各国の株価パフォーマンスや市場構造に変化が見られ、従来とは異なる投資機会が広がっています。
こうした変化を踏まえ、分散投資の一環として新興国株式をあらためて検討することも一案といえるでしょう。
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