資産運用

オルカンの最適な組み合わせは?組み合わせるファンドと資産配分の考え方を解説

オルカンの最適な組み合わせは?組み合わせるファンドと資産配分の考え方を解説

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは、1本で世界中の株式に分散投資できる人気のインデックスファンドです。しかし、その中身を見ると、投資対象は株式のみであり、さらに時価総額加重方式を採用しているため、組入比率は米国株が大きな割合を占めており、「全世界に分散しているようで実は偏っている」構造があります。

本記事では、オルカンと組み合わせることで資産配分の幅を広げる選択肢として、ゴールド・債券・NASDAQ100・日本株など具体的な選択肢を紹介します。さらに、年代や資産状況、リスク許容度に応じた配分比率の考え方もあわせて解説します。

「オルカン1本でいいのか不安」「何を、どのくらいの割合で組み合わせればいいかわからない」という方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. オルカン1本では足りないと言われる理由

1-1. 米国比率が高い「分散しているようで偏っている」構造

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)に連動することを目指すインデックスファンドです。先進国・新興国あわせて世界中の多数の銘柄に投資しており、「これ1本で世界中に分散投資できる」という手軽さから、NISAの人気ファンドランキングでも常に上位に位置しています。

しかし、その中身を詳しく見ると、国別の構成比率では米国が大半を占める構造となっており、オルカンに投資した資金の半分以上は実質的に米国株に投じていることになります。最新の構成比率は各ファンドの月次レポートや交付目論見書で確認できます。

この偏りが生まれる理由は、オルカンが時価総額加重平均方式を採用しているためです。世界の株式市場で時価総額が大きい企業ほど、組み入れ比率が高くなる仕組みとなっています。現在、米国のメガテック企業が世界の時価総額ランキングの上位を独占しているため、結果的に米国への集中度が高くなります。

これは分散投資の効果を損なうものではありませんが、世界経済の実態を反映した結果として、米国市場の影響を受けやすい構造になっている点は理解しておきたいポイントです。 

1-2. 株式100%ゆえに避けられない大幅下落リスク

オルカンの投資対象は100%が株式です。債券やゴールド(金)、不動産(REIT)といった他の資産クラスは組み入れられていません。

株式は長期的に高いリターンが期待される資産クラスの一つですが、その一方で、価格変動も大きいというリスクがあります。

過去の主要な暴落局面では、世界の株式市場は大きく下落しました。例えば内閣府「平成21年度 年次経済財政報告」によると、2008年のリーマンショックを契機に世界的規模で株価が大幅に下落したことが示されています。

また経済産業省「令和2年版 通商白書」によると、2020年の新型コロナウイルス感染拡大局面では、年初より世界の主要株価指数が3割ほど低下する時期もあったとされています。

暴落イベント株価の動き(公的資料による)主な特徴
リーマンショック(2008年)世界的規模で株価が大幅に下落回復には数年を要した(注1)
コロナショック(2020年)年初より株価が3割ほど低下する時期もあった比較的短期間で回復に向かった

※内閣府「平成21年度 年次経済財政報告」(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09b02010.html)および経済産業省「令和2年版 通商白書」(https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2020/pdf/2020_zentai.pdf)を基にファーストパートナーズ作成。記載は過去のデータであり、将来の市場の動きを示すものではありません。

(注1)市場の回復期間は基準により異なりますが、日経平均株価は2007年時点の高値水準を回復するまでに数年規模を要したとみられます(出所:日経平均株価推移データをもとにファーストパートナーズ作成)

市場の変動要因は複合的であり将来再現するとは限りませんが、2024年8月には日銀の追加利上げや米国の雇用統計悪化を受けた投資家心理の悪化、急速な円高の進行などが重なり、世界的な株価急落局面が生じたとされ、全世界株式の基準価額も短期間で大きく下落したとみられます(出典:日本銀行公表資料「7月31日金融政策決定会合における利上げ決定内容」)。

長期投資を前提にすれば、こうした下落は運用過程で起こり得る値動きの一部と考えることもできます。しかし、退職後の取り崩し期などにこの規模の下落が起きれば、資産寿命に直接影響します。また、まとまった資金を運用している経営者や高所得者にとっては、資産額の絶対値での減少幅が大きくなるため、心理的な負担が大きくなるケースもあります。

こうした価格変動リスクを低減させる手段として、株式以外の資産クラスを組み合わせるという選択肢が考えられます。

1-3. 為替・新興国比率など見落とされがちな弱点

オルカンには、米国偏重と株式100%以外にも、見落とされがちな弱点がいくつかあります。

① 為替リスクがヘッジされていない

オルカンは為替ヘッジなしで運用されています。つまり、投資先の通貨(主に米ドル)に対して円高が進めば、株価が横ばいでも基準価額は下落します。

2024年7月〜8月の急落局面では、株式市場の下落に加えて急速な円高(ドル安)が重なったことが、基準価額の下落幅を拡大させました。為替変動は投資家がコントロールできないリスクであり、資産の大部分が外貨建てであるオルカンでは常に意識しておく必要があります。

② 新興国の比率が低い

オルカンには新興国株式も組み入れられていますが、時価総額加重方式を採用しているため、全体に占める比率は先進国と比べて小さくなっています。

そのため、新興国の成長性により積極的に期待したい投資家の中には、新興国株式ファンドを追加で組み合わせるケースもあります。

③ 小型株が含まれていない

オルカンのベンチマークであるMSCI ACWIは、大型株・中型株で構成されており、小型株は含まれていません。小型株は大型株と比べてボラティリティが高い一方で、追加的なリターンが期待できる可能性があります(ただしこの効果が常に得られるとは限りません)。

より広範な分散を求める投資家は、小型株を含む全世界株式型ファンドを検討する場合もあります。

2. オルカンと組み合わせる目的別の考え方

オルカンと他のファンドを組み合わせる際は、 「何のために組み合わせるのか」を明確にすることが重要です。

目的が曖昧なまま複数のファンドを買い足すと、分散投資をしているつもりが、実際には似たような銘柄や地域に重複して投資しているケースも少なくありません。 

ここでは、オルカンに他の資産を組み合わせる目的を4つに整理します。自分がどのタイプに当てはまるかを確認してから、第3章の具体的なファンド選びに進んでください。

・リターンをさらに高めたい
・リスクを抑えたい
・暴落・地政学リスクに備えたい
・インカム(定期収入)を得たい

2-1. リターンをさらに高めたい場合

オルカンは世界中の株式に分散している一方で、特定の市場やテーマが急成長しても、その恩恵がポートフォリオ全体に与えるインパクトは限定的になります。

「もっと攻めたい」と考える場合の方向性は、特定セクターへの集中投資(例:NASDAQ100でテクノロジー比率を引き上げる)、成長期待の高い地域への上乗せ(例:インド株・新興国株式の追加)、アクティブファンドの併用(インデックスを上回るリターンを狙う)などが挙げられます。

ただし、リターンの上乗せを狙うということは、その分リスクも高まるということです。「リターンだけ上がってリスクは変わらない」という都合のいい組み合わせは基本的に存在しません。この点は冷静に理解しておきたいです。

2-2. リスクを抑えたい場合

オルカンは株式100%のファンドであるため、資産全体の値動きを穏やかにしたいなら、株式とは異なる値動きをする資産を加えることが選択肢になります。

資産クラス全世界株式との相関特徴
国内債券低い円建てで為替リスクなし。値動きが極めて小さい
ゴールド(金)低いインフレ・有事に強い。利息・配当はなし
先進国債券(投資適格)やや低い為替リスクあり。金利上昇局面では価格下落
国内REITやや低い分配金利回りが高い。金利動向の影響を受ける

※ファーストパートナーズ作成(各資産クラスの特性を整理したもの)

ポイントは、「株式が下がったときに、同じ動きをしない可能性が高い資産」を組み入れることです。株式が下落しても、債券やゴールドが値を保つ(あるいは上昇する)ことで、ポートフォリオ全体の下落幅を抑える効果を一定程度期待することができます。

2-3. 暴落・地政学リスクに備えたい場合

ここでは平常時のボラティリティではなく、想定外のショック(テールリスク)への備えに焦点を当てます。

具体的には、米国発の金融危機(リーマンショックの再来)、地政学リスクの急激な拡大(台湾有事、中東紛争の激化など)、急激な円高・ドル安(日銀の政策変更、米国の景気後退など)といったシナリオです。

こうした局面で「保険」として機能しやすい資産の一つがゴールド(金)です。ゴールドは、株式市場が暴落した際に資金の逃避先として買われやすく、特に地政学リスクが高まる局面では上昇しやすい傾向があります。

また、円建て資産(国内債券・日本株)の比率を意図的に高めることで、円高による為替差損のダメージを軽減するという考え方もあります。

暴落への備えは、「起きてから考える」では手遅れです。平常時のうちに、ポートフォリオの一定割合を「守りの資産」に振り分けておくことが重要になります。

2-4. インカム(定期収入)を得たい場合

オルカンは分配金を出さない方針で運用されています。得られた配当や利息はファンド内で自動的に再投資されるため、複利効果を最大限に活かせる設計です。

しかし、投資の目的が「資産を増やす」ではなく「定期的な収入を得る」という場合には、オルカン単独投資で実現することは難しいでしょう。

退職後に資産を取り崩しながら生活費に充てたい場合や給与以外のキャッシュフローを確保したい経営者、不動産収入のように定期的に入ってくる収入源がほしい場合などが該当します。

インカムを得る手段としては、高配当株ファンド(国内・海外)やREIT(不動産投資信託)が代表的です。ただし、インカムを受け取るということは、その分の資金が再投資に回らないため、長期の資産成長とはトレードオフの関係にあることは理解しておきたい点です。

3. オルカンと組み合わせるおすすめファンド・資産

第2章で整理した「目的」に対して、具体的にどの資産・ファンドを組み合わせればいいのでしょうか。ここでは6つの選択肢を、それぞれの特徴・メリット・注意点とともに解説します。

※本章で挙げる商品・指数名は説明のための例示であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。具体的な商品選定はご自身の判断で行ってください。

3-1. ゴールド(金)|暴落耐性とインフレヘッジとして機能

向いている目的:リスクを抑えたい/暴落・地政学リスクに備えたい

ゴールド(金)は、株式と値動きの相関が低く、ポートフォリオの「保険」として選ばれることの多い資産の一つです。株式市場が暴落する局面で資金の逃避先として買われやすく、インフレが進行する局面でも実物資産として価値が保たれやすいです。地政学リスク(戦争・紛争など)が高まると上昇しやすい一方、利息や配当は生まれません。

ゴールドは長期的に株式ほどのリターンは期待できません。あくまで「守り」の資産として、ポートフォリオの一部に組み入れる考え方が知られています。どの程度組み入れるかは、リスク許容度や運用目的に応じて検討する必要があります。

3-2. 債券(先進国債券・国内債券)|ポートフォリオの守備力強化

向いている目的:リスクを抑えたい/暴落に備えたい

債券は、株式とは異なる値動きをする代表的な資産クラスです。特に国内債券は株式との相関が低く、ポートフォリオの安定剤として機能します。

「とにかくポートフォリオの安定性を高めたい」という場合には国内債券が選択肢の一つとなります。円建てのため為替リスクがなく、株式が急落する局面でも基準価額の変動が極めて小さいです。

一方、先進国債券は国内債券より利回りが高い傾向がありますが、為替ヘッジなしの場合はドルやユーロの値動きの影響を受けます。具体的な信託報酬や運用方針は、各ファンドの交付目論見書でご確認ください。

3-3. NASDAQ100|成長領域への集中投資でリターン上乗せ

向いている目的:リターンをさらに高めたい

NASDAQ100は、米国のNASDAQ市場に上場する時価総額上位100銘柄(金融セクターを除く)で構成される指数です。個別企業の状況は変動するため一概には言えませんが、NASDAQ100の構成上位には世界的な大手テクノロジー企業が多く名を連ねる傾向があります。

対象期間や算出条件によって結果は異なり将来の成果を保証するものではありませんが、過去の長期リターンはS&P500を上回る局面があったとされます。その分、下落時の振れ幅(ボラティリティ)も大きいです。

オルカンは既に米国比率が高いため、NASDAQ100を加えると米国比率がさらに上昇します。つまり、NASDAQ100との組み合わせは「分散を強化する」のではなく、「意図的に米国テクノロジーへの賭けを大きくする」という選択です。

※NASDAQ100の過去のリターン傾向は過去のデータに基づくものであり、将来の運用成果を約束するものではありません。また企業名・指数名は説明のための例示であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

3-4. 日本株・高配当株|地域分散とインカム獲得の両立

向いている目的:インカムを得たい/為替リスクを軽減したい

オルカンに占める日本株の比率は限定的です。日本に住み、日本円で生活する投資家の中には、円建て資産の比率を意図的に引き上げたいというニーズがある人もいるでしょう。

為替リスクの軽減、身近な企業への投資による納得感、高配当株なら定期的な配当収入が期待できる可能性があります。

注意点として、高配当株ファンドは分配金を受け取れる反面、分配金に課税されるため、NISAの非課税枠を使わない場合は税負担が発生します。また、配当金を受け取ると再投資に回る資金が減るため、長期的な複利効果はオルカン単独より薄れる可能性があります。

3-5. 8資産均等型・4資産均等型|バランス型による補完

向いている目的:リスクを抑えたい/手間をかけずに分散したい

「オルカンだけでは株式100%で不安だが、自分で債券やゴールドを組み合わせるのは面倒」という場合、バランス型ファンドを1本追加する方法があります。

たとえば「オルカン70%+8資産均等型30%」にすると、ポートフォリオ全体の株式比率は約80%、債券・REIT等が約20%という構成になります。完全な株式100%よりもリスクを抑えつつ、成長性はオルカンで確保するバランスです。

※上記の比率は運用例であり、特定の配分を推奨するものではありません。将来の運用成果を約束するものではありません。

3-6. 新興国株式・テーマ型ファンド|成長領域への上乗せ

向いている目的:リターンをさらに高めたい

オルカンに占める新興国株式の比率は限定的です。今後の人口増加・経済成長が期待されるインドや東南アジアへの投資比率を高めたい場合、新興国株式ファンドを追加する選択肢があります。

テーマ型ファンド(AI・半導体・クリーンエネルギーなど)も存在しますが、テーマの旬が過ぎると急落するリスク、信託報酬が高めの傾向、組入銘柄数が少なく個別企業リスクが高い点に注意が必要です。テーマ型はあくまでポートフォリオの「スパイス」として、ごく少額にとどめるという考え方もあります。

4. オルカンとの組み合わせで効果が発揮されにくいものは

4-1. S&P500|米国比率がさらに高まり分散効果が薄れる

「オルカンとS&P500を両方買えば、より安心では?」と考える人も一定数います。しかし、分散効果という観点では、この2つを組み合わせる意味は実はあまりありません。

その理由は中身が大幅に重複しているからです。オルカンは時価総額比重方式をとっているため中身の大半は米国株であり、上位銘柄もS&P500とほぼ共通します。両ファンドの値動きは似通っており、同じ方向に動いていると考えてよいでしょう。

オルカンにS&P500を組み合わせるほど、ポートフォリオ全体の米国比率はさらに高まります。世界分散というより米国集中に近い構造に変わっていく点に注意が必要です。

ただし、「米国の成長に確信があり、意図的に米国比率を高めたい」という明確な目的がある場合は、S&P500の追加は合理的な選択になり得ます。

4-2. 先進国株式|投資対象の重複が大きい

日本を除く先進国に投資する先進国株式型のファンドは、オルカンの構成の大半も先進国(特に米国)で占められているため、その投資対象がオルカンの中身の大部分と重複しています。

先進国株式をオルカンに追加すると、実質的には先進国(特に米国)の比率をさらに引き上げ、新興国と日本の比率を薄めることになります。S&P500との組み合わせと同様、「分散強化」にはなりません。

4-3. レバレッジ型ファンド|長期運用に不向き

「NASDAQ100の2倍の値動きを目指す」「S&P500の3倍ブル」といったレバレッジ型ファンドも、一部の投資家に根強い人気があります。しかし、レバレッジ型ファンドはオルカンとの長期の組み合わせには原則として不向きです。

その理由は3点あります。第一に、逓減リスク(ボラティリティ・ドラッグ)。相場が上下を繰り返す局面では、元の指数が同水準に戻ってもレバレッジ型は目減りする構造的問題があります。

第二に、コストが高いこと。レバレッジ型は通常のインデックスファンドよりも信託報酬が高くなる傾向があります。

第三に、大幅下落時のダメージが大きいこと。下落の影響もレバレッジ倍率で拡大するため、元の指数に戻るまでに大幅な上昇が必要となります。

レバレッジ型は短期トレード向けの商品であり、「オルカンをコアに据えてコツコツ積み立てる」というスタイルとは根本的に相容れません。

5. 比率はどう決める?年齢・リスク許容度別の配分例

「何を組み合わせるか」が決まっても、「どのくらいの比率で持つか」が決まらなければポートフォリオは完成しません。配分比率に唯一の正解はありませんが、判断軸は明確です。それは「自分がどれだけのリスク(下落)に耐えられるか」という一点に尽きます。

ここでは、年齢・ライフステージ・資産規模別に4つのモデルケースを示します。あくまで「考え方の出発点」であり、最終的には自分の収入・支出・家族構成・投資経験を踏まえて決定してください。

※本章で示す配分は、いずれもファーストパートナーズが作成した運用例(モデルケース)であり、特定の配分・銘柄の売買を推奨するものではありません。将来の運用成果を約束するものではありません。

5-1. 20〜30代|成長性重視のアグレッシブ型ポートフォリオ例

資産比率役割
オルカン80%コア。世界全体の成長を取り込む
NASDAQ10020%サテライト。テクノロジーの成長でリターン上乗せ

※ファーストパートナーズ作成(運用例)市場環境や個の資産況により最適な配分は異なり、将来の運用成果を約束するものではありませが、上記はあくまで一般的な目安としての一例です。際の配分は、ご自身の判で決定することをおすすめします。

好調時はオルカン単独より高いリターンが期待できますが、暴落時はNASDAQ100の下落幅が大きく、ポートフォリオ全体の下落率はオルカン単独より大きくなる可能性があります。

「多少の振れ幅は気になりません。暴落時は安く買えるチャンスと思える」というメンタリティの人に向いています。

5-2. 40〜50代|成長と守りのバランス型ポートフォリオ例

資産比率役割
オルカン60%コア。成長性は維持しつつ比率を抑える
ゴールド(金)15%暴落時の保険。株式との相関が低い
国内債券15%安定剤。為替リスクなしで値動きが小さい
高配当株(日本株)10%インカム確保。円建てで為替リスク軽減

※ファストパトナズ作成(運用例)市場環境や個の資産況により最適な配分は異なり、将来の運用成果を約束するものではありませが、上記はあくまで一般的な目安としての一例です。際の配分は、ご自身の判で決定することをおすすめします。

ゴールドと国内債券をあわせて30%持つことで、ポートフォリオの「守備力」を明確に高めています。株式が急落する局面でも、ゴールドは逆行高になりやすく、国内債券はほぼ横ばいで推移するため、「資産全部が同時に減る」という最悪のシナリオを避けやすい構造です。

5-3. 60代以降|守備重視・取り崩しを見据えたポートフォリオ例

資産比率役割
オルカン30%成長のエンジンは残しつつ、比率を抑える
国内債券40%ポートフォリオの土台。為替リスクなし
ゴールド(金)15%インフレヘッジ+暴落時の保険
高配当株(日本株)15%配当収入で生活費の一部を補填

※ファストパトナズ作成(運用例)市場環境や個の資産況により最適な配分は異なり、将来の運用成果を約束するものではありませが、上記はあくまで一般的な目安としての一例です。際の配分は、ご自身の判で決定することをおすすめします。

取り崩し期に暴落が重なる現象は「シーケンス・オブ・リターンズ・リスク(収益順序リスク)」と呼ばれ、運用期間の初期に大幅な下落が起きると、その後相場が回復しても資産が想定どおりに持たないケースがあります。

60代以降は「いかに増やすか」ではなく、「いかに減らさないか」がポートフォリオ設計の最優先課題となります。

5-4. 経営者・高所得者向け|まとまった資産を活かす設計例

資産比率役割
オルカン50%コア。NISAのつみたて投資枠で非課税運用
ゴールド(金)20%暴落・地政学リスクへの備え
国内債券10%安定剤。急な資金ニーズへの備えも兼ねる
高配当株(個別 or ETF)20%インカム確保。配当金で資金繰りを補完

※ファストパトナズ作成(運用例)市場環境や個の資産況により最適な配分は異なり、将来の運用成果を約束するものではありませが、上記はあくまで一般的な目安としての一例です。際の配分は、ご自身の判で決定することをおすすめします。

資産額が大きいほど「率」より「額」で考える必要があります。たとえば資産1億円の場合、20%の下落は2,000万円の評価額減少に相当します。比率では同じ下落幅でも、金額のインパクトが桁違いに大きいです。

守りの資産(ゴールド・債券)の比率を意識的に高める必要性は、資産額に比例して増します。

経営者は事業からのキャッシュフローがあるため、運用資産を生活費の取り崩しに充てる必要がないケースが多いです。これは一般の会社員にはない大きなアドバンテージです。取り崩す必要がないなら、暴落時にも「待つ」ことができます。

投資額が大きい場合、投資信託のほかにもETF(国内・海外上場)、個別株、不動産、ヘッジファンド型の私募ファンドなど、選択肢が広がります。法人口座での運用や、相続・事業承継を見据えた資産設計は、ポートフォリオの比率だけでは完結しない領域です。

税理士やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)と連携して、全体設計を行うことを強く推奨したいです。

6. オルカンと他資産を組み合わせる際の注意点

6-1. 組み合わせすぎは管理コストとリターンを下げる

ファンドを増やしすぎると、分散効果よりも弊害のほうが大きくなります。管理が煩雑になり、重複が生まれやすく、ポートフォリオの5%未満の資産は上がっても全体への寄与がほぼゼロとなります。

目安として、組み合わせるファンドは多くても3〜4本が現実的なラインです。オルカンをコアに据えて、目的に応じてサテライトを1〜2本加えるシンプルな構成が、管理のしやすさとリターンの両面で優れています。

6-2. リバランスの適切なタイミングと実務的な方法

複数の資産を組み合わせると、時間の経過とともに各資産の比率が当初の設定からズレていきます。このズレを修正して元の配分に戻す作業が「リバランス」です。

方法頻度メリットデメリット
定期型年1〜2回ルールが明確で迷わない相場に関係なく機械的に実行
乖離率型当初比率から±5%以上ズレた時大きなズレだけを修正できる定期的なチェックが必要

※ファーストパートナーズ作成(リバランス手法を整理したもの)

最もシンプルなのは、「売らずに買い足す」方法です。翌月以降の積立を比率が下がった資産に多めに振り分けることで、売却コスト(税金・手数料)を発生させずに比率を修正できます。

NISA口座の場合は特に注意が必要です。NISAで保有している資産を売却すると、その分の非課税枠は翌年まで復活しません。安易な売却は非課税枠の浪費につながるため、NISA内のリバランスは「買い足し」で調整するのが基本と考えたいです。

6-3. NISA・iDeCoなど制度との最適な組み合わせ方

資産配分を決めたら、次に考えるべきは「どの資産を、どの制度(口座)で持つか」です。NISA・iDeCo・特定口座にはそれぞれ税制上の特徴があり、同じ資産でも置く場所によって手取りのリターンが変わります。

制度税制上の特徴向いている資産
NISA(つみたて投資枠)運用益が非課税。対象は金融庁指定の投信のみオルカン(コア資産を非課税で長期運用)
NISA(成長投資枠)運用益が非課税。投信・ETF・個別株が対象ゴールド、高配当株、NASDAQ100
iDeCo掛金が全額所得控除。原則60歳まで引き出し不可国内債券、先進国債券(高所得者に有利)
特定口座運用益に20.315%課税上記の枠に収まらない分の資産

※金融庁「NISAを知る」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html)、国税庁「No.1476 特定口座制度」および厚生労働省「iDeCoの概要」を基にファーストパートナーズ作成

配置の基本的な考え方は、「値上がり益が大きくなりそうな資産ほど、非課税口座(NISA)に入れる」というものです。

オルカンやNASDAQ100のような株式ファンドは長期で大きなリターンが期待できるため、優先的にNISAに入れ、国内債券のようにリターンが小さい資産は特定口座やiDeCoに回すのが効率的です。

iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、所得税率が高い経営者・高所得者ほど節税メリットが大きいです。ただし原則60歳まで引き出せないため、流動性が不要で「置いておくだけ」の資産を入れるのに適しています。

7. まとめ

オルカンは「これ1本で全世界に分散投資できる」という点で、優れたファンドです。しかし、その中身を詳しく見れば、米国比率の高さ・株式100%・為替ヘッジなしという構造上の偏りがあります。

この偏りを理解したうえで、自分の目的に合った資産を必要な分だけ組み合わせることが重要であることが、この記事で伝えたかったことです。

ファーストパートナーズでは、富裕層・資産形成層の方々に対して、ニーズに寄り添ったさまざまなサービスのご提案を行っております。

※ご相談は無料で承っておりますが、その内容により、個別の商品・銘柄・売買の方法・時期等に言及する場合があります。

<投資信託に関する留意事項>

投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。

投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客さまが実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。

ご投資にあたっては、商品概要や目論見書(目論見書補完書面)をよくお読みください。

<iDeCoに関する留意事項>

金融商品仲介業者であるファーストパートナーズは、特定の商品への投資について指図を行うこと、または指図を行わないことを勧めるものではありません。

本コラムの内容は、情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。

投資対象、投資機会の選択などの投資に係る最終決定は、お客さまご自身の判断でなさるようにお願いいたします。

<NISAのご注意事項>

 配当金等は口座開設をした金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。NISA口座で国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

 同一年において1人1口座(1金融機関)しか開設できません。

 NISAで購入できる商品は金融機関が指定する商品に限られます。

 年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。

 損失は税務上ないものとされます。

 出国により非居住者に該当する場合、原則としてNISA口座で上場株式等の管理を行うことはできません。

 つみたて投資枠では積立による定期・継続的な買付しかできません。

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千田 健太

早稲田大学卒業後、大和証券入社。横浜支店、渋谷支店、本店営業部に計12年在籍後、FPとして独立。
大和証券では個人・法人の資産コンサルタントとして多数のお客様を担当し、社長賞・MVPを多数受賞。
現在は「より多くのお客様によりで頼られる担当者」になるべく、ファーストパートナーズにて有価証券運用だけでなく、不動産、M&A、税制対応のアドバイスを行っております。
お客様と目標を共有し、お客様の人生に寄り添えるプライベートバンカーを志しております。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

資産・不動産・M&Aまで対応

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