IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の金融機関に所属せずに資産運用のアドバイスを行う金融のエキスパートです。「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれます。
顧客一人ひとりのニーズにあわせて、最適な資産運用プランを提案してくれるため、資産運用を検討している人の相談先として注目されています。
この記事では、IFAとは何か、FPとの違い、メリットや注意点、選び方など、IFAに関する基本的な情報をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
1.IFAとは何か?わかりやすく解説
IFAとは、Independent Financial Advisorの略で、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれています。
一人ひとりの資産状況やライフプラン、リスク許容度などを丁寧にヒアリングし、適切な資産運用プランを提案してくれる専門家です。
特定の金融機関に所属していないため、中立的な立場でアドバイスを提供できることがIFAの大きな特徴です。
IFAに運用相談を行い提案を依頼すると投資信託、株式、債券など、幅広い金融商品の中から顧客に適した商品を選び、資産のポートフォリオを提案してくれます。
また、金融商品以外にも相続対策、税金対策、不動産投資など、幅広い分野の知識を持っているIFAが多く、売買仲介の印象が強い金融機関の担当者よりも、顧客のライフプランに寄り添って、資産形成を総合的にサポートしてくれます。
2.IFAはどんな人に必要?
IFAに向いている人は、公正中立的な視点からより専門的なアドバイスを受けたいという人です。
・専門的なアドバイスをして欲しい・特定の商品に縛られず、自分に合う提案をしてほしい・中立的な立場で相談にのって欲しい・資産運用以外でも相談にのって欲しい |
IFAは、銀行や証券会社のような金融機関には所属しておらず、営業ノルマが無いため、所属している金融商品取引業者(証券会社など)の取扱商品の中から公正中立な立場でお客様に最適なご提案をすることができます。
またIFAは資産運用に限らず、以下のようなお困り事にも対応できるケースがあります。
不動産について | 〇居住用不動産の紹介〇投資用不動産の紹介〇海外不動産の紹介 など |
保険について | 〇生命保険について〇損害保険について〇保険料控除の活用について〇保険の持つ運用性について など |
相続について | 〇相続について〇生前贈与について〇事業承継について など |
他の金融機関の担当者よりも、より長い目で顧客のライフプランに寄り添ったアドバイスをすることが可能です。
3.IFAとFPの違い
IFAとFP(ファイナンシャルプランナー)は金融に関するアドバイスを提供する点で共通していますが、業務内容や必要資格に違いがあります。
IFAは特定の金融機関に所属せず、独立した立場で顧客に資産運用のアドバイスや金融商品の売買仲介を行います。
そのため、証券会社と業務委託契約を結び、金融商品取引業務を行うための「証券外務員資格」が必須です。
一方で、FPは「ファイナンシャルプランナー技能士」という国家資格や、「AFP」「CFP」といった民間資格を取得しており、金融全般の総合的な知識を持ち合わせていますが、「証券外務員資格」を取得し外務員登録をしていない場合は、具体的な金融商品の説明や投資判断を顧客にすることはできません。
あくまでも資産運用、保険、税金、不動産、相続など、ライフプランのアドバイスが専門になります。
4.IFA法人と証券会社の違い
IFA法人と証券会社の違いを取り扱い商品・アドバイスの選択肢の2つの観点から比較してみましょう。
比較することで、自分に合った相談先が見えてきます。
IFA法人 | 証券会社 | |
取り扱い商品 | 所属金融商品取引業者で取り扱いのあるの商品 | 自社で取り扱いのある株式や債券など |
得意とするアドバイス | ライフプランに関するアドバイス | 資産運用を中心としたアドバイス |
かかる費用 | 各金融商品取引業者で取り扱う金融商品の販売手数料 など | 自社で取り扱う金融商品の販売手数料 など |
〈取り扱い商品〉
IFA法人は複数の金融商品取引業者と業務委託契約をしている場合も多く、それら金融機関で取り扱いのある幅広い商品の中から、相談者にとっての最適な金融商品を選定・提案してくれます。一方で、証券会社は株式や債券など自社で取り扱いのできる特定の商品の中から資産運用の提案を行います。
〈得意とするアドバイス〉
IFAの中には、銀行・証券会社・保険会社・不動産などさまざまな金融機関出身の人がいます。そのため、資産運用だけではなく、保険や不動産活用、相続や事業承継など、金融に纏わる内容をワンストップでアドバイスが可能です。
それに対して、証券会社はあくまで資産運用を中心としたアドバイスを行っています。。
〈かかる費用〉
証券会社では、顧客から直接売買手数料を受け取っています。一方で、IFAは金融商品売買時に顧客が証券会社へ直接手数料を支払う手数料の一部から、報酬として受け取っているため、顧客から直接手数料を受け取ることはありません。ただし、相談料がかかるIFA法人もあるため、事前に確認が必要です。
5.IFAを選ぶメリット
IFAへの相談を検討する際には、メリットを理解しておくことが大切です。
5-1.一人ひとりに合ったオーダーメイドの資産運用プラン
IFAの最大のメリットは、一人ひとりに合ったオーダーメイドの資産運用プランを提案してくれることです。中立的な立場で、幅広い金融商品の中から適切なものを選定し、相談者のニーズに合ったポートフォリオを提案してくれます。
また、銀行や証券会社と比較すると、IFAは基本的には会社都合の異動や担当者変更がなく、長期的な関係性を構築しやすいこともメリットです。
5-2.資産運用以外も相談できる
IFAへ資産運用以外も相談することが可能です。
なかには「不動産を売却して証券投資の資金に充てたい」「親から受け取る相続資産を売却して新たに投資を考えたい」という声もあります。親が株式投資をしていて、そのまま相続する場合もあるでしょう。
そのときに1人のIFA(もしくはIFA法人1社)へ金融に纏わる内容をワンストップで相談することができれば、顧客にとって大きなメリットがあります。
不動産について | 〇不動産の購入・売却〇投資用不動産の利回り〇不動産のリフォームやリノベーション など |
保険について | 〇生命保険について〇損害保険について〇少額短期保険について〇保険料控除について〇終身保険の持つ運用性について など |
相続について | 〇相続について〇生前贈与について〇終活について 〇親の相続について など |
上記の不動産・保険・相続の相談内容は、あくまで一例です。また、専門知識が必要になります。
6.IFAを選ぶ際の注意点
IFAに相談する際の注意点も合わせて見ていきましょう。
6-1.手数料が割高になる可能性がある
よく、IFAを利用すると「手数料が割高になる」と言われることがあります。
たしかに、ネット証券のインターネットコースで自分で資産運用を行う場合に比べると手数料は高いです。
ただ、それはあくまでネット証券のインターネットコースと比較した場合であり、証券会社など対面コースで取引をする場合は、手数料水準はほとんど同程度だと言えます。また金融商品を売買したときの手数料や、投資信託の保有中にかかる信託報酬は、IFAに依頼したからといって変動するものではありません。
IFA利用時の手数料が割高だと感じる原因として、一般的な窓口では取り扱っていない専門的な金融商品(例えばヘッジファンドなど)に設定されている手数料が考えられます。
ただし、これら幅広い商品の選択は、分散投資の効果を高める目的などによるものです。そのため、手数料の増加が必ずしも悪いとは言い切れないため、よく検討することが必要です。
6-2.担当者によって知識やサービスの品質に差が出る場合がある
これは他の金融機関にも同様のことが言えますが、担当者によって知識やサービスの質に差が出る場合があります。
これまでの経験・実績・保有資格などから、多少なりともサービスの質には差が出てくるでしょう。
ひとつの目安としては、金融キャリアとしての活動実績が5年以上あれば、長いキャリアの中で様々な相場を見てきているため、プロフェッショナルとして評価できるでしょう。(「No1.IFAの選び方」を参照)
各IFAは所属するIFA法人のホームページなどでキャリアを掲載している場合もあるため、参考にしましょう。
7.IFA選びのポイント
相談するIFAを選ぶ際には、重視したい6つのポイントがあります。
7-1.センシティブなことを相談できるIFA
自身のセンシティブなことを話したり、ざっくばらんに相談できる相手であるかという点です。
IFAは資産運用だけではなく、家計における現状把握とその課題や、将来設計といった深い話をすることも多いです。
他人にはあまり話すことのできない子どもの教育、親の介護や相続などの話をすることもあるでしょう。何事も安心して相談できるIFAを選ぶことが大切です。
7-2.無料で何度でも相談が可能か
無料で何度でも相談できるIFAを選ぶようにしましょう。
2回目以降も継続的に質問やアポイントにも、プロフェッショナルとして応えてくれるIFAがおすすめです。
電話だけでなくメールやチャット、各種SNSツールの浸透によって、気軽にIFAに相談できる環境は次々と整備されています。
7-3.フィデューシャリー・デューティー(FD宣言)を公表している
金融庁が提唱する「顧客本位の業務運営に関する原則」にもとづいて作成した「フィデューシャリー・デューティー」(FD宣言)を公表しているかIFA法人であるか確認しましょう。
フィデューシャリー・デューティーとは、資産運用業務に従事する金融機関が投資家に対して負う責任のことです。金融庁は金融機関に対し、フィデューシャリー・デューティーを果たすことを求めており、金融機関は真に投資家のためになるように、商品開発や運用、販売を適切に行うべきとしています。強制的なものではありませんが、各社がこの原則を軸に営業活動を行っています。
内容はIFA法人の各社ホームページで閲覧することができますので、ぜひ参考にしましょう。
7-4.知識・経験の豊富さ
IFAを選ぶ目安として、景気の良いときはもちろん、景気の悪いときも市場の分析を重ね、顧客と向き合ってきたIFAを選びましょう。
知識はもちろん大切ですが、実際にそのIFAが専門家として様々な相場に向き合ってきたという経験則も、信頼できるIFAか否かを測るうえで重要な基準になります。
IFAとしての活動期間が長ければ、それだけで信頼できるというものではありません。ただし、長いキャリアを経験しているということは、様々な相場を見ているということです。
ひとつの目安ですが、金融機関において5年以上のキャリアがあれば、プロフェッショナルとして評価できるでしょう。
各IFAは所属するIFA法人のホームページなどでキャリアを掲載している場合も多いため、参考にしましょう。
7-5.所属しているIFA法人の実績を調べる
IFA法人が所属するIFAに対して手厚いフォローをしているかも重要です。IFA法人には、所属するIFAが顧客に対して「IFAとしての顧客ファーストの姿勢」を遵守できているかという管理能力が問われます。
IFAは各担当者の裁量が大きい分、顧客ファーストの資産ポートフォリオの構築や遵法精神の遵守において、高い倫理観が求められます。
特に顧客が高齢者である場合や、応用性のあるデリバティブ取引などを行う場合は、各証券会社のチェックプロセスを経て取引を行うようルールがあり、IFA法人にもそれらの管理体制が求められています。
7-6.担当者やIFA法人を複数比較する
最後に複数のIFAやIFA法人を比較し、相対評価で選ぶようにしましょう。
既出の記載に重複する部分もありますが、相対的にIFAを選ぶ基準は主に以下の点です。
・投資商品選びの知識
IFAとして最低限の知識が備わっているかどうかです。根本的な知識はもちろん、日々アップデートされる関連知識を吸収し、説明する能力があるかが問われます。かつ顧客には投資初心者の方もいれば投資慣れした方もいるので、レベルに合わせた説明力も欠かせません。
・対応の丁寧さと迅速さ
IFAに期待したいのは、投資商品の選び方のアドバイスだけではありません。ライフプランの相談や細事に対するアドバイスなど、「ライフプランナー」としての役割を期待したいものです。
そこで欠かせないのは、対応の丁寧さと迅速さです。担当のIFAとチャットやメールで連絡を取り合う方も多いと思いますが、反応の早さは大切です。
・相性
漠然としていますが、何となく「この人には相談をしても大丈夫だな」、「この人は信頼できるな」、という感覚は大切にしましょう。
特に資産運用は家計の状況およびライフプランという、相談者にとって非常にセンシティブな部分をざっくばらんに共有することになります。顧客とIFAとの関係において、相性の良し悪しは礎となる部分です。
8.IFAを利用する際に準備するポイント
IFAを利用する際に事前準備するポイントは、主に以下の2つです。
- ライフプランを作成して共有する
- いつまでにいくら運用益を確保したいのか明確にする
以下で各項目の詳細を解説します。
8-1.ライフプランを作成して共有する
資産部分だけではなく、ライフプラン全体を作成して共有するようにしましょう。
これをもとに、IFAは顧客のライフプラン全体から見た資産運用を、包括的にアドバイスできるようになります。
8-2.いつまでにいくら運用益を確保したいのか明確にする
ライフプランに応じて、何年後までにいくら運用益を確保したいのか明確にしておきましょう。
それらをIFAに伝えることによって、IFAは長期投資がいいのか、スイングトレード(短中期投資)が必要なのかを検討し、総合的にアドバイスを受けることができます。
すべての資産を同様に考えるのではなく、資産ポートフォリオのなかで「長期運用の銘柄とスイングトレードの銘柄」を分けることも大切です。
9.IFAに関するよくある質問
IFAに関する「よくある質問」をまとめました。IFAの費用や相談方法、取り扱い商品など、IFAのサービスについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
Q.IFAは、どのくらいの費用がかかりますか?
A.IFAに相談すると、主に売買手数料や運用手数料がかかります。また、多くのIFAでは相談手数料が無料ですが、相談料がかかるIFAもあります。
費用について不明な点がある場合は、事前に確認し、納得した上で契約を結びましょう。
Q.IFAは、どんな金融商品を取り扱っていますか?
A.IFAが取り扱っている金融商品は主に以下の通りです。
- 投資信託
- 株式
- 債券
- ETF(上場投資信託)
- 保険
上記の他にも様々な金融商品を扱っていますが、IFAによって取り扱っている商品が異なるため、事前に確認することが大切です。
また、IFAは中立的な立場で顧客にアドバイスを提供するため、特定の金融商品を強く勧められてしまうリスクが少ないことも特徴といえるでしょう。
10.まとめ
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に所属せず、中立的な立場で顧客の資産運用をサポートする金融のエキスパートです。一方、FP(ファイナンシャルプランナー)は、ライフプランニングのプロフェッショナルです。IFAは証券外務員資格を持ち、具体的な金融商品の提案や売買仲介が可能ですが、FPはこれらの業務を行うための資格を持たない場合、具体的な金融商品の提案や売買仲介は行えません。
そのため、IFAは投資信託や株式などの具体的な金融商品の提案や売買仲介が可能ですが、FPはライフプランに基づいた総合的な資金計画のアドバイスを提供します。
資産運用に特化したアドバイスを求める場合はIFA、希望のライフプランに対する総合的なアドバイスを求める場合はFPに相談するのが適切です。