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北島康介インタビュー 後編 「人が求める結果よりも、自分が求める結果を残す」

北島康介インタビュー 前編 「人が求める結果よりも、自分が求める結果を残す」の後編です。


【プレッシャーとの向き合い方】

あえて向き合わなかったです。プレッシャーは対外的なものですから。スタート台に上がったら1人。

プレッシャーがないといいパフォーマンスができないこともあるんです。人が求める結果よりも、自分が求める結果を残すことを最優先にしなきゃいけないと思いますね。

「記録を出さなきゃ」「なんとかしなくては」と思い込んでしまうタイプもいると思うんです。分かります。

水泳でいうと、リレーなんか特にそうなんですよ。他のメンバーに迷惑をかけられないというプレッシャーがかかってしまう。例えば、自分は世界ランキング1位だけど、次に泳ぐ選手は世界ランキング10位というケースもあります。

チーム内での実力差があったとしても、4人で1つの記録ですし、4人で1つのメダルです。「できないかもしれない」という不安がプレッシャーに繋がります。その不安要素を排除していく作業が、日々の練習だと思います。

当時はいろいろな議論がありましたが、自分なりに行動で意思を示した、という感じでした。

ただ、その議論や問題を選手が背負うのはちょっと違うなとも思って、アクションを起こしました。

ただ現実として、それを着なければ金メダルを取れないのであれば、「着ない」という選択肢はありません。何を言われようと結果は大きく変わってしまいますから。

オリンピックは記録以上に金メダルに価値がある舞台です。だからこそ、その時は自分の考えをはっきり伝えるしかない、という思いでした。

泳ぎのリズムなどを確認するために見ていました。自分の泳ぎを立体的に把握するためには、映像で振り返ることが必要だと思っていたので。

どこを修正すべきかとか、逆に良かった点はどこかとか、そういうところをざっくりですがチェックしていました。予選が終われば予選の映像を、準決勝が終われば準決勝の映像を、という形でその都度確認していましたね。

ただ僕が見なくても、細かい分析については専門のスタッフがやってくれていたので、最終的には自分の感覚に委ねていた感じでした。

指導者になることは、これまであまり考えたことはないですね。指導者になると、常に水泳のことを考えていなきゃいけないと思うので。それは僕には難しいと思っています。

ただ、子どもたちに教えること自体は楽しいんですよ。現役時代もオフの時に全国を回って子どもたちと接すると、逆に「自分ももっと頑張ろう」と刺激をもらうこともありました。でも、そういう関わり方と、いわゆる“指導者”という立場は、少し違うものなのかなと思っています。


【お金とキャリア、そしてこれからの挑戦】

10代の頃は母親に管理してもらっていましたが、それ以降は自分で管理しています。

難しいですよね。使い方自体は変わってきていると思いますが、基本的にはずっと「自分への投資」という感覚が強かったですね。

年齢を重ねるにつれて、自分への投資額も自然と大きくなってきました。現役時代は日本コカ・コーラさんのサポートを受けてプロになりましたが、競技力を高めるための環境にはしっかりお金を使っていました。

例えば、トレーナーさんを海外まで呼んだり、エコノミークラスで移動していたのをビジネスクラスにして体への負担を減らすとか。そういった変化はありましたね。

競技に向き合う姿勢やトレーニングといった、やるべきこと自体は、正直あまり変わらなかったですね。

ただ、生活面では一人暮らしを始めたりして、環境は少し変わりました。

あとは一般的に、高い服を着るとか、高い車に乗るとか、そういうイメージはあると思うんですが、それはプロになったから急にというより、もしかしたらその前からそういうこともあったかもしれません(笑)。

そうですね。現役時代に起業してマネジメント会社を立ち上げましたが、目的は「お金を稼ぎたい」というより、自分の環境をより良くするためでした。

引退して10年が経って、考え方も変わってきていますし、守っていかなきゃいけないものも増えてきました。今は自分がプレイヤーじゃなくて、裏方としてサポートする立場です。

良いパートナーにも恵まれて、何とかここまで続けてこられているなと思います。水泳に関わる仕事もありますし、それ以外の仕事やプライベートも含めて、正直時間が足りないくらいですね。

それはそう思います。金融の専門家など、お金のスペシャリストの話は若いうちから聞いておくべきだと思いますね。

いくつかの会社に投資をしています。スポーツコンテンツを持っている会社が多いですね。現役時代の後半あたりから、そういう話をもらうことも増えてきました。

ただ、話自体は本当に多いので、しっかり選別することも大事だなと思っています。

国際社会の中で「強い日本のスポーツ」というポジションを築いていきたいと思っています。

単に選手を指導して強くするだけではなく、国際的なコミュニケーションや外交も重要です。そうした面でも、日本のスポーツが世界の中で存在感を示していく。その一助になれたらと思っています。

いやー、正直なところ、想像がつかないですね。実家が肉屋だったので、継いでいたかもしれません。

大学時代には、母校の高校で教育実習も経験しました。ちょうどオリンピックで金メダルを取った直後のタイミングだったのですが、現場で生徒たちと接する機会を持てたのはとても印象に残っています。

これといって決めているものはないんです。

でも、サインを頼まれた時には「平常心」って書いていますね。


〈プロフィール〉

北島 康介(きたじま こうすけ)

1982年9月22日生まれ。日本の元競泳選手(平泳ぎ)。東京都荒川区出身。
本郷高校、日本体育大学を経て、日本コカ・コーラに所属。2000年のシドニー五輪100m平泳ぎで4位に入賞。続く2004年アテネ五輪、2008年北京五輪において、100mおよび200m平泳ぎで2大会連続の個人種目2冠という日本競泳史上初の快挙を達成した。
2012年ロンドン五輪では400mメドレーリレーで銀メダルを獲得し、チームの躍進に貢献。現役時代は平泳ぎ両種目で幾度も世界新記録を樹立しており、2016年4月に現役を引退するまで、五輪4大会連続出場など輝かしい実績を残して日本の水泳界を牽引し続けた。
現在は会社経営の傍ら、東京都水泳協会会長ならびにJOC国際委員を務めている。

FPメディア編集部

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