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千葉真子インタビュー 後編 「自分の人生の主役は自分」涙も出ないほどの挫折から、再び前を向けた理由

千葉真子インタビュー 前編 「自分の人生の主役は自分」涙も出ないほどの挫折から、再び前を向けた理由の後編です。


【挫折と再起 ― どん底から立て直した思考】

いわゆる補欠で、チームの一員として本番を走ることはできません。

それまではどんな時でも、前向き思考で明るく考えられていたんですが、オリンピックに出場できないという現実を前にして、この時ばかりは自分の競技人生を全否定されたような気持ちになってしまいましたね。

1週間くらいずっと部屋にこもっていました。本当に辛い時って涙も出ないんだなと思いましたね。これまでで一番大きな挫折を味わいました。

でも1週間後にようやく自分の部屋から出て、いつものジョギングコースを走ったんです。一度は下を向いたけれど、「自分の人生の主役は自分なんだから、一歩一歩マイペースでいいからまた前に進めばいい」と思い直すことができました。

今振り返ると、なぜあの時あんなふうに前向きに考えられたのか不思議なんですが、その時に走っていたからじゃないかなって思ったんです。歩くとか、走るって、体が自然と前に進むじゃないですか。そうすると、気持ちも一歩前に踏み出せるような気がするんです。科学的にも、有酸素運動は、自律神経を整える効果があるとも言われていますし、実際に私も陸上を始めてから、体だけじゃなく心も強くなったと感じています。

市民ランナーの方を見ていても、「走るようになって元気になった」という方が多くて、そういう姿を見ていて、私は走ることに救われたんだなと思います。

自分自身が挫折して、そこから前を向くことができた経験が、今のお仕事にもつながっています。

市民ランナーの皆さんは、お仕事が終わってから練習に行かれたりするので、それを見ると「私だったら絶対にできない」と思うので、すごいなと感じます。逆にこちらが力をもらっていますね。

最近、長女が「音楽を聴きながら勉強をすると、捗るんだよね」と言うんです。友達もみんなそうしてるって言うんですけど、私はどうしても「音楽を聴きながら勉強なんて、できるわけない」と思ってて。でも調べたら、音楽を聴くことで集中力が上がるという実際にそういう効果もあるらしくて。

自分の固定観念だけで何事も決めつけつけず、多様性や柔軟性を大事にすることが必要だなと感じました。指導する立場になっても、いろいろ学ぶことは多いです。


【プレッシャーとの向き合い方 ― 時代とともに変わる重圧】

当時は今のようなネット社会ではなく、SNSもなかったので、重圧を強く感じることはあまりなかったですね。

自分が速いから代表に選ばれているわけですし、「文句があるなら、私より速く走ってみてよ」と思っていましたね。

ただ、今の時代はやっぱり大変だと思いますよ。

あれだけ苦しい練習を積んでいるのに、結果が出なければ、その結果だけを見て厳しい言葉をたくさんかけられてしまいますから。

もし自分が今の環境にいたら、競技を続ける意味を見失っていたかもしれません。

駅伝はチーム競技ではありますが、やはり一人ひとりが強くなければ結果は出ません。なので、基本は個人競技という感覚でした。

ただ、自分が頑張る姿を見せることで、何かを感じ取ってもらえたらいいな、という思いはありましたね。

特にいなかったですね。

個人競技だったこともありますし、我が強いというか、自分の性格もあると思います。

高校に進む時も実業団に入る時もすべて自分で決めて、あとから親に「こうすることに決めたからよろしく」みたいな感じでした。

仮に相談したとしても、最終的には自分の意思を通したいタイプだと思います。


【人生設計とお金 ― 次のステージへの意思決定】

どこまで人に相談していいのか、誰を信頼すべきなのか、その見極めは難しいと感じています。

はい、自分で管理していました。

当時はほとんどなかったですね。

今は比較的オープンに話す人も増えていますが、昔はお金の話はどちらかというとタブーみたいな感じでしたよね。

ただ、もし今の時代だったら、ネットも含めていろんな情報があったりするので、周囲とも話しながら学ぶ機会は増えていただろうなと思います。

それは絶対あった方が良かったと思います。

コロナが流行ったあたりから、時間ができたこともあって、資産運用や投資について幅広く勉強を始めましたね。

今は自分で学びながら取り組んでいますよ。


【これからの挑戦】

今年の春から、指導者としての活動を始めました。

40代は子育てをしながら、コツコツと自分の陸上人生の集大成として準備をしてきました。

自分の人生設計では、50歳くらいから指導者になりたいなと考えていたんです。

それがちょうど良いタイミングでスタートできました。50歳にして1年生って面白いでしょ。

「夢力」(ゆめぢから)ですかね。

これまでも、夢を力に変えて頑張ってきましたし、多くの方に支えられてここまで来ることができました。是非、夢に力を貸して下さい。応援宜しくお願いします。


〈プロフィール〉

千葉 真子(ちば まさこ)

1976年7月18日生まれ。日本の元陸上競技選手(長距離走・マラソン)。京都府宇治市出身。
宇治高校(現・立命館宇治高校)を卒業後、実業団の旭化成に入社。トラック競技で活躍し、1996年のアトランタ五輪10000mで5位入賞。翌1997年の世界陸上アテネ大会では10000mで銅メダルを獲得し、日本女子トラック種目初のメダリストとなる。
マラソンへ転向後は2003年世界陸上パリ⼤会の⼥⼦マラソンで銅メダルを獲得し、世界陸上においてトラックとマラソンの両種⽬でメダルを獲得した⽇本初の選⼿となった。2004年と2005年には北海道マラソンで連覇を達成。2006年の現役引退後は、スポーツコメンテーターやゲストランナーとして陸上競技の普及に幅広く貢献している。

FPメディア編集部

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