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IPOかM&Aか、ではない”ハイブリッド型”出口戦略という第3の選択肢

IPOかM&Aか、ではない"ハイブリッド型"出口戦略という第3の選択肢

・IPOとM&Aのどちらを選ぶべきか判断できずに悩んでいる
・資金化したいが、経営権まで手放すべきか迷っている
・会社の成長を止めずに、後悔のない出口戦略を選びたい

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

M&A・資本政策の考え方に詳しいプロが、IPOかM&Aかの二択ではない「ハイブリッド型出口戦略」について解説します。

本記事を読むと、出口戦略に関する不安を解消でき、自社に合った選択肢を見極めるのに役立つでしょう。

目次

1. IPOとM&A—「どちらか一択」に潜む落とし穴

IPOとM&Aの落とし穴について、解説します。

1-1. IPOの”見えないコスト”

IPOは知名度向上や資金調達の面で魅力がありますが、準備に伴う負担まで含めて検討しないと判断を誤りやすい選択肢です。
経済産業省の2026年資料では、国内スタートアップのIPOは依然として小規模な傾向があり、上場後の成長停滞や、出口の多様化の必要性も示されています。


さらに、グロース市場では上場維持基準の見直しも進んでおり、上場そのものより、上場後にどう成長を続けるかが一層問われる流れになっています。

例えば、利益が伸びている企業であっても、内部管理体制の整備、開示対応、ガバナンス強化、主幹事証券会社や監査法人への対応などに経営資源を取られるケースが考えられます。

その結果、本来は営業や採用、商品開発に向けるべき経営者の時間が、上場準備に費やされてしまうこともあります。


上場はゴールではなく通過点であるため、これらの準備コストを吸収できる組織であるかどうかを事前に見極めることが不可欠です。
「上場できるか」だけでなく、「上場後も成長を継続できるか」まで見据えて判断することが重要です。

1-2. M&Aの”見えない代償”

M&Aは早期の資金化につながりやすい一方で、譲渡後の経営関与や会社の方向性が変化する可能性まで見据えておく必要があります。


中小企業庁は、M&Aを経営戦略を実現するための手段の一つと位置づけつつ、取引成立そのものに意識が偏り、M&A前後の取組が不足しやすい点を課題として指摘しています。

つまり、成約自体はできても、その後の統合や成長戦略が不十分であれば、経営者にとって満足度の低い出口となる可能性があるということです。

例えば、譲渡価格には納得できても、売却後に意思決定の自由度が低下したり、組織文化が変化したりするケースが考えられます。
また、買い手の意向によって人事や事業の優先順位が見直されることで、創業者が大切にしてきた会社のあり方にズレが生じる可能性もあります。


中小企業庁がPMIやM&A前後の支援不足を課題視しているのは、まさにこの「成約後」の重みが大きいためです。
M&Aは現金化のスピードだけで判断するのではなく、譲渡後の経営や企業価値の行方まで含めて検討することが重要です。

1-3. 「どちらかに決めなければ」という思い込みが判断を歪める

出口戦略で最も避けたいのは、IPOかM&Aかを早い段階で二者択一にしてしまうことです。
経済産業省は2026年資料において、IPO以外の出口の多様化が必要であると明記しており、政策面でも単線的な出口ではなく、複線的な選択肢が重視されています。


また、中小企業庁もPEファンドへの関心の高まりや、M&A前後の支援に対する期待を示しており、資本と成長支援を組み合わせる考え方は公的資料の方向性とも整合しています。

例えば、現時点では全面売却は望まないものの、創業者として資産の分散は進めたいというケースが想定されます。
この場合、IPOに一本化すると準備負担が大きくなり、M&Aに一本化すると経営権を失うことへの不安が強まります。

一方で、一部売却と成長支援を組み合わせることで、資金化と経営の継続を両立できる余地が生まれます。
最初から「どちらか一つ」と決めつけないことが、結果としてより良い意思決定に繋がると言えるでしょう。

2. 第3の選択肢「ハイブリッド型出口戦略」とは何か

第3の選択肢「ハイブリッド型出口戦略」とは何かについて、解説します。

2-1. ハイブリッド型の定義

ハイブリッド型出口戦略とは、創業者が株式の一部を売却して一定の資金化を図りつつ、外部資本と経営支援を取り入れて企業価値を高め、将来の上場や次の資本政策につなげる考え方です。


官公庁資料にこの用語自体が明確に定義されているわけではありませんが、中小企業庁はPEファンドによる支援やM&A前後の成長支援の重要性を示しており、経済産業省も資本支援と経営支援の両面を持つPEファンドの役割を紹介しています。


そのため、公的資料の文脈においても「売却」と「成長支援」を組み合わせる発想には十分な合理性があります。

例えば、創業者が保有株式の一部のみを外部に譲渡し、残りを保有したまま企業成長を継続するケースが考えられます。
この方法であれば、創業者は資産の一部を現金化しつつ、将来の企業価値上昇によるリターンも享受できる可能性があります。

また、外部株主の関与によって、採用、管理体制、事業戦略の高度化が進みやすくなる点も見逃せません。
すべてを一度に決めるのではなく 、段階的に出口へ向かう点がハイブリッド型の本質と言えるでしょう。

2-2. 株式の一部をPEファンドに売却→経営支援を受けてIPOへ

ハイブリッド型の代表例は、創業者が株式の一部をPEファンドへ売却し、その後、経営支援を受けながらIPOを目指す流れです。


中小企業庁のPEファンド実態調査によれば、バイアウト・ファンドは投資先に対して経営人材の派遣や常駐型支援人材の配置、取引先の紹介などを実施している割合が高く、資金提供にとどまらない実務支援を行っていることが確認されています。


さらに、PEファンドのEXIT先としてIPOも一定割合を占めており、PEの活用とIPOは対立する概念ではなく、連続性のある選択肢と捉えることができます。

例えば、社長一人に営業・採用・管理の判断が集中している企業では、上場準備に入る前に組織の骨格を整える必要性が生じやすいものです。


このような場合、PEファンドからの支援を受けてCFO人材の採用や管理体制の強化を進め、会議体の整備やKPI管理の導入を行うことで、IPOに向けた基盤づくりが進みやすくなります。


経済産業省も、PEファンドは資本支援と経営支援の両面から企業成長を促進する役割を担いうると整理しています。
上場前に外部の力を活用して企業価値を高めるという発想は、十分に現実的な選択肢といえるでしょう。

2-3. 創業者にとっての最大メリット——「経営権」と「キャッシュ化」の両立

創業者にとってハイブリッド型の最大の魅力は、経営への関与を維持しながら、資産の一部を現金化できる点にあります。
IPOでは換金まで時間を要する場合があり、全面売却を伴うM&Aでは経営権や将来の価値上昇余地を大きく手放す可能性があります。


その中間的な選択が可能であることが、この戦略の分かりやすい強みです。

例えば、創業者が生活基盤の安定や資産分散の観点から一定額を先に確保したい一方で、会社の成長にも引き続き責任を持ちたいと考えるケースが想定されます。


この場合、一部売却で手元資金を確保しつつ、残存株式で将来の企業価値向上を狙う構図は合理的です。
加えて、外部株主の参画により、経営の可視化や意思決定の質の向上が期待できる点も重要です。


「すべて売るか、まったく売却しないか」という二択ではなく、持分と経営関与の設計を柔軟に調整できる点に、この手法の実務上の大きな意義があります。

3. PEファンドはどう関わるのか

PEファンドはどう関わるのかについて、解説します。

3-1. PEファンドのビジネスモデルと投資期間の基本

PEファンドを理解するうえでは、一定期間で投資を行い、企業価値を高めたうえで回収するという基本的な仕組みを押さえることが重要です。


中小企業庁の実態調査によれば、回答ファンドの運用期間は8~10年、投資期間4~5年が中心であり、バイアウト・ファンドにおける個別案件の投資期間は3~5年が標準的と整理されています。


つまり、PEファンドは短期的な売買を前提とする存在ではなく、数年単位で企業価値の向上を目指すパートナーと捉えるのが実態に近いと言えます。

例えば、業績が伸びている企業であっても管理体制や人材面に課題がある場合、1年未満で大きく変革することは容易ではありません。


そのため、3~5年程度の時間軸で、採用、DX、営業体制、会議体、ガバナンスの整備を進めながら企業価値を高めていくアプローチが適しています。


このような投資期間の感覚を持っておくことで、PEファンドとの対話においても現実的な期待値を設定しやすくなります。

「すぐに売却して終わり」ではなく、「数年かけて企業を磨き、次の成長ステージにつなげる」存在と理解することで、その位置づけがより明確になるでしょう。

3-2. 資金の流れ:創業者の株式売却→ファンドからの成長資金注入→IPO準備

ハイブリッド型では、お金の流れを分けて捉えることが重要です。
創業者個人が保有株式の一部を売却して資金を得る流れと、会社が成長資金や経営支援を受ける流れは、それぞれ目的が異なります。

中小企業庁の調査や経産省の資料によれば、PEファンドは投資に加えて経営支援を組み合わせるケースが多く、企業にとっては成長を支える外部資本として機能しやすいことが示されています。

例えば、創業者は一部売却によって個人資産の安定性を高め、会社は別途、採用やシステム投資、管理体制の整備に必要な支援を受けるケースが考えられます。

このように資金の流れを切り分けて考えることで 、「創業者の資金化」と「会社の成長投資」を対立させることなく進めやすくなります。

そのうえで数年単位の体制整備を進めることで 、将来のIPOや次の資本政策へと移行しやすくなるでしょう。
資金の入口と出口を分解して捉えることは、実務上きわめて重要です。

3-3. ファンドが提供する「お金以外の価値」

PEファンドの価値は、資金そのものよりも、経営支援の厚さにあることが少なくありません。
中小企業庁の調査によれば、バイアウト・ファンドは経営人材の派遣、常駐型・非常駐型の支援人材の配置、取引先の紹介、コンサルティング会社等の紹介などを高い割合で実施しています。


経済産業省の事例集においても、PEファンド等は経営の高度化やグループ化を促進する触媒として期待されると整理されています。

例えば、財務責任者が不在で月次管理が十分に機能していない企業であれば、数字の可視化だけでも企業価値の評価が変わり得ます。
また、営業力はあるものの採用や管理体制が追いついていない企業では、経営人材の補強が成長の壁を破る契機となるでしょう。

このように、単なる資金供給にとどまらず、組織運営そのものを変革する支援が入る点が、銀行借入などとの大きな違いです。
ハイブリッド型を検討する際には、出資額だけでなく、「何を共に変革できるか」という観点でパートナーを見極めることが重要です。 

4. ハイブリッド型が向いている会社の3つの条件

ハイブリッド型が向いている会社の3つの条件について、解説します。

4-1. 年商5〜50億円で利益成長中だが、IPO準備に経営リソースが割けない

ハイブリッド型が適合しやすいのは 、事業は成長している一方で 、上場準備を社内リソースだけで回す余力が不足している企業です。


中小企業庁は、大規模・中規模M&Aにおいては 経験や人材の不足が課題になりやすいと指摘しており、自社のみで複雑な資本政策や成長施策を遂行することの難しさを示しています。

また、経産省資料でも、資本支援と経営支援を組み合わせる外部資本の有効性が示されています。

例えば、売上は順調に成長しているものの 、社長が営業責任者と採用責任者と管理責任者を一手に担っているケースが考えられます。
この状態でIPO準備まで進める と、通常業務と管理体制の整備を両立することが難しくなりやすいです。

そのため、外部支援を活用して管理体制を一段引き上げたうえで次の出口を目指す方が、結果的に企業価値を守れる場合があります。
成長している企業ほど、不足している機能を外部から補完するという視点が重要になるでしょう。

4-2. 創業者が「経営を続けたい」意思を持っている

創業者が引き続き会社を率いたいと考えている場合、ハイブリッド型は有力な選択肢になります。
全面売却では経営の主導権が大きく変わる可能性がありますが、一部売却を前提とした設計であれば、経営への関与を維持しやすくなります。


公的資料において、PEファンドは経営支援や成長支援の担い手として整理されており、必ずしも創業者の退任を前提とした存在ではありません。

例えば、社長自身が中長期の成長戦略を描いており、5年後の事業像まで明確に持っているケースが考えられます。
その一方で、個人資産の偏りや家族への備えといった観点から、一部は現金化しておきたいというニーズも自然なものです。

このような場合には、経営継続の意思を維持しながら資本政策を再設計することで、より納得感の高い出口になりやすくなります。
経営を続けたいという意思が強いのであれば、最初から全面売却のみ検討するのではなく、複数の選択肢を持っておくことが重要です。

4-3. 組織・ガバナンスの壁を外部の力で突破したい

企業が次の成長段階に進むには、売上拡大よりも先に、組織やガバナンス上の課題を乗り越える必要がある場合があります。
中小企業庁は、M&A前後の取組不足やPMI支援の弱さを課題としており、経産省も経営の高度化やDXによる可視化の重要性を示しています。


つまり、外部資本の価値は資金調達にとどまらず、経営基盤そのものの再構築にもあるということです。

例えば、月次決算が遅い、権限分掌が不明確、会議体が属人的といった課題を抱える企業では、売上が伸びていても評価が上がりにくい可能性があります。


このような場合、PEファンドの支援を通じて管理体制や意思決定プロセスを整備することで 、将来のIPOや次のM&Aでも評価されやすい状態を作ることができます。


組織面の課題を 放置したまま出口だけ急ぐと、条件交渉で不利になる可能性もあります。
成長のボトルネックが組織側にある企業ほど 、ハイブリッド型との相性は高いと言えるでしょう。

5. 2026年のM&A・IPO市場環境から読む実行タイミング

2026年のM&A・IPO市場環境から読む実行タイミングについて、解説します。

5-1. IPO市場:件数回復基調だが審査は厳格化

2026年時点でIPOを検討する場合 、単純な追い風局面として捉えるのは慎重であるべきです。
経済産業省の2026年関連資料では、国内スタートアップのIPO数が2024年の64社から2025年の41社へ減少していることや、上場後の成長停滞や出口の多様化の必要性が示されています。


また、グロース市場における上場維持基準の見直しも進んでおり、今後は上場後の継続的な企業価値向上がより重視される流れにあると考えられます。

例えば、従来であれば 「まず上場してから成長する」という考え方が一定程度許容されていた局面でも 、今後は一定水準以上の規模感や成長の持続性がより強く求められる可能性があります。


そのため、体制が未整備な企業 が急いでIPOのみを目指すよりも 、先に外部支援を活用して 企業価値を高める方が合理的なケースもあるでしょう。


なお、 「件数回復基調」といった表現は官公庁資料だけでは一概に断定しにくい一方で 、少なくとも審査水準や上場維持基準の厳格化が進んでいる点は意識すべき論点です。

2026年は、上場できるかどうかよりも 、「上場後に持続的成長が可能な企業かどうか」を問われる局面になりつつあるといえます。 

5-2. M&A市場:PEファンドの待機資金は過去最高水準

この見出しに関連する論点は民間統計で語られることが多く 、官公庁資料のみを根拠に 「過去最高水準」と断定するのは適切ではありません。


そのうえで、中小企業庁はPEファンドへの関心の高まりを示し、経済産業省は国内PE市場の拡大や、大型案件に対応できるプレイヤー層の拡充の必要性を整理しています。

つまり、公的資料から読み取れるのは 、PEファンドの存在感が高まり、成長資本としての重要性が増しているという点です。

例えば、従来は 銀行借入やIPOが主要な選択肢だった企業 でも、現在では PEファンドを含めた資本政策を検討しやすい環境になってきています。


また、事業承継に限らず 、成長志向型M&Aや組織再編の文脈においても 、そのため、ハイブリッド型出口戦略を検討する 経営者にとって、PEとの対話を早めに開始する 意義は小さくありません。


「今すぐ売却するかどうか 」ではなく、「資本市場にどのような選択肢が存在するか 」を把握することが実行タイミングを判断するうえでの重要な材料になるでしょう。 

5-3. 金利上昇がバリュエーションに与える影響

金利環境の変化は、出口戦略のタイミングを考えるうえで無視できない要素です。
日本銀行は2026年3月時点で、無担保コールレートを0.75%程度で推移するよう促す方針を示しており、2025年頃の水準と比較して金利は上昇基調にあります。


また、日銀の展望レポートにおいても 、企業の資金調達コストが上昇していることが示されています。 

例えば、将来利益を現在価値に割り引いて 企業価値を考える場面では、一般に金利や資本コストの上昇は評価に下押し要因となりやすいと考えられます。


借入を活用する買い手やPEファンドにとっても、調達コストの上昇により、従来と同様の条件を提示しにくくなる可能性があります。


一方で、金利が上昇する環境下でも、 業績の成長性や組織の強さが明確に評価される企業は、相対的に選考されやすくなる場合があります。
そのため、金利上昇局面では、タイミングを見極めること以上に、評価される企業体質を早期に構築することが重要になります。

6. 出口戦略で失敗しないために—アドバイザー選びと”売却後”の備え

出口戦略で失敗しないために必要な視点について、解説します。

6-1. M&Aアドバイザーの選び方——仲介型 vs アドバイザリー型の違いと注意点

アドバイザー選びでは、仲介とFAの違いを理解したうえで、自社に適した形態を選ぶことが重要です。


中小企業庁の中小M&Aガイドラインでは、支援形態 として仲介業務とFA業務があり、それぞれの特性を踏まえて選択すべきであることが 示されています。


また、仲介者には利益相反リスクがあるため、一定の措置が求められることや、複数の仲介者・FAを比較検討することの重要性も明記されています。

例えば、価格条件だけでなく、相手先との交渉方針や開示の範囲、成約後の関与のあり方まで踏み込んで相談したい場合には、片側支援の色が強いFAが適している場合があります。


一方で、まずは買い手候補探索から幅広く進めたい場合には、仲介の方が機動的に動きやすい場面もあるでしょう。
ただし、仲介の場合、相手方との関係や手数料体系について十分に理解していないと、後になって認識のズレが生じる可能性があります。


「大手だから安心」といった基準だけで判断するのではなく 、手数料体系、実績、業務範囲、そして担当者との相性まで比較検討することが重要です。

6-2. 出口の”その先”を見落とすな——売却益の運用設計はM&Aの前から始まる

出口戦略は、成約した時点で終わりではありません。


政府広報や金融庁関連の資料でも、資産形成においてはライフプランニングと資金の可視化が重要であり、保有資産やキャッシュフローを把握したうえで長期的に設計する 必要があると示されています。


この考え方は経営者の出口にも共通しており、売却益をどのように守り、どのように活用し、どのように次世代へ承継していくかは、M&AやIPOの前段階から検討しておくべき重要な論点です。

例えば、想定以上の現金が一度に入る場合、税務対応、生活設計、再投資、相続対策、家族への資産配分など、意思決定すべき項目が一気に増加します。


こうした準備がないまま成約を迎えると、せっかく得た資金を場当たり的に動かしてしまうリスクもあります。
売却価格の交渉と同様に、売却後の資金の置き場所や活用方針を事前に整理しておくことは非常に重要です。

出口後の安心感は、成約後の対応ではなく成約前の設計によって大きく左右されます。

6-3. 資産運用の専門家(IFA)に「出口後の人生設計」を相談する意味

出口後の資金設計では、金融商品の提案にとどまらず 、人生全体の計画に沿った助言を受ける視点が重要になります。


金融庁のIFA調査では、IFAは顧客のライフステージに応じて資産計画の策定や資産全体に関する総合的なアドバイスを行うとともに、金融商品の実行支援も担う役割があるとされています。

また、金融庁は顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー) を重視しており、家計が安心して金融サービスを利用できる環境整備を進めています。

例えば、売却後に「どれだけ運用に回すか」だけを検討するのではなく、今後の生活費、子どもへの資金支援、再起業資金、寄付、相続対策などを含めて整理するケースが考えられます。


このような場合では、出口後の人生設計から逆算して資産配分を考える専門家がいることで、判断の軸がぶれにくくなります。
もっとも、誰に相談してもよいわけではなく、提案姿勢や利益相反の有無、説明の分かりやすさなどは慎重に見極める必要があります。


出口後の不安を軽減するためには、投資先を決めることよりも先に、「お金の役割」を整理することが欠かせないでしょう。

まとめ

IPOかM&Aかを二択で考えると、自社に適した現実的な選択肢を見落としやすくなります。


官公庁資料を踏まえると、PEファンドによる資本支援と経営支援を活用しながら企業価値を高め、その先のIPOや追加的な資本政策につなげるという考え方には一定の合理性があります。


特に、創業者が経営を継続したい一方で、資産の一部は早期に現金化したいというケースでは、ハイブリッド型出口戦略は有力な選択肢になり得ます。


一方で、どの出口を選ぶにしても、アドバイザー選びや売却後の資産設計を軽く軽視すると、最終的な満足度は下がりやすくなります。


出口戦略は「会社をどう終えるか」ではなく、「会社と自分の次のステージをどう設計するか」という視点で捉えることが重要です。

ファーストパートナーズ・グループでは、お客様の状況に応じて、ニーズに寄り添ったさまざまなサービスのご提案を行っております。

※ご相談は無料で承っておりますが、その内容により、個別の商品・銘柄・売買の方法・時期等に言及する場合があります。

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長竹 祐樹

大学卒業後、新卒で銀行へ入行。支店業務(担当地域の個人・法人のお客様へ資産運用や融資の提案を主に実施)を経験後、本部へ異動し富裕層や相続・事業承継業務及び支店管理、提携先との連携や折衝を経験。頭取表彰や本部長表彰等受賞。銀行の求めるものとお客様の求めるものとのずれを感じ、株式会社ファーストパートナーズへ転職。現在は幅広いサービスや金融商品をお客様に案内できる環境にあり、お客様のニーズから真に求めるものを提案できるよう日々行動している。

保有資格:証券外務員一種、内部管理責任者、生命保険協会認定保険募集人、FP二級技能検定資格

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