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日米金利差とは?為替や株価との関係・今後の見通しを解説

日米金利差とは?為替や株価との関係・今後の見通しを解説

日米金利差は、為替相場や株式市場を読み解くうえで欠かせない指標の一つです。

近年は、米国の高金利と日本の緩和的な政策が続いたことで金利差が拡大し、円安要因として注目されました。

一方で2025年に入ると米国では利下げ観測が強まる中、日本では金融政策の正常化が段階的に進んでおり、金利差の構図に変化が生じています。こうした動きは為替を含む金融市場全体に影響を及ぼす可能性があり、その基礎的な動きを理解することは重要です。

本記事では、日米金利差の基礎から最新動向、今後の見通しを整理します。

1.日米金利差とは何か

日米金利差とは、日本とアメリカの金利水準の差を指します。金融市場では、短期の政策金利の差に加え、10年国債利回りを中心とした長期金利の差も重要視されます。

金利は、通貨価値・債券価格・株式市場・さらには景気の方向性にまで幅広く影響を与える重要な指標です。そのため、日米金利差の変化は円相場や日経平均株価に影響を及ぼす場合もあります。

近年、FRB(米連邦準備制度理事会) がインフレ抑制を目的に高金利政策を維持してきたのに対し、日本は長期にわたり低金利環境が続きました。この結果、日米金利差が大きく開き、為替市場で円安が進行する要因として注目される局面が多くみられました。

以下では、日米金利差の「基礎」をわかりやすく整理していきます。

1-1. 金利差の基本構造(政策金利と長期金利)

金利差を理解するうえで最初に押さえておきたいのは、「金利には種類がある」という点です。代表的なものは以下の2種類です。

●政策金利(短期金利の基準)

政策金利とは、中央銀行が景気や物価の状況に応じて調整する短期金利の指標です。

・アメリカ:FRB が決める FF 金利(フェデラルファンド金利)
・日本  :日本銀行が誘導する短期金利(無担保コール翌日物金利)

政策金利は金融機関同士の短期資金取引の基準となり、企業の資金調達コストや住宅ローン・消費者ローンの金利にも影響を与えます。

●長期金利(代表例:10年国債利回り)

長期金利は、10年以上の長期国債の利回りを指します。

こちらは市場参加者の売買によって決まるもので、

・将来の物価動向
・経済成長率の見通し
・財政の健全性
・海外との金利差

といった幅広い要素が反映されます。

●短期金利と長期金利のどちらが重視される?

為替市場では、政策金利など短期金利の差が注目されやすい傾向があります。一方で、実際に投資家が運用対象とするのは長期債であることが多く、10年債利回りなど長期金利の差も強く意識されます。

例えば、米10年金利が4%、日本10年金利が1%のような米国の金利水準が高い局面では、利回り面の相対優位が意識され、円売り・ドル買いのフローが観察されることがあります

1-2. 日米の金融政策が為替に与える影響

日米金利差は、両国の中央銀行がどのような金融政策をとるかによって変動します。金利の方向性は、為替や株式市場にも影響を与える要因のひとつです。

●FRB(米国)の金融政策

米国では、2021年以降のインフレ高進を受けて急激な利上げを実施しました。その後はインフレの鈍化状況を確認しながら必要に応じて利下げに転じる姿勢を示しています。

市場では、FRB の政策金利が高止まりするか、あるいは段階的に引き下げられるかによって、ドル相場の見方が分かれやすくなっています。

日本は長く低金利政策を続けてきました。マイナス金利政策の解除後も、政策金利は依然として国際的に低い水準にあります。インフレが安定的に続くかどうかが焦点であり、日銀は追加利上げのタイミングを慎重に見極めています。

●金融政策が為替を動かす理由

一般的に、

・金利の高い通貨=利回りが期待できるため買われやすい
・金利の低い通貨=利回りが期待しにくいため売られやすい

という傾向があります。

そのため、米国が高金利を維持し、日本が低金利のままであれば、金利差が拡大し、円安・ドル高になりやすいと考えられます。

ただし、為替は金利だけで動くわけではありません。

・地政学リスク
・財政懸念
・世界景気の強弱
・当局の為替介入

などによっても大きく変動するため、金利差だけで判断するには注意が必要です。

1-3. 金利差が生じるメカニズム

日米金利差はなぜ生じるのでしょうか。その背景には、両国の経済構造や政策判断の違いがあります。

① 景気・インフレ動向の違い

米国は賃金の伸びが比較的強く、個人消費も堅調に推移しているためインフレ圧力がかかりやすいという特徴があり、このため金利は上がりやすい傾向があります。

一方、日本は近年こそ物価上昇が見られるものの、長期にわたるデフレ環境が続いたことから、金利を急激に引き上げることには慎重な姿勢が保たれています。

② 金融政策スタンスの違い

中央銀行は、景気・雇用・物価の状況に応じて政策金利を調整します。その結果、

・FRB:物価安定を優先して利上げを行いやすい
・日銀:緩和的な環境を維持しながら段階的に政策を調整

という構図が生まれ、短期金利・長期金利ともに乖離が起こりやすくなります。

③ 将来の経済見通しの違い

金利は「将来への期待値」を反映する指標でもあります。

・米国:IT投資、エネルギー、人口動態などの要因から、潜在成長率が高いと見られやすい
・日本:成長率は比較的緩やかで、金利が大きく上昇しにくい

こうした将来への見通しの差は、長期金利に表れやすく、投資家は米国の国債を保有するとより高い利回りを得られるため、米国債への需要が高まり、それが金利差につながる場面もあります。

④ 財政・政治リスクの違い

国債の利回り(長期金利)は、財政・政治リスクの影響も強く受けます。財政赤字の拡大や選挙、政策転換なども国債の需給に影響します。

昨今は、

・米国:財政赤字の増加や関税政策の不透明感
・日本:高市内閣による拡張的な財政運営や国債増発への懸念

などが意識され、金利が変動しやすい状況が続いています。

2.現在の日米金利差の動向

2-1. 日米金利差が3年ぶりの縮小に

ここ数年、為替市場では日米金利差が大きく意識されてきました。特に米国が急速な利上げを進めた2022〜2023年は、政策金利の差が拡大し、その影響で円安基調が続いたとみられます。

しかし2025年に入り、日米金利差が約3年ぶりに縮小する動きが見られています。

背景の一つが、FRBの利下げ方向への転換です。インフレ沈静化を受け、米国では労働市場の過熱感がやや和らぎ、物価もピークアウトしたとの見方が強まっています。そのため、政策金利はこれまでの高水準から徐々に調整される局面に入ったと受け止められています。

一方、日本では日銀が長らく続けてきた金融緩和政策の調整を進めており、金利が緩やかに上昇しています。米国の利下げ観測と日本の金利正常化が同時に進むことで、日米金利差が縮小しやすい環境が整っていると言えるでしょう。

金利差が縮小すると、為替市場では円安の勢いが弱まりやすいとも指摘されます。

ただし、為替は金利以外にも経済指標や投資家のリスク姿勢など多くの要因が絡むため、一方向に動くとは限りません。現在は金利差の変化がこれまで以上に注目される局面にあると考えられます。

2-2. 日本の長期金利は27年ぶりの高水準

2025年の日本の長期金利(10年国債利回り)は、約27年ぶりとなる2.1%台に達しています。

2025年12月22日時点)これは日銀が量的緩和の縮小やイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化を進め、市場の金利形成がより自然な形に戻りつつあることが背景とされています。

さらに、インフレ率が以前より高い水準で推移していることや、賃上げの動きが広がりつつある点も金利上昇の一因と考えられます。

市場では「日本も長いデフレ環境からの転換点にあるのでは」という見方が強まる一方、高金利が企業の資金調達コストに与える影響を慎重に見る声もあります。

長期金利の上昇は、住宅ローン、企業の設備投資、国の財政負担など幅広い領域に影響を及ぼす可能性があります。そのため、家計や企業にとっても注視すべきテーマとなっています。

また、長期金利が上昇すると国内債券の利回りに魅力を感じる投資家が増え、資金が国内に戻りやすくなるとの指摘もあります。これが円相場に影響するケースも考えられ、金利・為替・経済の関係性がこれまで以上に密接に意識されている状況と言えそうです。

3.日米金利差と為替・株価の関係

日米の金利差は、為替相場や株式市場の変動を考えるうえで重要な指標とされています。日本と米国はどちらも経済規模が大きく、金融政策の方向性が異なる局面も多いため、金利差の拡大・縮小は円相場に影響を与えやすい特徴があります。

また、為替の変動は輸出入を行う企業の収益や投資家心理を通じて株価にも影響を与える場合があります。以下では、金利差の動きがどのように円相場や株価に作用するのか、そして例外的な動きが起こりうるケースについて整理していきます。

3-1. 金利差拡大時:円安・株高になりやすい理由

日米金利差が拡大している状態は、一般的に「米国の金利が相対的に高まり、日本との金利の差が広がる」状態を指します。この場面は、以下のようなメカニズムを通じて円安方向に動きやすいとされます。

●高金利通貨への資金シフト

金利が高い通貨は、金利収入(キャリー)を目的とする投資家から選ばれやすくなります。米金利が上昇すれば「ドルを保有するメリット」が相対的に高まり、円を売ってドルを買う動きが増えるとされます。これが円安・ドル高につながる要因の一つです。

●円安が企業業績にプラスに働きやすい

日本企業は海外売上比率が高い企業や、輸出企業が多いことから、円安は「海外売上の円換算額が増える」という効果をもたらす場合があります。このため、円安局面では輸出比率の高い企業の収益改善期待が広がり、株価にプラスに働くケースがあります。

●投資家心理の改善

円安は「輸出企業に追い風」と受け取られ、投資家心理が強気に傾く場面もあります。また、海外投資家から見れば、円安によって日本株の相対的な割安感が高まることもあり、海外資金が日本株に流入することがあるとされています。

これらの理由により、金利差拡大局面では円安・株高の組み合わせが生じやすいと考えられています。

3-2. 金利差縮小時:円高・株安が進みやすい理由

一方で、日米金利差が縮小する局面では円高方向に振れやすいとされます。

●ドル金利の魅力低下

米国の金利低下、あるいは日本の金利上昇によって日米金利差が縮小すると、投資家にとって「ドルを保有するメリット」が薄れます。これにより、ドル売り・円買いが進み、円高方向の圧力になりやすいと考えられています。

●円キャリートレードの巻き戻し

金利差が小さくなると、円を借りて高金利の通貨や海外資産に投資する「円キャリートレード」の魅力も低下します。金利差縮小局面では、ポジション解消(ドル売り・円買い)が発生しやすく、円高につながる原因になります。

●円高が企業収益を圧迫

円高は、輸出企業にとって海外売上の円換算額を押し下げる要因になります。そのため、企業収益の先行きに慎重な見方が広がり、株価が軟調になりやすいことがあります。

とくに日経平均株価の構成銘柄は海外売上比率が高めの企業が多いため、為替の影響を受けやすい傾向があります。

●投資家の“リスク回避姿勢”との関係

日米金利差の縮小は、「米景気減速」や「金融市場の不安定化」といった背景で起こることも多く、この場合には投資家のリスク回避姿勢が強まる結果、株式が売られて円が買われる展開になることもあります。

こうした理由から、金利差縮小は円高・株安につながりやすいと言われています。

3-3. 為替に影響を与える“例外要因”(地政学・貿易政策など)

為替相場は地政学リスク、貿易・財政政策の変更、年度末のリバランスやポジション解消など、需給要因によって、短期的に金利差と逆相関の値動きになる局面も見られます。以下はその主な例です。

●地政学リスク

国際紛争や政情不安が生じた際には、投資家のリスク回避の動きが強まり、相対的に信用力が高いとされる円が買われるケースがあります。たとえ金利差が拡大していても、世界経済が不安定になると円高になることがあるのはこのためです。

●貿易収支・経常収支

日本の経常収支が黒字で推移する場合、海外からの配当・利子収入が円買い材料になることがあります。長期的には、経常収支の動向が円相場に影響するケースもあります。

●為替介入

急速な円安や円高に対応するため、政府・日銀が市場で通貨を売買する「為替介入」も例外的な動きを引き起こす要因になります。一時的に相場を反転させることがありますが、効果の持続性は市場環境に左右されます。

●貿易政策・関税

米国の通商政策や関税引き上げを巡る動きも、為替に影響しやすい要因です。貿易摩擦が激化し経済の先行きに不透明感が増すと、金利差の影響を上回る形で安全資産としての円が買われるケースがあります。

●投資マネーフロー

機関投資家の年度末の資産配分調整(リバランス)や、短期筋のポジション調整など、市場の需給によって為替が短期的に大きく動くこともあります。

4.日米金利差より注目される最近の動き

日米金利差は、長らく為替相場の要因と受け止められてきました。しかし2025年に入り、その関係性がやや変化しているとの見方が広がっています。

従来、一般的に「金利差が拡大すれば円安、縮小すれば円高方向に働きやすい」とされていましたが、これでは説明しきれない場面が増え、相場を動かす要因が多様化していると受け止められています。

特に最近は、米国の関税政策や財政赤字への警戒、日本国内の政治動向など、金利以外のテーマが為替市場の注目を集めやすくなっている点が特徴です。

以下では、2025年の為替相場で見られた特徴的な動きとその背景を整理していきます。

4-1. 2025年、米ドル/円が日本金利と逆相関に

一般に、日米の金利差が拡大すればドル高・円安になりやすいとされます。しかし2025年は「日本の長期金利が上昇しているのに円安が進む」という逆相関が観測されました。

●日本の金利上昇=円高材料になりにくい構造

2025年の日本の長期金利上昇は、国債需給の変化や物価上昇圧力の高まりを背景としたものでした。ただし、日本銀行が長期的な金融正常化を慎重に進めているため、市場ではこの金利上昇が“積極的な引き締め”ではなく、国債市場の調整に伴う自然な上昇として受け止められています。このため、「日本金利の上昇=円買い要因」とは判断されにくい状況が続きました。

●米国金利が下がっても円高になりにくい環境

米国では、インフレ指標や雇用データの変化を受けて米金利が調整する局面がありましたが、ドル/円は必ずしも円高方向には振れませんでした。この背景には、

・日本の金利上昇が、景気過熱でなく財政懸念の反映と受け止められた点
・米国の景気が相対的に堅調との見方
・日本の投資家による海外資金投資(外債投資)の増加

といった要素があると考えられています。

●「金利より需給」への注目度が高まる

さらに、国内の生命保険会社や年金基金などが外債投資を継続したこと、海外勢が日本国債を売る動きが強まったことなど、需給主導の動きも円安圧力として作用したとされています。

こうした要因が重なり、2025年は「日本金利上昇=円高」とならない局面が増え、金利差だけでは為替の説明が難しい状況が続きました。

4-2. 「関税ショック」と米財政赤字への懸念

2025年の為替市場で大きな注目を集めたテーマの一つが、米国の関税政策を巡る動きと、それに伴う財政・インフレへの警戒感です。

●米国の関税政策が市場心理を揺らす

輸入品に対する広範囲な関税引き上げが打ち出され、世界貿易の減速懸念が高まりました。

関税引き上げは企業のコスト増や物価上昇につながるため、米国景気に対して強弱両面の見方が交錯し、為替の方向性を不安定にしました。

特に、「関税ショック」と呼ばれた局面では、

・企業収益の先行きへの懸念
・米国内インフレの上振れリスク
・FRBの金融政策の不透明感

などが重なり、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。

●米財政赤字への警戒感

米国の財政赤字拡大も市場で意識されるテーマになりました。

財政赤字が拡大すると、米国債の増発が見込まれ、長期金利が上昇する一方で、ドルの信認が揺らぐとの指摘も出ます。その結果、金利上昇が必ずしもドル高につながらない複雑な動きが見られました。

●関税 × 財政 × インフレ

これらの要因は相互に影響し合っており、

関税引き上げ → インフレ上振れ懸念 → 金利の高止まり財政負担の増加

といった循環を意識する投資家が増えているとされています。2025年の為替市場では「金利差だけでは説明できない材料」が増え、政治・財政要因がより大きな影響力を持っている点が特徴です。

4-3. 日米の政治イベントと相場の関係

2025年は日米ともに政治イベントが多い年でした。そのため、これらの動きが為替市場にも影響を与え、金融政策や金利差に加え、政策の方向性や不透明感そのものが材料として意識されやすかった年と言えます

●米国:大統領選の政策期待と不透明感

新政権の誕生は、関税政策・財政政策・エネルギー政策などの方向性に大きく影響を及ぼします。

市場は政権のスタンスを見極めようとし、政策の発言や報道に敏感に反応しました。

特に為替市場では

・財政拡張 → 景気刺激期待によるドル高
・財政赤字懸念 → ドルの信認低下を意識したドル安要因
・貿易政策強化 → リスク回避で円高

といった政策テーマごとに異なる反応が見られました。

●日本:金融政策と財政政策の転換点

日本でも政府の経済対策や金融政策の方向性が注目される場面が増えました。財政支出の拡大や減税などが議論されると国債市場が動きやすく、国債利回りの変動が円相場に波及するケースもあります。

また、政権支持率や選挙のタイミングによって政策実行のスピードが左右されることがあり、市場では「政策期待」と「慎重姿勢」が交錯しやすい状況が続きました。

●政治リスクは金利差より優先されることも

政治イベントは「市場が不確実性をどの程度意識するか」で反応が大きく変わります。

特に2025年は、

・米国の関税政策
・日本の財政・金融政策
・ウクライナ情勢など国際政治リスク

などが複雑に絡み、金利差よりも政治テーマが相場を動かす場面が多く見られました。

5.今後の日米金利差はどう動くのか

日米金利差は、為替相場や株式市場の方向性を考えるうえで重要な指標のひとつです。2025年は日本の長期金利が約27年ぶりの水準まで上昇し、米国では利下げのタイミングを巡って見方が揺れるなど、大きな転換点にあります。

ここでは、FRBと日銀の政策見通しを踏まえ、今後の日米金利差の動きを整理します。

5-1. FRBの政策金利見通し

米国では、インフレ率がピークアウトしたとの見方が広がる一方で、サービス価格や賃金上昇率の高さなど、根強い物価上昇圧力が残っています。

そのため、FRBは急激な利下げに踏み切りにくい状況が続いています。市場では一時、複数回の利下げが意識されていましたが、経済指標が強い月には「利下げ先送り」の思惑が高まり、長期金利が再び上昇する局面も見られます。

FRBが重視するのは「インフレ率の持続的な低下」と「雇用市場の過熱が落ち着くかどうか」です。今後のシナリオとしては、次の3つが考えられます。

●緩やかな利下げが進むケース

インフレ率が目標である2%へ近づけば、段階的に政策金利を下げる可能性があり、長期金利も低下しやすくなります。

●高金利の長期化が続くケース

賃金やサービス価格の上昇が続くと、FRBは政策金利を高めに維持し、長期金利も高止まりする可能性があります。

●経済の急減速で早期利下げとなるケース

雇用や消費が想定以上に弱くなった場合、景気下支えのために利下げが前倒しされる可能性があります。

いずれにしても、FRBは「データ次第」という姿勢を強調しており、金利の方向感は経済指標ごとに変わりやすい点が特徴といえます。

5-2. 日銀の金利政策・YCC修正の行方

日本では2024年3月にマイナス金利政策が解除され、2025年に入ると長期金利(10年国債利回り)が2%台まで上昇するなど、歴史的な転換期を迎えています。

日銀は賃金と物価の好循環が定着しているのかを慎重に見極めながら、緩和的な金融環境を急激に手放さない姿勢を示してきました。

焦点となるのが、「どこまで政策金利を引き上げるか」という点です。

日銀の今後のポイントは以下の3つです。

●賃金上昇が継続するか

春闘を中心に高い水準での賃上げが継続すれば、日銀は追加利上げを検討しやすくなります。

●物価が安定的に2%を維持できるか

エネルギー補助金の効果や輸入物価の変動が大きいため、日銀は総合指数だけでなく、基調的な物価を重視すると見られます。インフレ率の安定感が確認できるかが、政策判断の重要な材料になります。

●国債市場の安定性

長期金利が急上昇する場合、日銀は国債買入れで市場を落ち着かせる可能性があります。今後は、緩やかな追加利上げを視野に入れつつも、市場の混乱を避けるために段階的な正常化を続けていくという見方が多い状況です。

5-3. 為替・株価へのシナリオ別影響

日米金利差がどう変動するかによって、為替相場(米ドル/円)や株式市場の方向感が大きく変わります。ここでは、今後考えられるシナリオとして、次の3つの場合について整理してみましょう。

●シナリオ1:日米金利差が縮小する場合(円高方向)

米国で利下げが進み、日本の金利が緩やかに上昇する場合、日米金利差は縮小します。この場合、米ドル/円は円高方向に動きやすく、輸出企業の採算には逆風となりやすい一方、輸入コストは低下しやすく企業収益の改善要因にもなります。

株式市場では、内需株やサービス業、ディフェンシブ株が相対的に注目される可能性があります。

●シナリオ2:日米金利差が再び拡大する場合(円安方向)

FRBが高金利を長く維持し、日本の利上げが限定的であれば、金利差はそれほど縮小とならず、どちらかといえば米ドル/円は円安方向に進みやすく、輸出企業の採算に追い風となる可能性があります。

株式市場では、自動車や精密機器、ハイテクなど外需系企業にとってプラス要因となり得ます。ただし、エネルギー価格の上昇やインフレに影響するため、家計への負担増には注意が必要です。

●シナリオ3:日米ともに金利が低下する場合(安定的・中立シナリオ)

景気減速が強まると、日米ともに金利低下が進む可能性があります。この場合、為替は大きく振れにくく、金利低下による株価のサポートが働きやすいといった特徴があります。

特に、金利敏感株(不動産、公共株、通信など)にとってプラスに働く場面が考えられます。

6.まとめ

日米金利差は、政策金利や長期金利の動きに左右され、為替や株式市場にも影響を及ぼす重要な指標です。

これまでの「金利差拡大=円安」という構図は一定の説明力を持ってきましたが、2025年は関税政策や財政問題、政治リスクなど金利以外の要因が相場に与える影響が大きくなっています。

今後は、FRBの利下げペースと日銀の金融正常化の進み方が焦点となりそうです。景気指標や政策発表に加え、政治・財政リスクにも目を配りながら、多面的に相場動向を確認していくことが大切です。

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宗野 元

新卒で大手証券会社に入社し、15年間個人富裕層、未上場企業等の資産運用コンサルタント業務に従事。
その後IFAとして独立。
お客様と目標を共有し、より長期的な視点での資産運用のご提案を心がけております。

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